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様々な名前を持つ「イサキ」
イサキの名前は「斑模様の目立つ魚」という意味の「斑(いさ)」「魚(き)」が語源とされ、日本各地でイサギ、イッサキ、イセギ、イッサクなどと呼ばれています。
漢字では当て字の「伊佐木」「伊佐幾」」と書いたり、背びれのトゲがニワトリのとさかのように見えるところから、「鶏魚」と書いて「イサキ」と読ませることも。
小型のイサキは縦縞がはっきりしていて、成長するに従って縞模様が消えていくので、その様子から小型のイサキをイノシシの子と同じく「瓜坊」と呼ぶ地域もあります。
また、気になるのは和歌山県で呼ばれている「鍛冶屋殺し」という別名。
イサキの骨が固く鋭く、包丁を傷めるので鍛冶屋が難儀するという事からという説と、あまりのおいしさに骨までしゃぶって喉に骨を刺して死んだ鍛冶屋がいたという説があります。
英語名はChicken grunt。gruntとは「豚のブーブーという鳴き声」という意味。イサキを捕まえると浮袋を鳴らすことが英名の由来です。
このように、様々な呼び名があるという事は、イサキが各地で親しまれているという事なのでしょうね。
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イサキの旬はいつ?
イサキの旬は、5〜7月。6~9月の産卵期に向けて栄養を貯える時期がイサキが最も美味しい時期です。
特に6月頃のイサキは「梅雨イサキ」または「麦わらイサキ」と呼ばれ、市場でも高値で取引されます。
同じ時期に魚の王様であるタイが味が落ちて「麦わら鯛」と言われているのに対して「麦わらイサキ」は、濃厚な脂と磯の香りの立ったおいしいイサキと言われています。
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おいしいイサキの選び方
おいしいイサキの選び方は、以下の通りです。
・体表にツヤがあり、ウロコのきれいなもの。
・体がピンとしていて硬いもの
よく、魚は「目の澄んだものが新鮮なもの」と言われていますが、イサキに関しては鮮度に関わらず目が白く濁るので、目は基準にしなくてOK。特に内臓から傷むので、入手したらなるべく早く内臓を抜いて下さい。
保存方法は、冷水で洗ってから水気をよくふき取って、空気に触れないように包んだら冷蔵庫のチルド室に入れます。
すぐに使わない場合は冷凍庫に入れて保存しましょう。
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イサキを楽しむレシピ3選
初夏になると脂が乗っておいしいとされている、イサキ。
もちろん塩焼きも美味しいのですが、旬のイサキを楽しむ食べ方をご紹介します。
1 お刺身
大型で新鮮なイサキが手に入ったら、まずはお刺身で楽しんで下さい。
とれたてはコリコリした軽い食感、1~2日おいたものはモッチリした凝縮した旨味が味わえます。また、皮と身の間の脂が美味しいので、皮目に焼き目をつけた、タタキにしても良いです。
2 アクアパッツァ
まるごと1尾のイサキを蓋つきのフライパンで蒸し焼きにして、出来立てをテーブルに出せば、簡単なのに豪華なおもてなし料理になります。
〈材料〉
【4人分】
イサキ 1尾
あさり 100g
ニンニク 1片
玉ネギ 1/2個
ミニトマト 8個
ブラックオリーブ 10個
タイム 5枝
パセリ 1枝
オリーブオイル 大さじ2
白ワイン 大さじ3
塩、コショウ 適量
〈作り方〉
1 イサキは内臓と鱗を取り除き、食べやすいように身に切れ込みを入れ、塩を振ります。
2 イサキが入る大きさのフライパンにオリーブオイルと潰したニンニクを入れて中火で香りが立つまで加熱します。
3 イサキの両面を、皮がカリッとする位に焼きます。
4 イサキの周りに薄切りにした玉ネギ、ヘタを取ったミニトマト、黒オリーブ、タイムとアサリを加え、白ワインを振ったら蓋をして10分程度、全体に火が通るまで蒸し煮にします。
5 仕上げにパセリを散らしたら、コショウを挽き、あつあつをテーブルに持って行きましょう。
3 揚げイサキの甘酢あんかけ
上品な味わいの白身魚のイサキは、揚げても美味しいです。
〈材料〉
【4人分】
イサキ 1尾
サラダ油 適量
にんにく 1片
赤唐辛子 1本
ナンプラー 大さじ3
米酢 大さじ3
黒砂糖 大さじ4
パクチー 1本
〈作り方〉
1 イサキは内臓と鱗を取り除き、身に切れ込みを入れます。
2 たっぷりのサラダ油を中火で熱し、水気をよく切ったイサキを入れて、カリッとするまで揚げます。
3 イサキをお皿に移し、油を捨てたらみじん切りにしたニンニクと赤唐辛子、ナンプラー、米酢、黒砂糖を加えて、トロリとする位に煮詰めます。
4 あつあつのソースをイサキにかけ、パクチーなどの葉を飾ります。
まとめ
イサキは今回ご紹介した調理法の他にも、唐揚げにしても蒸し物にしても美味しく食べられます。
初夏に美味しいイサキを、骨に気を付けながら様々な調理法で楽しんでみてくださいね。
参考
三重県 https://www.pref.mie.lg.jp/suigi/hp/78731017362.htm
Pride Fish https://www.pride-fish.jp/JPF/pref/detail.php?pk=1473476247
サカマ図鑑 https://sakama.tokyo/blog/archives/7272
つりまる https://tsurimaru.jp/articles/891
東京都島しょ農林水産総合センター https://www.ifarc.metro.tokyo.lg.jp/archive/27,3534,79.html
紀州漁業協同組合 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/syokuzai/index_d/fil/4isagi_1.pdf
横浜丸魚株式会社 https://www.yokohama-maruuo.co.jp/food/%E9%8D%9B%E5%86%B6%E5%B1%8B%E6%AE%BA%E3%81%97%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%82%AD/20160128.html
東海大学 https://www.muse-tokai.jp/wp/wp-content/uploads/2017/08/umihaku_47-1.pdf
神港魚類株式会社 https://www.maruha-shinko.co.jp/uodas/syun/26-isaki.html
RadiChubu https://radichubu.jp/kibun/contents/id=37488
マルハニチロ https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article100/
萩しーまーと http://seamart.axis.or.jp/contents/fish_talk/natu/isaki.html
文献
海の釣魚料理・Gakkenムック
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。