栗の渋皮が簡単にむける、画期的品種「ぽろたん」とは?
ぽろたんについてのご紹介の前に。栗の品種はどれくらいご存じでしょうか?栗好きでお取り寄せされる方は、丹沢、筑波や利平といった品種は聞いたことがあるでしょう。
ぽろたんは、早生の代表品種である丹沢に、極早生品種の中でつやの良い品種である森早生、実の大きさが特徴の国見などをかけ合わせた交雑種から選抜された、2007年登録の新しい品種です。
渋皮がポロンと剥けることと、広く愛されて欲しいという願いから、「ぽろたん」という可愛らしい名前が付けられました。
親品種である丹沢、国見と比べてみると、果実の比重は「丹沢」や「国見」より高く、ほくほくとした食感です。果肉は黄色で甘味、香気ともに丹沢や国見より多く、食味は良好というデータが出ています。
ぽろたんがどれだけ皮がむきやすいか試してみた。
「渋皮がむきやすい」特徴が人気のぽろたん。ぽろたんの皮のむき方は、説明書によると次の通りでした。
1.果肉に届く程度の深さ(約3.5mm)に、ぐるりと3/4周、包丁を入れます。
2.魚焼きグリルやトースターで加熱します。
3.熱いうちに、やけどに注意しながら、皮をむきます。
ということで、実際にぽろたんを取り寄せて試してみました。
皮の切り込みの入れ方については、何度か試行錯誤。
最初に包丁の刃元を押し込んで、そのまま包丁の峰に力を加えながらぐるりと切れ込みを入れていくのが、最も切りやすかったです。生栗の皮は固いので、切れ込みを入れるだけでもそれなりの力が必要でした。次に加熱します。
IHクッキングヒーターの魚焼きグリルで、中温、予熱なしの15〜20分加熱したところ、見事に黄色い実が顔をのぞかせていました。
その様子を見るために、ぽろたんを焼いてもいいと思った程にかわいらしい姿。加熱時間、温度については、各ご家庭で使用する機器によると思いますので、ご参考まで。
皮むきは焼き立ての熱いうちに済ませないと、渋皮が残りやすくなるとのことだったので、軍手をして行いました。名前のとおり、本当に「ぽろん」とむけるのが、楽しかったです。
実際に扱ってみた感想としては、皮に切れ込みを入れるのに骨は折れるけれど、焼けた時の姿や、本当に渋皮ごとぽろんと取れるのは感動しました。
ぽろたんはチルド保存がおすすめ
面倒な皮むきが、少しの包丁づかいで面白いほどにきれいに皮がむける、ぽろたん。新鮮なぽろたんが手に入ったら、冷蔵庫のチルド室での保存をおすすめします。
実は新鮮な栗の糖度は3~4%ほどしかありません。その栗を0℃くらいの場所で保存すると、実に多く含まれるデンプンが、低温で働く酵素によって糖に分解されます。
また、渋皮がぽろんと取れる事が特徴のぽろたんでも、貯蔵期間が長いものの方が、より渋皮が剥がれやすい傾向にあります。家庭で保存する時には、乾燥しないように薄手のビニール袋に入れて、袋の口は折っただけで縛らずに保存してください。
ぽろたんを使ったおすすめ料理3選
では、きれいに皮がむけるぽろたんの、おすすめ調理法をご紹介します。
焼き栗
加熱して渋皮がむけやすい栗といえば、チュウゴクグリで作る天津甘栗でしょう。ぽろたんは、和栗の味わいを焼き栗で堪能することが出来ます。しかも大粒なので、1粒でも十分に満足できる焼き栗になります。
栗ごはん
栗ごはんを作るにあたって、一番大変なのは鬼皮と渋皮をむく事です。
その点、ぽろたんは半分に切って2~3分加熱するだけで、渋皮も簡単に取れてしまいます。栗ごはん作りが格段に楽になりますよ。
栗の甘露煮、マロングラッセ
栗の形をきれいに残したい、マロングラッセや甘露煮も、ぽろたんで作れば最初の工程が楽になります。
まとめ
栗は好きだけど皮むきが大変という方も、ぽろたんを使えばご家庭で秋の味覚を簡単に楽しむことができます。食欲の秋、色々なお料理にぽろたんを活用してみてくださいね。
みんなの趣味の園芸:https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-575/target_tab-3
農研機構:https://www.naro.go.jp/collab/breed/0400/0407/001257.html
農研機構:http://www.naro.affrc.go.jp/archive/fruit/porotan/hanashi/eat/store.html
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。