レモンの歴史と日本でのレモン生産量
レモンはヒマラヤ山脈の麓の温暖な地域、インドのアッサム地方が原産です。そこから、時を経て地中海沿岸やアメリカ大陸に伝えられました。
2019年の統計によると、世界のレモン生産量は原産地のインドが1位、2位がメキシコ、3位が中国となっています。日本への輸入量は2019年の統計で約54,287トン。主にアメリカ(57%)、チリ(37%)から輸入されています。
日本に初めてレモンが入ってきたのは明治時代の1873年。静岡県の熱海で外国人がレモンの種を庭先に埋めたものが育ったという始まりだそうです。
冬に暖かく夏に雨の少ない気候で、水はけの良い土壌を好むレモン。日本では瀬戸内地方などで栽培が盛んになってきましたが、1964年のレモン輸入解禁と共に、一時期生産量が激減しました。
1980年代から生産量が回復し始め、現在では国産の香酸系柑橘類で最大の生産量をもつ柚子と肩を並べるまでになりました。
2018年の統計による日本のレモン生産量は約5,528トンで、1位は広島県(42%)、2位が愛媛県(31%)、3位が和歌山県(10%)他、全国21都府県で栽培・出荷されています。
日本で栽培されているレモンの種類
日本で栽培されているレモンの種類は、主にリスボン種とビラフランカ種、そしてユーレカ種の3種です。
現在、広島県は日本一のレモン生産量を誇りますが、元々、和歌山県からネーブルの苗木を購入した際に混入していたレモンの苗木3本、リスボン種の試植が始まりでした。
リスボン種は、レモンの品種の中では最も耐寒・耐暑性があり、果汁量が多く酸味が強いのが特徴です。一方、ビラフランカ種は、トゲが少なく、他の品種よりも収穫量が多いレモンとなります。
また、世界中で最も多く栽培されているユーレカ種は、主に愛媛県で栽培されています。ユーレカ種は果肉が柔らかくジューシーで香りが良い品種です。
その他にも、日本ではトゲの少ない品種に改良したアレンユーレカ種、一般的なレモンよりも酸味の少ないマイヤー(メイヤー)種などが栽培されています。
レモン産地各地の取り組み
レモンは冬場の低温に弱く、トゲを持つため強風で果実が傷つきやすく、さらに雨が降りやすい気候では柑橘のカイヨウ病などにかかりやすい作物です。
その点、瀬戸内地域は,台風の上陸もまれで強風に晒されづらく、また、海に囲まれた島では気温の日較差が小さく積雪の可能性も低いため、ちょうどレモン栽培に適した地です。
レモン生産量全国1位の広島県は、レモンのブランド化と、業務用・加工用の需要の開拓に取り組み、さらには企業や同じ瀬戸内地域の愛媛県とコラボしてPR活動や観光業とのタイアップにも力を注いでいます。
同じ瀬戸内地域であり、レモン栽培が盛んで、生産量全国2位の愛媛県では、「人」の熱意で高品質レモンを生産・販売することに取り組んでおり、行政も移住、レモン就農の支援を行っています。
例えば、「青いレモンの島」を商標登録し、島全体で高品質レモン栽培に取り組む、岩城島の「青いレモン」を愛媛県の地域ブランドとして紹介しています。その岩城島を含む上島町は、町を挙げて移住者を受け入れており、その移住者が第六次産業の会社を興し、SNSなどを通じて愛媛レモンの魅力を発信しています。
その他にも、神奈川県、和歌山県、三重県などで、トゲが少なく病気に強い新品種の「璃の香」の普及に取り組むなど、国産レモンの生産量は、さらに増えつつあります。
国産レモンの使い方おすすめ3選
国産レモンは、とれたてのものがすぐに流通するため、防腐剤、ワックスを塗布しないものも多くあり、皮ごと楽しめることで人気です。
そこで今回は、レモンを皮ごと簡単に楽しめる使い方をご紹介します。
レモン鍋
鶏の水炊きや豚バラと白菜のミルフィーユ鍋など、あっさりした味の鍋料理の上にたっぷりのレモンスライスを乗せて煮こむのがオススメ。
こうすることで、見た目も華やかで、さっぱりした味わいのレモン鍋になります。
レモンのはちみつ漬け
洗って薄切りにしたレモンを清潔なビンに入れ、たっぷりのはちみつを注ぎ、一晩寝かせたら出来上がりです。
炭酸やお湯で割ったり、紅茶に入れたり、ヨーグルトやアイスクリームに乗せて食べてもおいしいです。また、鶏肉のソテーを作る時に一緒に焼いて添える使い方もできます。
塩漬けレモン
これは、モロッコでポピュラーな調味料です。
清潔なビンに乱切りや輪切りなど、使いやすい形、大きさに切ったレモンと塩を交互に入れて、隙間が出来ないようにぎゅっと押し込み、最後にフタをするように塩を詰めてからビンのフタをして、冷暗所で1週間ほど寝かせたら、出来上がりです。
例えば、煮込み料理に入れたりサラダのドレッシングに使ったり、さらにはお刺身につけるなど、色々なかたちで楽しめます。
まとめ
国産レモンは、8月にハウスレモンが出回り、10月~11月は緑色の鮮やかなグリーンレモン、12月~5月はイエローレモンが出荷されます。
また、今までは一番レモンが欲しくなる夏に、国産レモンが手に入らないと言われていましたが、貯蔵・包装技術が発達したことにより、6~8月には個包装レモンが出荷されるようになりました。
時期によって、また、産地や品種によっても香りや味わいが違ってきますので、ぜひ季節ごとのレモンを皮ごと味わってみてください。
参考
農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1407/01.html
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0006/19.html
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1407/01.html
千葉県 https://www.pref.chiba.lg.jp/ninaite/seikafukyu/documents/h25-5-lemmon.pdf
日本テレビ https://www.ntv.co.jp/dash/village/21_akio/2013/0324/
広島県
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/kazyuyasaikaki/setoushihiroshimalemon.html
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/lab/topics/20211228/01/
こちら広島県庁広報課 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/kouhou/weekly-topic-detail.html?d=20200117&n=1
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 https://www.pokkasapporo-fb.jp/lemon-museum/know/variety/
JA三原 https://www.jamihara.or.jp/agri/lemon/
公益財団法人国土地理協会 https://www.kokudo.or.jp/grant/pdf/h29/kawakubo.pdf
一般社団法人 移住・交流推進機構 https://www.iju-join.jp/cgi-bin/recruit.php/2/detail/221
全国農業共済協会 http://nosai.or.jp/mt6/2014/02/post-1160.html
農研機構 https://www.naro.go.jp/publicity_report/season/054151.html
ひろしま観光ナビ https://www.hiroshima-kankou.com/gourmet/ichioshi/lemon
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。