タイ料理・シンプルクッキング研究家のサクライチエリです。
皆さんは日常生活で取り入れたい果物と言えば何を思いつくでしょうか。色々あるかとは思いますが今日はその中からレモンについてご紹介します。
唐揚げに添えられていれば、爽やかな香りと酸味で脂っこさへの罪悪感が薄れ、サラダのドレッシングとしてブレンドされていればキリリとした酸味でサラダ野菜が引き立ち、紅茶にひとひら入れれば、リラックスと覚醒効果があり…。
相反しそうな効果が丸く収められてしまう、世界中で愛されている柑橘ですね。
しかし、「まるまる1個を一度に使う事が少ない」「切った残りにラップして保存しているうちにカビてしまう」などもったいない思いをしている方もいるでしょう。
今日はそんな方にレモンのアレンジレシピをお伝えします。タイ料理でレモンは頻繁に使っていますが、今回お勧めするのは、日本でも数年前に流行ったという「塩レモン」です。
流行った時には色々なレシピが公開されたようですが、この記事では塩レモンの故郷での使い方もお伝えしています。
お家籠りが推奨されている今だからこそ、旅するように調理・食事を楽しんでみてください。
春のレモンで「塩レモン」を作る事をお勧めする理由
春に収穫されるレモンは、冬の寒さから身を守るために、皮が厚くなる特徴があります。
この皮には、皮特有の苦み成分でもあり、昨今、免疫力を高める効果などで注目されているリモニン等、健康に有用な成分が多く含まれています。
皮が厚く、香りが強い、露地ものの越冬レモンは、皮の香りの強いレモンを使う、「塩レモン」発祥の地、モロッコのものと近いものが出来るという事になります。
皮ごと塩漬けにすれば、長期間に渡ってレモンを皮ごと美味しくいただくことが出来ます。
また、樹上で越冬することにより、レモンの糖度も上がり、その果汁が塩とブレンド、熟成されて、美味しい塩レモンが作れるという訳です。
塩レモンは長期保存が出来ます
画像左から、今年漬けたもの~右の瓶は2017年ものでした。
新しいものは新しいなりの旨味があり、古いものは塩が馴染んで熟成した味わいが楽しめます。
筆者は、新しいものは例えば、キュウリの塩レモン揉みにします。
薄切りにしたキュウリと皮を細切りにした塩レモンと和えて、オリーブオイルをまわしかけただけです。
色あいも爽やかで、カレーのお供のミニサラダ的に、作ります。
熟成が進んだものは、お刺身に添えることもあります。
醤油とわさびもいいけれど、少量の塩レモンをオリーブオイルで伸ばしたら、お刺身をカルパッチョ風に頂くことができます。
お刺身はわさび醤油で食べたいという家族とも、喧嘩せずに、爽やかな味付けでお刺身を味わうことが出来る上に、生レモンを少しだけ切るという手間もなく、レモンの香りが楽しめます。
モロッコの塩レモン料理、チキンレモンタジン
塩レモンの本場であるモロッコでの、人気メニュー、チキンレモンタジンの作り方もお伝えします。タジン鍋がなくても、蓋つきフライパンで、簡単に作れます。
チキンレモンタジンのレシピ(2~3人分)
<材料>
鶏手羽元肉 8-9本
ニンニク 1片
玉ネギ 中1個
ジャガイモ 中2個
ミニトマト 5個
インゲン 8本
グリーンオリーブ 12個
パクチー 1束
塩レモン 1/8個分
ターメリックパウダー 小さじ1
ジンジャーパウダー 小さじ1/2(あれば)
水 約大さじ3
<作り方>
1.浅めのお鍋か蓋つきフライパンにみじん切りニンニク、薄切り玉ネギ、皮を剥いて4つ割りほどに切ったジャガイモ、鶏手羽元肉を置きます。
2.その上に、筋を取って2~3㎝長に切ったインゲン、半分に切ったミニトマト、ざく切りにしたパクチー、細切りにした塩レモンを乗せます。
3.グリーンオリーブを散らした上に、ターメリックパウダーとジンジャーパウダーを振りかけます。
要するに、食べやすい大きさにザクザク切った野菜とお肉をお鍋に敷き詰めます。
カラフルなお野菜とスパイスを使うのも元気が出ますし、お子さんと一緒に野菜を刻んでお鍋に入れて行っても楽しいですよ。
4.最後に水大さじ3とオリーブの汁大さじ1を加えたら蓋をして、弱めの中火にかけて30分加熱します。途中、水が蒸発しきらないようにだけ注意して下さい。
30分後です。フライパンの底に、程よく野菜やお肉のエキスが乳化している感じがベストです。
ターメリックがかかっているところや、塩レモンの香りを感じるところ、トマトの酸味があるところなど、食べていて飽きないですよ。
ターメリックのお陰か、ご飯にも合います。
塩漬け以外の、春レモンの保存法
塩レモンは主にお料理に使いますね。ここでは塩気が要らない、お菓子や飲み物に使いたい時の保存法もお伝えします。
それは、「レモンを使いやすい大きさに切ってから、密閉容器に入れて冷凍する」です。輪切りや櫛切りにしたり、丸ごと凍らせて皮ごと摩り下ろしながら使っていく方法もあります。
今流行のレモンサワーに、凍ったままのレモンを入れてもいいでしょう。
まとめ
これから夏に向けて、レモンの爽やかな味と香りが欲しくなりますが、国産レモンは春が収穫の最終期です。
産直サイトの食べチョクでは、皮ごと食べられるレモンが販売されています。これから長くレモンを丸ごと楽しむ準備をしてみてはいかがでしょうか。
大崎上島産特別栽培レモン1kg
1,000円
瀬戸内海の島の1つ大崎上島で育まれたレモンです。
農薬不使用除草剤も使わず、なるべく自然に近い状態で栽培しているため
安心して皮ごと食べられます。
瀬戸内の無人島レモン(2kg/12〜16個)
2,200円
農薬や化学肥料、除草剤を使用せず、他の農園の農薬飛散も受けることもない為
農薬等を気にする方にはオススメのレモンです。
とても味わい深いレモンを是非ご賞味ください。
実際に農家さんから取り寄せて、毎年塩レモンを仕込めば、取引の楽しみ、仕込みの楽しみ、食べる楽しみまで味わえます。
ぜひいろいろな方法でレモンを楽しんでみて下さいね。
・わかさ生活:http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/limonene/
・広島大学大学院 博士論文
<取材協力>
株式会社ぽんぽこらんど 古崎社長様
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。