佃煮は江戸時代の名物
「佃煮」とは、海藻や魚などを甘辛く煮詰めたもの。細切り昆布の佃煮や海苔の佃煮は、ちょっとあるだけでごはんが進みますよね。なんとその数は100種類以上あり(※)、パスタに和えたりトーストにのせたりと、幅広い年代に愛されています。
さて、この「佃煮」というのは、もともと「佃島」という場所から名前がつけられました。佃島は現在の東京都中央区佃のことですが、大阪市西淀川区佃から腕のよい漁師を集めてきて住まわせたことから、東京の土地にも佃という名前がついたのです。
佃煮は、佃島の人々が食料の保存や船出の際の常備食として、魚介を甘辛く煮詰めたのがはじまりで、江戸時代の名物でした。お弁当の脇に入れたり、お茶漬けにしたり、今でもわたしたちの食卓を支えています。
それでは佃煮を作ってみましょう。
【おだしをとったあとの昆布で】だしがらは冷凍しておく
まず、だしを取ったあとの昆布やかつおぶしは、保存袋に入れて冷凍保存しておくのが便利です。その場ですぐ佃煮にしてしまってもよいのですが、ある程度まとまってからの方がたっぷり作れて楽ですよね。
日々おだしを取っては冷凍庫に昆布を貯めていき、いっぱいになってきたなと思ったら、自然解凍しておきます。分量は適当で大丈夫。なんとなくたくさん溜まったな、と思ったら作ってみましょう。
今回は昆布の他に椎茸も入れました。昆布だけでも構いませんし、かつおぶしや干し椎茸、にぼしなどのだしがらでもOK。
解凍した昆布は、細切りか四角い形に切っておきます。おにぎりなどに入れるなら細切りに、ごはんといただくなら、歯応えのある四角い形がオススメです。
味付けする前に、好みの硬さになるまで煮るのがポイント
昆布と椎茸を鍋に入れたら、ひたひたになる程度の水を入れて落とし蓋をし、コトコトと煮ていきましょう。水が蒸発してしまったら足しながら、昆布が柔らかくなり、指でスッと切れるくらいまで煮ます。
煮ている間に出てきた灰汁は丁寧に取りましょう。灰汁が浮いたまま煮続けていると、雑味のある味に仕上がってしまいます。
昆布が柔らかくなったら、お湯を大さじ1程度残して捨てます。そこに砂糖と醤油と酒を入れましょう。分量は、醤油と酒を同量にし、砂糖を醤油の半量ほど。甘みやしょっぱさのバランスは、好みの味にととのえていきます。
調味料の水分を飛ばすように煮詰めていったら、仕上げにみりんを小さじ1程度まわしかけて軽く煮詰めます。
甘じょっぱく煮つけた昆布があれば、ごはんが何杯でも食べられちゃいます。また、バターを塗ったトーストに乗せたり、梅干しと一緒にお湯に入れて飲んだりするのもオススメですよ。
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食のライター・料理家。
書籍や雑誌、webなどで執筆と料理の仕事をしている。アウトドア好きが高じて『メスティンBOOK』(山と渓谷社)、『キャンプでしたい100のこと』(西東社)でアウトドア料理のレシピ監修も行う。『こねこのコットン チアーカフェストーリー』(学研プラス・7/6発売)では、児童向け小説の執筆と、おはなしの中に登場するレシピの開発をしている。5歳と13歳の母。