グルテンフリーとは
グルテン(gluten)とは、小麦や大麦・ライ麦などに含まれるたんぱく質のこと。グルテンフリーは、それらのたんぱく質を摂取しないライフスタイルで、元々「セリアック病」と呼ばれる遺伝性不耐症の改善を目的として生まれた食事療法です。
それらの代用品として有名なものの1つが米で、米から作られる米粉を使ったパンや麺類は、小麦アレルギーでも食べることができる主食としても注目されています。
また、とうもろこしやそばなどもグルテンを含んでいないため、それらを使った加工品も多く出回るようになりました。
そんな中、最近増えてきたのが豆類を使った麺。糖質制限やダイエットの観点から主食を控える人が増えている昨今、食物繊維や植物性たんぱく質を多く含む豆でできた麺は、主食の置き換え食材として期待が高まっています。
豆だけでできたグルテンフリー麺
原料として選ばれている豆はいろいろあり、風味や食感もそれぞれ異なります。今回はその中から5種類の麺を紹介します。
大豆麺
豆腐や味噌の原料となる大豆を使った麺です。脱脂の工程で油分をカットした大豆を粉にし、水を加えて麺状にしています。保存料や防腐剤などを使わなくて済むよう、しっかり乾燥させて仕上げられています。
早速茹でてみると、大豆を茹でているような香りがします。乾燥させた状態だと少し黄色っぽいですが、茹で上がると白くなります。
つなぎが入っておらず、少しボソボソした茹で上がりになりますが、舌触りはそば粉100%のそばに似たような感じ。何もつけずに食べると大豆の甘みをしっかりと感じます。
舌触りがそばに似ているということで、今回はざるそば仕立てにしてみました。のど越しもよく、つるっと食べられました。
黄えんどう豆麺
北欧やロシアで古くから愛されてきた黄えんどう豆を使った麺です。大豆よりも脂質が少ない黄えんどう豆は、加工したときにも酸化しにくい、理想的な食材なのだとか。
大豆麺同様、増粘剤などのつなぎは使わず、うす皮も丸ごと入れた黄えんどう豆100%の麺です。また、麺タイプの他にマカロニ状のものもあります。
茹でてみると、ボソボソした感じはなく、少し黄色いパスタのよう。そのままだとくっつきやすいので、早めに調理するか、冷水でしめた方がよさそうです。
茹でている間は豆の香りがしますが、食べてみると豆の風味はそれほど強くなく、ほのかに感じる程度。モチモチとした食感があります。
今回はたっぷりの野菜と肉を加え、ソース焼きそば風に仕上げてみました。モチモチ食感の麺とソースの相性はピッタリです。
黒豆麺
黒豆と水のみを使った麺です。なんといっても見た目のインパクトの強さは随一。その上、抗酸化作用が期待できるポリフェノールを、コーヒーの約5倍含んでいます。
麺の表面はザラザラしており、先に紹介した2つとはまったく異なっています。
茹でる前にザラザラしていた表面は、凹凸となってそのまま残り、噛み応えがあるので、腹持ちも良さそうです。黒豆の風味もかなり残っています。
茹で時間は2分半~3分くらいなので、調理時間が短くて済むのは魅力の1つです。
今回は黒豆納豆やおろした長芋を乗せてぶっかけスタイルにしました。パラパラした麺ですが、ねばねば食材と合わせることでよく絡み、夏にもピッタリの1品になりました。
枝豆麺
枝豆と水のみを使った麺で、平べったいフェットチーネ状になっており、表面の凹凸は、枝豆本体を意識したような形になっています。
香りはどの麺よりも強く、乾燥した状態でも枝豆の香りを感じることができます。
茹でている間も、豆というより野菜に近い香りが漂います。こちらも茹で時間は2分半~3分程度。忙しい日にもありがたいですね。
茹で上がりを見ると、表面が枝豆に似ているのをより感じていただけるでしょうか。また、見た目だけではなく、枝豆本来の風味と自然な甘さを感じることができます。
今回は旬の枝豆をたっぷり加え、クリームパスタ風にしました。枝豆の風味が溶け出した茹で汁を少し加えて伸ばすことで、クリームとなじみやすくなりました。
ひよこ豆+大豆麺
ここまで紹介した麺は単独の豆を使っていましたが、最後に複数の豆を使った豆麺をご紹介します。ひよこ豆と大豆を使った麺です。色はパスタや黄えんどう豆麺に近く、表面はザラザラしています。
茹でている間の香りは1番弱く、豆が苦手な方でも気にならないと思います。
黒豆麺と同じく表面のザラザラが凹凸になって残っていますが、色はパスタと似ているため、視覚的にも受け入れやすいかもしれません。
今回はズッキーニなどを使ってトマトソースパスタ風に仕上げてみました。噛み応えがあるので満腹感も得られる1品になりました。
まとめ
さまざまな豆を使ったグルテンフリー麺をご紹介しましたが、どの麺にも共通していえることは伸びずに食感が変わりにくいこと。そのため、作り置きやお弁当に入れるのにも向いています。
また、豆の旨味が溶け出した茹で汁をスープに使うアレンジもおすすめ。豆が苦手な人は、ソースなどでしっかりと味をつけてあげれば食べやすくなります。
健康効果の高まりによって注目されている麺ですが、扱いやすさの面でも優秀な食材といえそうです。
豆の栄養素がたっぷり詰まった豆麺。気になる方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
参考
九州まーめん https://mamen.jp/
株式会社ZENB JAPAN https://zenb.jp/
Pastayuri(パスタユリ) https://pastayuri.com/
MSDマニュアル(家庭版) https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。