タイ料理、シンプルクッキング研究家、サクライチエリです。
タイで料理を教えていた際に、生徒さんから「中華街で売られているごま団子を作りたい」との要望があり、タイでは納得いくレシピに出会えずに香港まで習いに行ったことがあります。
今回は簡単に作れるごま団子のレシピと、世界中で使われるごまの栄養や歴史についてご紹介いたします。
ごまの産地と栄養素について
ごまの原産地はアフリカのサバンナ地方と言われています。そんな乾燥地帯に栽培されるごまの生産量はミャンマー、インド、中国、タンザニアの4カ国が大半を占めています。
日本のごまの自給率は0.1%で、主な産地は九州地方です。
ごまの栄養素と聞いて「セサミン」を思い出す方も多いかと思います。二日酔いに効くなどの効能で知られていますね。
セサミンは、体内で過酸化脂質が増えることを抑制し、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールの増殖を防ぐと言われています。特に活性酸素が多く発生する肝臓において強い抗酸化作用を発揮し、肝臓のアルコール分解を助ける働きも。
また、リノール酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸を約50%含んでいます。リノール酸、オレイン酸は、血中のコレステロールを減らす作用があり、血管を浄化して血行を良くします。
その他、ごまには必須アミノ酸をバランス良く含んだたんぱく質が約20%。ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウム、鉄、マグネシウムも含まれています。
ごまの栄養をより取り入れやすくし、香りを楽しむためには、食べる直前に摺ることがおすすめです。
世界で愛されるごまの使い方
小さな一粒の中に良質の脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを閉じ込めたごまは、古来より世界中で愛されていました。
原産地であるアフリカでは、古代エジプトにおいて食用、燃料、薬用に使われ、クレオパトラもボディオイルとして愛用していたそうです。
アラビアンナイト「アリババと40人の盗賊」で、さやからはじける様から、パワー、神秘性の象徴として「開けごま!」の合言葉にもなったのだとか。
インドでは伝承医学「アーユルヴェーダ」にごま油が用いられ、中国の世界最古の医薬書「神農本草経」では黒ごまが「気力を増し、脳髄を補い、飢えず、老いず、寿を増す」と紹介されています。
一方で、日本にごまが入ってきたのは縄文時代と言われています。その後、6世紀に仏教が伝来したことにより、ごま豆腐、ごま和え、ごま油の天ぷらなど、精進料理の食材として多用されるようになりました。
江戸時代になると、日本のことわざにもごまが登場しています。「ごまを摺る」は、すりばちで砕かれてべったりくっついたごまの様子をごきげん取りの場面に見立てたところから言われたとされています。
「ごまかす」は、「胡麻胴乱(ごまどうらん)」というお菓子の中身が空洞だったところから「見掛け倒し」の意味として流行った説など、諸説あるそうです。
白ごまと黒の違いについて
世界中で愛されているごまですが、実は世界には3000種類程のごまが確認されています。その中で、種子の外皮の色によって白・黒・金の大きく3種類に分けられます。
産地の違いで言えば、白ごまはアフリカや東南アジアなど温帯や亜熱帯地域で栽培され、黒ごまは中国や東南アジアが主な産地です。
栄養面で言うと、黒ごまの黒い皮にはアントシアニンというポリフェノール色素や不溶性食物繊維の一種であるリグニンが含まれています。また、種皮の割合が多くその分カルシウムなどが多く含まれているとされます。
白ごまは、黒ごまと比べると脂質が若干多くゴマ油になるのは白ごまです。
黒ごま、白ごまの他に金ごまという種類もあり、こちらは白や黒と比べると脂質が高く、香り高いコクのある味わいが特徴的です。
なお、この3種のごまはそれぞれ若干含まれる量の違いはありますが、栄養成分の違いはかなり小さいようです。
とろけるごま団子の作り方
体にもよく、積極的に頂きたいごまですが風味付けとして使用することも多いですよね。
今回は、アジアンスイーツとしてごまをたっぷり頂くことのできるレシピをご紹介します。
【とろけるごま団子】
<4-5人分>
材料
黒すりごま 25g
練り胡麻 大さじ2
はちみつ 小さじ1~2
ごま油 適量
白玉粉 75g
水 大さじ5-6程度(要調整)
作り方
1. ボウルに黒すりごまと練りごま、はちみつを入れてよく混ぜ合わせます。
2. 手のひらに適量のごま油をつけて、ごま餡をを直径1.5㎝程度の大きさののボウル状に丸めてバットに並べたら、冷凍庫で凍らせます。
3. ボウルを洗い、白玉粉を入れて水を加えたら、耳たぶ程度にまとめます。
4. 冷凍庫からごま餡を出し、白玉で包み、たっぷりのお湯を沸かした中に入れて茹でます。
5. 団子が浮き上がってきたら器にとって、出来上がりです。
食べ方は、そのままでも美味しいですし、お皿にとってきなこをまぶして頂くのもいいです。水10:黒糖3と生姜を適量、お鍋で沸かしたものに入れて頂くのもおすすめです。
まとめ
世界中で愛されていて、栄養満点のごまについて、少し掘り下げてみました。
料理に少し加えるだけで風味が良くなりますので、日々の食卓の彩りに取り入れてみてくださいね。
かどや
https://www.kadoya.com/enjoy/page01.html
JETRO
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/7700632103699a18.html
大地を守る会
https://www.daichi-m.co.jp/foodreport/322/
和田萬
https://www.wadaman.com/about_sesame/
わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/sesame/
JA
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=64
カタギ食品
https://www2.katagi.co.jp/story/world.html
農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1610/01.html
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。