メロンは野菜
メロンは「野菜」に分類されていることをご存知でしょうか。農林水産省では、「二年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを果樹」と定義しているため、一年生草本植物であるメロンは、イチゴやスイカと同様に「野菜」に分類されています。
といっても、売り場では他のフルーツと同じように扱われているため、「果実的野菜」とも呼ばれます。
また、メロンはウリ科キュウリ属で、キュウリと同じ黄色い花が咲きます。1つの株の中に雌花と雄花が存在し、ミツバチなどの力を借りて受粉を行なうのが一般的ですが、確実に交配するよう、ブラシなどを使って人工的に行なう場合もあります。
メロンの出盛り期と生産地
最も多く出回るのは春から夏にかけて。収穫量第1位は茨城県で、鉾田市、八千代町、茨城町、鹿嶋市などが代表的な産地です。
水はけのよい土壌と昼夜の寒暖差を生かし、「アンデスメロン」や「クインシーメロン」、「イバラキングメロン」など、時期によってさまざまなメロンを栽培しています。
一方温室メロンは1年中流通しており、温室に限ると静岡県が収穫量第1位。
袋井市、森町、浜松市を中心に生産されている「クラウンメロン」や、磐田市、掛川市、菊川市、御前崎市を中心に生産されている「アローマメロン」は、ガラス温室の中で1本の木でひとつの果実だけを育てる「一木一果」という方法で栽培を行なっています。
これによって養分を1玉に集中させることができるため、高品質なメロンができます。
これらのメロンは、マスクメロンの最高峰として、市場で高い評価を得ています。
メロンの種類
メロンは、果肉の色で3種類、網目の有無で2種類に大別できます。
色で分類
・青肉種
青肉種の代表的なものは「アンデスメロン」。「イバラキングメロン」もこちらに含まれます。さわやかな香りと上品ですっきりとした甘味が特徴で、赤肉メロンに比べると果肉がかためです。
「クラウンメロン」や「アローマメロン」もこちらに分類され、他にも「タカミメロン」や「オトメメロン」、「アムスメロン」などがあります。
・赤肉種
赤肉種の代表的なものは「クインシーメロン」や「夕張キングメロン」。芳醇な香りとコクのある強い甘味が特徴です。
他には、「ルピアレッド」や「ティアラ」といった品種があります。
・白肉種
白肉種の代表的なものは「ホームランメロン」や「キンショーメロン」。比較的日持ちが良く、味は淡泊ですが上品な甘さがあります。
また、熟すと皮が黄色くなる「グランドール」というメロンもあります。
網目で分類
メロンは外皮に網目のある「ネット系」と網目のない「ノーネット系」があります。
この網目は、生育途中でかたくなった皮が内部の成長に追いつけずにひび割れ、それをふさぐためにできたもので、「かさぶた」のような役割といえます。
「ネット系」のメロンには「アンデスメロン」や「クインシーメロン」、「ノーネット系」には「プリンスメロン」や「キンショーメロン」などがあります。
選び方・保存方法
「ネット系」の場合、網目が全体に均等で盛り上がっているものが良いでしょう。
「ノーネット系」の場合は、全体にむらがなく、筋や斑点がないものを選んでください。
左右対称で、持った時にずっしりと重みを感じるものがおすすめです。つるがついている場合は、太めのものを選ぶと良いです。
メロンは収穫してから5日~1週間くらいが食べごろといわれています。それまでは常温で保存しましょう。
「花落ち部」と呼ばれるおしりの方がやわらかくなり、甘い香りがしてきたら食べ頃です。つるがついているメロンの場合、つるがしなびてきたら完熟のサインです。
直前に2~3時間冷蔵庫で冷やすとおいしく食べられますが、長時間入れたままにしておくと甘味を感じにくくなるので、冷やしすぎには注意が必要です。
食べきれなかったメロンは、種を取り除いて切り口にラップをし、冷蔵庫で保存してください。種を残したままにしておくと、そこから傷んでしまいます。
また、食べやすい大きさにカットして冷凍するのも良いでしょう。そのままシャーベットのように食べられますし、スムージーなどにも使えて便利です。
おいしい食べ方
メロンは外側よりも内側の方が甘く、つるがついていた方よりもおしりの方が糖度は高い傾向があります。
甘さが均等になるようにカットするには、つるに対して垂直に切り、くし形に切りましょう。
また、種やその周りの部分は、果汁と一緒にザルに取って濾すと、果汁100パーセントの極上メロンジュースになります。炭酸などで割ったり、ヨーグルトなどにかけたりしてもよいでしょう。
今まで捨ててしまっていた人も多いかもしれませんが、ぜひ試してみてくださいね。
以前のメロンは高級フルーツの代名詞だったこともあり、そのまま食べるのが最高の贅沢だと思っていましたが、最近はお手頃価格のものも増え、少しアレンジして食べているという人も多いのではないでしょうか。
我が家では、生ハムメロンにすることもしばしば。よく冷やした白ワインとの相性は抜群です。
また、皮を器に使い、メロンボートにすることも。
フルーツを丸くくりぬくことができる道具を使うと、かわいく仕上がります。今回はフルーツトマトやブルーベリーを合わせましたが、桃や柑橘、モッツァレラチーズなどを加えても良いでしょう。
また、スムージーの食材として使うこともしばしば。アボカドや豆乳などと合わせるのも良いですし、ルッコラやクレソンなどのさわやかな葉野菜を加えてグリーンスムージーなどにすると、夏の暑い時期にさっぱり飲むことができます。
冷凍しておいたものでも作れるので、メロンの旬が終わってからでも楽しめます。
まとめ
以前と比べると入手しやすくなった「メロン」。さまざまな種類があり、特徴もそれぞれ異なっています。メロンの旬はまだ続きます。ぜひいろいろ食べ比べて楽しんでくださいね。
参考
茨城をたべよう https://www.ibaraki-shokusai.net/brand/melon/
静岡県温室農業協同組合 http://www.melox-shizuoka.or.jp/
静岡クラウンメロン http://www.crown-melon.co.jp
農林水産省 https://www.e-stat.go.jp/
TABIIRO https://tabiiro.jp/book/monthly/202205/tabesaki/
東京多摩青果株式会社 http://www.tamaseika.co.jp/mail/%E7%99%BD%E8%82%89%E3%83%A1%E3%83%AD%E3%83%B3/
工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。