タイ料理、シンプルクッキング研究家、サクライチエリです。
タイ料理でハーブをたくさん使うので、ハーブについてより深く知る為に、メディカルアロマインストラクターの資格を取り、レッスン時のお茶でも各種ハーブティーをお出ししています。
アロマセラピーというと、精油を使ったマッサージ等を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回は、より安全に気軽に楽しめる、ハーブティーを紹介させて頂きます。
ハーブの定義と薬用効果
では、「そもそもハーブとは?」という所からお話しします。
普段からお料理に使ったり、お菓子作りに使ったり、フレッシュなものから乾燥したものまで、色々なハーブに囲まれて我々は生活しています。
一言でまとめるとハーブとは、人間の心と体に何かしらの影響を及ぼす植物の総称です。
ハーブは精油を抽出したり、お茶にして香りや風味を楽しみながら飲まれたりという、様々な使われ方をされてきました。
その中で、薬効性という点で見てみると、ヨーロッパにおいては、古代ギリシアの時代から「植物療法」が広く行われていました。
今でもヨーロッパではハーブを原料とした医薬品が多く取り扱われております。中でもドイツには「コミッションE」という、医薬品に分類されるハーブの有効性を評価する、ドイツ連邦保健局の専門委員会が設置されています。
日本や中国では古くから「漢方」という言葉で、薬効成分の含まれている草木を病気に処方していますね。
台湾では体のバランスを整え、漢方薬を処方する中国医療の専門家「中医」の診療所がたくさんあり、台湾の保険証で保険診療が出来ます。
「何となく」の不調にこそ、ハーブティーをおすすめする理由
話を今回のテーマであるハーブティーに戻します。
ハーブティーというと、何だかオシャレで優雅な雰囲気かもしれませんが、「何となく」の不調を感じた時に、ハーブティーを飲むことをおすすめしたいです。
ハーブの有効成分は主に、水溶性有効成分と油溶性有効成分に分類することができます。
水蒸気蒸留法等で抽出された油溶性のものは「精油」とも言われ、芳香成分を鼻から取り入れ脳に働きかけ、神経系に作用します。
一方、ハーブティーはお湯で抽出する事で水溶性有効成分の他、植物のビタミン・ミネラル類を吸収する事も出来ます。
精油の方は、ハーブの成分がぎゅっと凝縮されたものなので、使用量に注意が必要です。お茶にして飲む分には、一度に大量に摂取する事も出来ないので、安全に穏やかに成分を摂る事が出来ます。
ハーブティーの淹れ方と、飲み方
ハーブティーの淹れ方は、それ程難しいものではありません。
1 温めておいたティーポットに、1人分につきティースプーン山盛り1杯のドライハーブを入れます。
2 ティーポットに沸騰したてのお湯を注ぎ、蓋をしたら1~3分蒸らします。
3 ティーポットを水平に軽く回してお茶の濃さを均一にし、茶こしでハーブを漉しながら、温めておいたティーカップにお茶を注ぎます。
フレッシュハーブの場合は、ドライハーブの2~3倍の量が目安です。
アイスティーにする場合は、ホットの場合のハーブの量に対して半分の量のお湯を注いで2~3倍の濃さのお茶を淹れ、氷を入れたグラスに注ぎます。
ハーブの作用を期待する場合はドライハーブ、香りをより楽しみたい場合は、フレッシュハーブで淹れると良いでしょう。(特定非営利活動法人 日本統合医学協会 公式テキスト1 参照)
次に、ハーブティーの飲み方についてです。
薬効を期待するなら、一度にたくさん飲むよりも、1日のうちに何度かに分けて飲んだ方が効果があると言われています。
飲む時間というのは、普段の水分補給の水分をハーブティーにするような感覚で飲むと良いです。
ですが、利尿作用のあるハーブのお茶を就寝前に飲むなどは避けるべきでしょう。
また、乳幼児にも使用できるとされているジャーマンカモミールでも、キク科アレルギーのある方には合わない可能性があるため、アレルギーにも注意が必要です。(特定非営利活動法人 日本統合医学協会 公式テキスト1 参照)
つまり気負いなく常識の範囲内で、楽しく美味しく続けていくのが良いという事です。
おすすめハーブティー3選
ハーブティーといったら、カモミールという位にメジャーなハーブですが、やはりメジャーならではの理由があります。
カモミールは、古代エジプト、古代ギリシア、そして古代ローマで重要な薬草とされていました。
現在では、カモミールは不眠や不安という心へも作用し、また胃腸障害に良いとされています。
また皮膚症状にも効果があり、赤ちゃんのおむつかぶれにカモミールティーで湿らせた柔らかい布で、拭いて上げると良いとも言われています。
ノンカフェインで、ほっとする甘い香りが特徴です。
お肌のトラブルにも有用なので、お風呂に入れてリラックスタイムを過ごすのもおすすめです。
爽やかなレモンの香りでリフレッシュ効果のある、レモングラスをおすすめします。
副交感神経の働きを助け、心に作用します。
アドレナリンの分泌を促す働きがあるとされ、気が散りがちな時に集中力を取り戻すのにも有効です。
アドレナリンの分泌を助ける割には適度に落ち着きをもたらす作用もあり、車の運転に良いとされ、レモングラスの精油は「ドライバーの精油」と呼ばれています。
東南アジアでは消化促進作用のあるハーブとして、各種お料理にも使いますし、血行促進作用があるのでマッサージ後のリラックスティーで出されることも多いです。
その他、レモングラスティーをおすすめする理由としては、このハーブ、ブレンドしやすいという事もあります。
レモングラス+レモンバーム+レモンバーベナという、レモンの香りの3重奏で楽しむのも良し。
ミントとブレンドして、よりスッキリした香りで頂くのも良し。
カモミールの甘い香りと合います。
色々な香りで楽しんでみてください。
なお、作用が強力なことから、子宮出血を誘発する場合がありますので妊婦、授乳中の方は多量の飲用は控える必要があります。
また、イネ科アレルギーの方もご注意下さい。
昨今、日本でもSNS映えするからか、随分人気が出てきましたが、タイでは昔から美容健康に良いハーブとしてお茶で頂く他、お菓子等の色付けにも使われていました。
お味は、マメ科の花のお茶なので、ほんのり豆の香りがします。
青い色はアントシアニンで、近年では健康に寄与する機能性物質として注目されています。抗酸化作用、がん予防効果、視機能改善作用、血小板凝集阻害作用などがあるとの研究があるようです。
アントシアニンが眼精疲労の軽減に一助になることは、様々な研究結果より示されているようです。
何よりもパソコン仕事の合間に、バタフライピーティーの青い色や、レモンを加えて紫に変わる様、はちみつを加えて味を変える等、視点を変えてほっと一息つく事に、意味があると思います。
まとめ
香りを楽しみながら、薬効成分も穏やかに摂取できるハーブティーに、ご興味を持っていただけたでしょうか。
お悩みの症状改善の為には飲み続ける事も大切ですが、それ以上に、ほっとするひと時を持つ事が大切だと思います。
ハーブの香りと味を楽しみながら、無理なくハーブティーのある生活を続けてみてください。
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。