タイ料理、シンプルクッキング研究家、サクライチエリです。
タイで8年間生活しましたが、実はドリアンを自分で買った事がありません。
タイ人が買った割りたてのドリアンを美味しく頂いた事は何度もありますが、ドリアンにまつわるさまざまな噂が気になり、1人で買って食べるのを躊躇したまま帰国しました。
一方で日本帰国後にスーパー等でドリアンを見かけると「これは私に買って欲しいと言っているのかな?」など、ドキドキしながら売り場を通り過ぎています。
この記事を読んで、ドリアンに熱狂する人の気持ちが分かる方が少しでも増えたら嬉しいです。
ドリアンの基本情報
ドリアンは、東南アジアのマレー半島が原産で、アオイ科の常緑の多年生植物です。
英語では、Durian、マレーシアではドゥリアン、タイではトゥリアンと呼ばれています。ドリアンの名前は古いマレー語でトゲを意味する「duri」という言葉に「an」という接尾辞がついたものです。
タイでのドリアンの旬は東部地方が4~6月、南部地方が6~8月です。その時期には、車で走っていると、隣を走るトラックの荷台に溢れんばかりのドリアンが積まれている光景を目にして、ぎょっとしたものです。
1つあるだけでも強烈な存在感を放つドリアンですが、原産地のマレーシアだけでもおよそ100種類以上あると言われています。
お味は例えるなら「森のカスタードクリーム」です。黄色い果肉はねっとりとしてクリーミー。濃厚だけれどくどくなく、上品な甘み。外見とのギャップも相まって、次々と食べたくなる気持ちも少しわかります。
また、私がタイでよく食べていた種類、「モントーン種」は割りたては臭さは気になりませんでした。
ドリアンにまつわる様々な小ネタ
その佇まい1つとっても強烈な存在感を放つドリアンですが、色々な逸話があります。私がタイに居た時に聞いた話を幾つかご紹介させて頂きます。
ドリアンは、実は日本に持ち込める
ドリアンは、植物検疫では出国政府機関により発行された検査証明書(Phytosanitary certificate)を添付して入国時の税関検査の前に輸入検査を受ければ、日本に持ち込めます。
しかし、そもそも航空会社が匂いが漏れるのを理由に持ち込みをお断りしていると聞いた事がありますし、あの巨大なトゲトゲを機内に持ち込んだら、眉切りハサミなんて目じゃない位の凶器になると思います。
タイとマレーシアの温度差
ただでさえ色々な意味でインパクトのあるドリアンですが、多くの品種が存在します。
マレーシアでは品種改良が盛んに行われています。ドリアンの種類は名前以外に「D(ドリアン)24」「D197」などの登録番号が付けられています。そして、お金持ちは、前年に美味しい実をつけた木を「予約」して、その木で実ったドリアンを買い占めたりもするそうです。
それに比べると、タイで流通しているドリアンは「モントーン(金の枕)」「ガーンヤーオ(長い柄)」「チャニー(手長猿)」以外の種類は聞いた事がありません。
また、ベトナムやマレーシアでは、買い手が真剣に美味しいドリアンを選ぶと聞いたことがあります。
一方でタイで見ていた限りでは、屋台のおばさんに選んでもらい、その場で割って中身を確認、見た目、触った感じが固そうだったりしたら、別のものを割ってもらうという、大らかな感じで選んでいました。
インドネシアのドリアンは美味しくない
失礼な逸話ではありますが「インドネシアのドリアンは美味しくない」とタイ人から聞かされた事があります。理由は「本当に美味しいドリアンは、人間が収穫する前にオラウータンが匂いを嗅ぎつけて食べてしまうから」だそう。
タイには野生のオラウータンが居ないから、美味しいドリアンが食べられる」だそうです。種(しゅ)の保存の為、動物に食べてもらってタネを遠くに運んでもらえるように、ドリアンがあの匂いを発しているとしたら、さもありなんなお話ですね。
ついでに、確実に美味しいドリアンが食べられるのは「美味しいドリアンをたくさん仕入れている、シンガポール」とも言われています。
ドリアンとお酒の相性が悪いという噂は本当か?
ドリアンについて、まことしやかに囁かれている噂で「お酒と一緒に食べると大変な事になる」というのがあります。
実際、私の知り合いの中にも「迷信だと思ってドリアンを食べてウイスキーを飲んでいたら、熱が出て、お腹がものすごく張って、まさに九死に一生を得た感じだった」という経験をされた方もいらっしゃいます。
残念ながら、未だにアルコールとドリアン成分の関連性は解明されていないそうですが、タイ保険省がドリアンとお酒を同時に摂取しないよう警告を出しています。
もっとも、ドリアン好きのタイ人の話を聞くと、ドリアンまるまる1個分など、ペロリと食べられるともいうので、高カロリーのお酒と一緒にドリアンを大量に食べたら、控えめに言っても健康的な食べ方ではないと思えます。
なお、ドリアン100gのカロリーは140kal。マグネシウムやリン、銅などのミネラル類が豊富で、また、葉酸やナイアシン、ビタミンB1の含有量は、果物の中でトップクラスになります。
ドリアンは、適量を食べる分には、むしろ栄養価が高い優秀な果物なのです。
まとめ
その見た目、匂い、味、全てにおいて話題満載な「果物の王様」のドリアン、食べてみたくなりましたか?
気軽に海外に行くことが出来なくなった今、ドリアンを買って、この記事の小ネタ等を思い出しながら、味わい、楽しんでいただければ幸いです。
因みに、私もこの記事の為に色々調べていて知ったのですが、ドリアンのご先祖様は計6500万年前のカカオだと考えられるそうです。
東南アジアの果実と言ったら…?
東南アジアにはドリアンの他にも有名な食材がたくさんあります。
中でもマンゴスチンは旅行でファンになる人もいるのではないでしょうか。「果実の女王様」とも呼ばれるこの果実には知られざる魅力がたくさんあります。
気になった方はこちらの記事もご覧ください!
出典
マイナビ農業 https://agri.mynavi.jp/2020_09_13_131687/
植物防疫所 https://www.maff.go.jp/pps/j/trip/oversea/faq/index.html
食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07087_7
BBC https://www.bbc.com/japanese/41565926
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。