管理栄養士・お野菜レシピ考案家のいまむらゆいです。
のらぼう菜と聞いて、どんなイメージを持ちますか。「素朴」や「地味」?はたまた存在を知らなかったという場合もあるのかもしれません。
実は、日本で古くから栽培され、飢饉を乗り越えるために重宝されてきた救世主野菜なんです!
今回は、そんなのらぼう菜のイメージを覆す、歴史と美味しさについて迫ってみようと思います。
さらに、のらぼう菜を栽培している農家さんにおすすめの食べ方を教えていただいたので、レシピにまとめてご紹介します。
のらぼう菜ってなに?
のらぼう菜は、アブラナ科の菜花のひとつです。花を咲かせる茎の部分を摘み取り、その脇から生えてくる葉を収穫します。
飢えから人々を救った救世主野菜!?
のらぼう菜は、江戸時代の初期頃には東京都西多摩地方から埼玉県比企郡で栽培が始まっていたとされる伝統野菜です。近年の伝統野菜を復活させる動きに伴って、知名度が高まってきています。
東京都では「江戸東京野菜」、埼玉県では「比企ののらぼう菜」として地域を盛り上げる野菜となっています。
古くから栽培され、冬の寒い時期に旬を迎える生命力の強いのらぼう菜は、天明の大飢饉や天保の大飢饉が起こった際に、多くの人々を飢えから救ったとされています。
伝統のある野菜というだけではなく、人々の命を繋ぐためにも重宝されてきた魅力のある野菜です。
端境期の貴重な葉物野菜
2月から4月ごろが旬ののらぼう菜。ちょうどこの時期は、野菜の出回りが少なくなる端境期にあたります。葉物野菜が手に入りにくくなるこの時期でも、比較的手に入りやすい貴重な葉物野菜です。
のらぼう菜の美味しさの秘密
のらぼう菜が菜花であることから、苦味を想像するかもしれません。しかし食べてみるとそのギャップに驚くはずです。そんなのらぼう菜の味、栄養、食べ方についてご紹介します。
のらぼう菜はどんな味?
のらぼう菜は菜花のひとつですが、数多くある菜花の中でものらぼう菜に注目が集まる理由は、その美味しさが他の菜花と一味違うということがあります。
のらぼう菜は菜花独特の苦味やクセが少なく、甘みが強く味が濃いという特徴があります。特に茎はアスパラガスのような食感で、噛めば噛むほど甘みが感じられます。
かき菜とよく似ていますが、のらぼう菜は茎が少し太いのが特徴です。
のらぼう菜の栄養は?
のらぼう菜はビタミンCやβ-カロテンを豊富に含んでいます。これらの栄養素は体の抗酸化力を高め、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあるため、美肌作りに効果的です。
ビタミンB群も豊富で、脂質やタンパク質の代謝促進に役立ちます。インスタント食品などに食生活が偏ると不足しやすい栄養素であるため、食生活が乱れているときには特に進んで取り入れたい食材です。
食べ方は?
菜花の中でもクセや苦味の少ないのらぼう菜は、いろいろな味付けによく合います。
おひたしや白和え、胡麻和えなどの和食はもちろんのこと、オリーブオイルで炒めて洋風な味付けでも美味しく食べることができます。
油との相性がよく、のらぼう菜の栄養素の吸収率もアップさせてくれるのでおすすめです。
農家レシピ〈のらぼう菜とじゃこのペペロンチーノ〉
菜花の中でも甘みが強いのらぼう菜。そんなのらぼう菜をより美味しく食べるために、農家さんからおすすめの食べ方を教えていただきました。
教えてくださったのは、東京都青梅市の繁昌農園さん。青梅市は東京都西多摩地域にあたり、のらぼう菜の栽培が盛んな地域でもあります。
繁昌農園さんでは日頃よく、のらぼう菜はパスタに入れて食べているそうです。その中でも、「のらぼう菜とじゃこを合わせたペペロンチーノが最高に美味しかった!」とのこと。
早速、教えていただいた作り方の手順を参考に、レシピにおこして作ってみました!
【農家のレシピ】のらぼう菜とじゃこの和風ペペロンチーノ
〈材料〉(2人分)作業時間:20分
のらぼう菜…1袋(200g)
にんにく…1かけ
じゃこ…大さじ3
パスタ…乾麺150g〜200g
オリーブオイル…大さじ2
茹で汁…大さじ2
鷹の爪(輪切り)…ひとつまみ
しょうゆ…ひとまわし
塩…ふたつまみ
粗挽き黒胡椒…適量
下準備・・・パスタの茹で湯を用意する。
①のらぼう菜は4cm長さ、にんにくは輪切りにする。
②パスタの表示の茹で時間より2分短くタイマーをセットしパスタを茹で、タイマーがなったらのらぼう菜の茎を加えてさらに1分茹でる。(大さじ2の茹で汁を残しておく)
③フライパンにオリーブオイルと切ったにんにく、鷹の爪を加えてを弱めの中火で熱する。
④香りが立ったら、パスタの茹で汁を加えて乳化させるようにフライパンを揺りながらよく混ぜる。のらぼう菜の葉とじゃこを加えて炒める。
⑤茹でたパスタとのらぼう菜の茎を加えてよく絡める。しょうゆをフライパンの鍋肌に回し入れ、香りが立ったら、塩と粗挽き胡椒で味を整える。
〈ポイント〉
・のらぼう菜の葉はさっと炒めるだけで十分美味しいです。
・パスタの茹で湯には分量外で塩を加えるほうが、味が引き締まります。
〈食べた感想〉
のらぼう菜は火を通すと色が鮮やかで、パスタの具材にもぴったり!
茎は茹でてから炒めることで、より甘みが引き出されて、にんにくの風味やペペロンチーノの塩気と相性抜群でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。のらぼう菜は古くから西多摩地方で親しまれている伝統的な野菜であることがわかりました。
栄養や美味しさの面でも魅力的なのらぼう菜は、旬の野菜が少なくなる冬の季節に積極的に食べたい食材のひとつです。
おひたしなどの和食だけでなく、パスタなどと合わせて洋風の味付けでも楽しめます。
これからの季節、食べチョクに出品されている野菜セットの中にものらぼう菜が登場します。ぜひチェックしてみてくださいね。
今回、おすすめの食べ方を教えてくださった繁昌農園さんも、野菜セットを出品されています。ぜひご確認ください♬
JA東京中央会 https://www.tokyo-ja.or.jp/farm/edo/15.php
管理栄養士、お野菜レシピ考案家。レシピ提供、フードスタイリング、コラム執筆、料理教室など野菜に関する分野を中心に活動。Instagram【 #ぽんレシピ 】で100レシピ以上公開中。