紫色の芽キャベツとは
芽キャベツはキャベツをそのまま小さくしたような見た目なので、キャベツの成長途中で収穫したものと思われがちですが、実はそうではありません。
同じアブラナ科ではありますが、キャベツは1株から1つしか収穫できないのに対し、芽キャベツは1株から50個以上収穫することができます。
別名「子持甘藍(こもちかんらん)」とも呼ばれ、1株から伸びた茎と葉の付け根にできる脇芽が結球したものです。
一般的に出回っている芽キャベツはほとんどが緑色をしていますが、今回ご紹介するのは紫色のもの。
「パープルクイーン」や「パープルスター」などの品種があり、気温が低いほど紫色が濃くなりますが、天候の影響を受けやすく、きれいに着色しないこともあります。
巻きは緑のものと比べると少し緩め。味は緑よりもマイルドなので、芽キャベツの苦みが苦手という人は紫色にチャレンジしてみると良いかもしれません。
「紫芽キャベツ」の選び方と保存
切り口がみずみずしく、葉はつやがあって傷などがついていないものを選びましょう。
保存の際は、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて野菜室へ入れます。ただし、あまり日持ちはよくないので、たくさんある場合はかために茹でて冷凍すると便利です。
サラダなどに使う場合は自然解凍、スープや煮込み料理に使う場合は解凍せずにそのまま使いましょう。
紫色をキープするコツ
紫芽キャベツの紫色は、色素成分「アントシアニン」によるものです。
抗酸化作用などが期待できる反面、水に溶けやすい性質があるため、茹でると色が溶け出し、紫色がぼやけてしまいます。
次の写真は全て少しの塩を入れた熱湯で90秒茹でたものです。1つだけ色がぼやけているものがあるのが分かりますよね。
実はその1つは茹でる前に半分にカットしており、それ以外は丸ごと茹でてからカットしたものです。
たったそれだけで、これだけの色の違いが出てしまいます。茹でたものはなるべく早く冷ますようにすると、色が残りやすいです。
この方法で茹でたものをサラダにすると、鮮やかな紫色が映え、食卓を華やかにしてくれます。
また、茹でるよりもレンジで加熱した方が色がキープできます。この場合もなるべく加熱時間は短くし、素早く冷ますようにしてください。
さらに、カットしてから短時間で一気にグリルするのもオススメです。
塩胡椒や粉チーズをかけて焼き、オリーブオイルをかけるだけでシンプルなおつまみになります。白ワインなどにも合いそうですね。
紫色を活かすおすすめレシピ
紫芽キャベツとオレンジのマリネサラダ
【材料(2人分)】
・紫芽キャベツ 10個
・オレンジ 1個
・カシューナッツ 20g
・オリーブオイル大さじ1.5
・バルサミコ酢 大さじ1
・塩 適量
・胡椒 適量
・ブロッコリースプラウト トッピング用
【作り方】
1.紫芽キャベツは切り口を薄くカットし、十字に切れ目を入れる。
2.少量の塩(分量外)を入れた熱湯で好みのかたさ(90秒程度)になるまで茹でて水を切り、縦に4等分のくし切り(小さいものは半分)にして冷ます。
3.オレンジは皮をむいて果肉を取り、食べやすい大きさに切る。カシューナッツは粗めに潰す。
4.ボウルに芽キャベツ、オレンジ、カシューナッツを入れ、オリーブオイルとバルサミコ酢を加えて和え、塩胡椒で味を調える。
5.冷蔵庫に入れてなじませ、器に盛ってブロッコリースプラウトを散らす。
6.紫色が流れ出ないよう、芽キャベツは茹でた後にカットしています。バルサミコ酢を合わせることで、さらに深みのある紫になります。
甘めがお好きな場合はハチミツを加えても良いでしょう。レーズンなどのドライフルーツなども合います。
紫芽キャベツとタコの春色リゾット
【材料(1人分)】
・紫芽キャベツ 5個
・玉ねぎ 1/4個
・タコ(茹でてあるもの) 50g
・米 50g
・オリーブオイル 大さじ1
・バター 5g
・水 150ml
・白ワイン 50ml
・顆粒コンソメ 小さじ1/2
・粉チーズ 大さじ1
・塩 適量
・黒胡椒 適量
【作り方】
1.紫芽キャベツは切り口を薄くカットし、十字に切れ目を入れる。
2.少量の塩(分量外)を入れた熱湯でかために茹でて水を切り、縦に4等分のくし切り(小さいものは半分)にする。
3.玉ねぎはみじん切りにし、タコは一口大に切る。
4.フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、玉ねぎを炒め、透き通ってきたら米とバターを加えてさらに炒める。
5.米が透き通ってきたら、水、白ワイン、顆粒コンソメを入れて混ぜ、タコを加えてフタをし、弱火で米がやわらかくなるまで20分程度煮る。
6.紫芽キャベツと粉チーズを加えてなじませ、塩で味を調える。
7.器に盛り、黒胡椒をかける。
タコを入れることで淡いピンク色に染まり、春を感じる色に仕上がります。素材の紫色を残すよう、芽キャベツは途中で加えるようにしています。
お米が柔らかくなる前に水分がなくなってしまった場合は、少しずつ水を足すようにしてください。お好みで粉チーズを加えても良いでしょう。
まとめ
芽キャベツは栄養価の高さから注目される野菜の1つとなっていますが、その見た目の可愛さも人気の秘密。さらに紫色は食卓を華やかに彩ってくれます。ぜひその紫色を活かして楽しんでくださいね。
芽キャベツについて、もっと良く知りたい方は、芽キャベツから生まれたフリルのような形が特徴のプチヴェールについての記事もご覧ください。
参考
芽キャベツの苗(マスダケール)https://www.masudaseed.com/products/seedling/seedling-brussels-sprouts.html
映え野菜「芽キャベツ」(タキイ種苗株式会社)https://www.takii.co.jp/info/news_200728.html
芽キャベツ:グリーンスターとパープルクイーン3号ポット2種セット(園芸ネット本店)https://engei.net/Browse.asp?ID=134014
工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。