こんにゃくとは
毎年5月29日は「こんにゃくの日」。1989年に一般財団法人日本こんにゃく協会と全国こんにゃく協同組合連合会が制定した記念日です。
「5(こん)2(にゃ)9(く)」の語呂合わせの意味もありますが、こんにゃくのもととなる「こんにゃく芋」の植え付け時期が5月頃であることも、この日が選ばれた理由の1つ。
「こんにゃく芋」はサトイモ科コンニャク属の多年草で、じゃがいもと同じように種芋から育てます。
冷涼な傾斜地で最初の年にできた小さな生子(きご)を収穫して保存し、次の春に再び植えます。それを秋に収穫し、さらに次の春に植え、またその年の秋に収穫。そうして3年ほどかけて直径30センチほどになった「こんにゃく芋」を加工して作られるのがこんにゃくです。
「こんにゃく芋」を使って作ったこんにゃくは芋の皮が入り、色が黒っぽく仕上がります。
しかし、「こんにゃく芋」を使う以外にもこんにゃくを作る方法があります。
それが、こんにゃく芋を加工して作った「こんにゃく精粉(せいこ)」を使う製法。
「こんにゃく精粉」は、生のこんにゃく芋を水洗いし、薄く切って乾燥させた荒粉(あらこ)を混じり気のない微粒子の粉にしたもので、この粉を使って作る方法が確立されたことで、腐りやすい「こんにゃく芋」を加工して保存できるようになり、1年中こんにゃくが製造できるようになりました。
「こんにゃく精粉」を使って作ったこんにゃくは白く仕上がりますが、「こんにゃく芋」から作るこんにゃくに似せるため、ひじきなどの海藻粉末を入れて着色しているものも多くあります。
こんにゃくの種類
こんにゃくは製造方法や水分量の違いによってさまざまな種類に分けられます。
板こんにゃく
型などを使って形を整えて固めたこんにゃくです。こんにゃくというと真っ先にこれを想像する人も多いのではないでしょうか。写真のものは、「こんにゃく精粉」を使って作られた板こんにゃくで、海藻粉末が含まれています。
用途に合わせてカットしやすく、お煮しめなどで飾り切りをする場合にはこのタイプが選ばれることが多いです。
玉こんにゃく
型などを使わずに丸めて茹でたこんにゃくで、写真のものは「こんにゃく芋」から作られた玉こんにゃくです。握りこぶしほどの大きさで作られることが多いですが、山形県では「玉こん」の愛称で親しまれる直径3センチほどの玉こんにゃくが一般的。醤油で煮付け、からしを添えていただくスタイルが定番です。
つきこんにゃく
板こんにゃくをところてんのように押し出したこんにゃくです。写真のものは、「こんにゃく精粉」を使って作られたつきこんにゃくで、海藻粉末が含まれています。
断面積が広くて味がなじみやすく、炒め物などの短時間で調理するものにも向いています。
さしみこんにゃく
他のタイプに比べて水分が多く、やわらかいこんにゃくです。写真のものは「こんにゃく精粉」を使って作られたさしみこんにゃくで、青のりが含まれています。魚介の刺身のように、わさび醤油などで食べられるのはもちろん、サラダやマリネなどにも向いています。
糸こんにゃく(しらたき)
固まる前の糊状のこんにゃくを細い穴に通しながら茹で、糸のように細いひも状にしたこんにゃくです。写真のものは、「こんにゃく精粉」を使って作られた糸こんにゃくで、海藻等が含まれておらず、真っ白に仕上がっています。
つきこんにゃく同様、断面積が広くて短時間で味がなじむため、すき焼きや和え物などに向いています。また、春雨や麺の代わりに使うこともできます。
粒こんにゃく
ごはん粒ほどの大きさに加工したこんにゃくです。写真のものは、「こんにゃく精粉」を使って作られた粒こんにゃくです。カロリーカットのためにお米に混ぜて炊くのが主流ですが、ひき肉の代わりに使うこともできます。
また、タピオカの様にドリンクに入れても良いですし、ヨーグルトに入れてプチプチ食感を楽しむのもおすすめです。
こんにゃくのあく抜き方法
こんにゃくの原料となる「こんにゃく芋」にはえぐみがあり、こんにゃくをかためるときに使う凝固剤には独特の匂いがあります。これらを取り除くために行なうのがあく抜きです。
最近では「あく抜き不要」と書かれているものも多く、必ずしなければならない工程ではありませんが、あく抜きをすることで食べやすくなります。
あく抜きの方法はいくつかありますが、今回は2つほど紹介します。
塩もみをする
こんにゃくを水で洗って用途に合わせた大きさにし、小さじ1程度の塩をしてもみます。
5分ほどおくと水が出てくるので、水で洗ってザルにあげ、水気を切りましょう。
下茹でをする
熱湯にサッとくぐらせてザルにあげ、水気を切ります。
塩もみと下茹での両方を行なうと効果が増し、味の染みこみも良くなるのでおすすめです。その場合、塩もみのあと、水で洗う必要はありません。
こんにゃくの保存方法
開封前のものなら常温で保存できます。直射日光を避け、冷暗所で保存してください。
開封後は、水を張った容器に入れ、冷蔵庫で保存してください。こんにゃくと一緒に入っていた水があれば、それを使いましょう。なるべく早めに使い切るようにしてください。
また、どうしても使いきれない場合は、冷凍する方法もあります。凍らせると食感が変わり、スポンジのような穴が開いてかたくなりますが、味は染みやすくなります。細く切ってきんぴらにしたり、肉に見立てたりする使い方ができます。
こんにゃくの活用レシピ
糸こんにゃくとエビのエスニックサラダ
【材料(4人分)】
・糸こんにゃく 150g
・むきエビ 150g
・豚ひき肉 80g
・セロリ 1本
・紫玉ねぎ 1/2個
・ナンプラー 大さじ2
・レモン果汁 大さじ2
・砂糖 小さじ2
・片栗粉 大さじ1
・塩 少々
【作り方】
1.糸こんにゃくは軽く茹でて水気をしっかりと切り、食べやすい長さに切る。
2.むきエビは背ワタを取ってボウルに入れ、片栗粉と塩を入れて揉み、水で洗う。
3.セロリは斜め薄切りにし、紫玉ねぎは薄切りにする。
4.お湯を沸かし、むきエビと豚ひき肉を茹でる。
5.ボウルにナンプラーとレモン汁、砂糖を入れてよく混ぜ、糸こんにゃく・エビ・豚ひき肉を加えて和える。
6.食べる直前にセロリと紫玉ねぎを加えて和え、器に盛る。
5月29日はこんにゃくの日であると共にエスニックの日でもあるので、それにちなんでエスニックな味付けに仕上げました。タイで親しまれるヤムウンセンに似ていますが、春雨の代わりに糸こんにゃくを使っています。お好みで赤唐辛子や砕いたピーナッツ、パクチーなどを加えても良いでしょう。また、レモンの代わりにライムを使うとより本格的な味に近づきます。
冷凍こんにゃくの辛味噌炒め
【材料(4人分)】
・板こんにゃくまたは玉こんにゃく 200g
・キャベツ 1/6個
・ピーマン 2個
・ニンジン1/4本
・ニンニク 1片
・ごま油 大さじ1
[合わせ調味料]
・酒 大さじ2
・味噌 大さじ2
・砂糖 大さじ1
・醤油 大さじ1
・豆板醤 小さじ1
【作り方】
1.こんにゃくのあくを抜き、薄く切って保存袋に入れ、空気を抜いて1日以上冷凍する。
2.1を解凍し、1つずつ水気をしっかりしぼる。
3.キャベツ・ピーマン・ニンジンはざく切りにし、ニンニクはみじん切りにする。
4.フライパンにごま油とニンニクを入れて火をつけ、香りが立ったら2のこんにゃくを加えて炒める。
5.キャベツ・ピーマン・ニンジンを加えて油がなじむまで炒め、混ぜておいた合わせ調味料を加えて絡めながら火が通るまで炒める。
冷凍したこんにゃくを使い、弾力のある食感が楽しめる1品です。水気が残っていると炒める際に飛びやすいので注意してください。最初にこんにゃくだけを炒めて水分を飛ばすのがコツです。冷凍前のこんにゃくでも作れますが、先に乾煎りしてから使うと味が入りやすくなります。両方使って食感の違いを楽しむのもよいでしょう。
豆乳こんにゃくスムージー
【材料(1杯分)】
・こんにゃく(こんにゃく芋から作られているものが理想) 50g
・オレンジ 1/2個
・バナナ 1本
・豆乳 50ml
【作り方】
1.こんにゃくはあく抜きをして、適当な大きさに切る。
2.オレンジとバナナは皮をむき、適当な大きさに切る。
3.全ての材料をミキサーにいれ、なめらかになるまで攪拌する。
こんにゃくは、栄養素を丸ごと摂取できるスムージーにもピッタリ。「こんにゃく芋」から作られたこんにゃくを使った方がふわふわに仕上がります。今回は飲みやすさを重視してフルーツのみを入れていますが、小松菜や水菜などの葉物を入れても良いでしょう。
まとめ
こんにゃくというと、筑前煮やおでんなどの和食に入っているイメージが強かったかもしれません。しかし今回の記事を読んで、こんにゃくの新たな世界が広がったのではないでしょうか。
ご紹介したもの以外にも、揚げたものや干したもの、麺類やお肉、スイーツなどに見立てたものなど、さまざまな加工品も出回っています。
カロリーが少なく、健康食材としても注目されているこんにゃく。ぜひ味わってみてくださいね。
参考
一般社団法人こんにゃく協会 https://www.konnyaku.or.jp/
共栄蒟蒻株式会社 http://www.konnyaku.com/index.html
蒟活公式サイト https://koubin.com/konkatsu/
玉こんにゃく 山形県(農林水産省) https://koubin.com/konkatsu
工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。