イタリア原産のブラッドオレンジ
ブラッドオレンジは、イタリアのシチリアが原産の赤い柑橘の総称で、果肉が「血(blood)」のように紅いことから名づけられました。国内での流通が始まった頃はイタリア産やアメリカ産が主流で、生でいただくというよりジュースなどの加工品が多く出回っていました。
実は私が最初に出会ったのもジュース。あるお店で少し変わった名前のオレンジジュースがあったので注文してみると、トマトジュースのように真っ赤なブラッドオレンジジュースが出てきて驚いたことを今でもよく覚えています。
あれから時を経て、今では、愛媛県や大分県などでブラッドオレンジが作られるようになりました。国内で栽培されているブラッドオレンジは主に2種。「モロ」種と「タロッコ」種です。
これぞ「ブラッドオレンジ」!深紅の「モロ」種
「ブラッドオレンジ」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、多分この品種ではないでしょうか。
サイズは一般的なオレンジと比べるとやや小ぶり。果肉の色は紫がかった紅色です。また果皮も紅く染まっているものや、オレンジ・黄色などが混ざってまだら模様のようになっているものもあります。
果汁が豊富で、すっきりとした酸味の中に、独特の苦味を感じます。カシスのような味わいもあり、コクのある甘さを感じることができます。
インパクトのある果肉の色は「アントシアニン」によるもの。「アントシアニン」は抗酸化作用が期待できるといわれており、ブラッドオレンジの人気が高まっている背景には、近年の健康ブームも関係しているといえそうです。
国産の「モロ」種が出回る時期は2月中旬~3月上旬頃。時期が短い上、「タロッコ」種と比べると生産量も少なめなので、タイミングを逃さないよう、注意してくださいね。
グラデーションの美しさは唯一無二!「タロッコ」種
外見は一般的なオレンジとそれほど変わらないように感じるかもしれませんが、切ってみると美しいグラデーションが出ているのがお分かりいただけますか。
「モロ」種と比べると甘味が強く、特有の苦味もほとんど感じないので、万人ウケするタイプといってもよいかもしれません。
果肉はほんのり赤紫がかった部分とオレンジ色の部分が混ざっています。「モロ」種ほどの衝撃はないかもしれませんが、グラデーションの美しさは唯一無二です。
国産の「タロッコ」種が出回るのは3月~4月頃。期間は少し長めですが、気温が上がることで品質が落ちる心配がありますので、早めにチェックしてくださいね。
ブラッドオレンジの保存と切り方
ブラッドオレンジは冬~春の果実。そのため、高温になりすぎると味が落ちてしまう可能性があります。直射日光の当たらない冷暗所や、暑くなりそうなときには野菜室に入れて保存しましょう。その際、乾燥を防ぐため、新聞紙に包んでポリ袋などに入れてください。また、中に1つでも傷んでいるものがあると、他のブラッドオレンジを腐らせてしまいます。定期的に確認し、傷んでいるものがあれば取り除くようにしましょう。
ブラッドオレンジは手でむきにくい柑橘なので、食べるときには先にカットするのが良いでしょう。その際オススメなのがスマイルカット。上下に半分にカットした後、それをくし切りにします。さらに、ナイフで切れ目を入れても良いでしょう。
この切り方は、他の柑橘にも応用できますので、ぜひ試してみてくださいね。
ブラッドオレンジの楽しみ方
せっかくブラッドオレンジを堪能するなら、そのまま生食するだけではもったいないと思いませんか。そこで今回は、簡単なブラッドオレンジの楽しみ方をご紹介します。
ブラッドオレンジのキャロットラペ
【材料(4人分)】
・にんじん 1本
・ブラッドオレンジ(オススメはタロッコ)1個
・塩 小さじ1/4
・オリーブオイル 大さじ1
・乾燥パセリ お好みで
【作り方】
1.にんじんを千切りにしてボールに入れ、塩をまぶして軽く揉み、時間をおいて水気を切る。
2.ブラッドオレンジの果肉とオリーブオイル、乾燥パセリを加え、さっと和える。
キャロットラペはフランスの家庭料理の定番。今回はブラッドオレンジの自然な甘さを活かし、ハチミツや砂糖は加えずに仕上げています。果汁も多いので、酢も使っていませんが、酸味が足りないと感じたら少し酢を加えると良いでしょう。レーズンやお好きなナッツを加えるのもオススメです。
時間が経つと味がなじんできますので、たくさん作って常備菜にするも良いですよ。
ブラッドオレンジの洋風ちらし寿司
【材料(2人分)】
・米 1合
・ブラッドオレンジ(オススメはモロ) 1個
・菜の花 3本
・プロセスチーズ 30g
・お好きなナッツ(今回は無塩の煎りくるみ使用) 大さじ1
・オリーブオイル 大さじ1
・茹で卵 1個
・塩 小さじ1/2
【作り方】
1.米を研ぎ、水を通常より1割くらい少なめにして炊く。
2.ブラッドオレンジは半分の果汁を搾り、残りの半分は皮をむいて果肉を取る。
3.菜の花は茹でて2センチの長さに、プロセスチーズは1センチ角に切り、ナッツは粗く砕く。茹で卵は白身と黄身に分け、白身は粗くみじん切りにし、黄身はザルで濾す。
4.果汁・オリーブオイル・塩をボールに入れ、混ぜる。
5.炊き立てのご飯に、[4]とナッツ・チーズを加え、うちわであおぎながら切るように混ぜて酢飯を作る。
6.器に盛り、菜の花・ブラッドオレンジの果肉・白身・黄身を彩りよく散らす。
一般的な酢飯には砂糖が入ることが多いですが、今回はブラッドオレンジの甘さのみで仕上げました。モロ種を使うと果汁の色でご飯がほんのりピンクに染まります。塩味がついたナッツを使う場合は、塩の量を減らすようにしてください。菜の花がなければ、アスパラやスナップエンドウなど、旬の緑を是非加えてくださいね。
これからの時期、お花見などのおもてなしにもピッタリです。
ブラッドオレンジのカップケーキ
【材料(マフィンカップ6個分)】
・小麦粉 120g
・ベーキングパウダー 4g
・卵 2個
・バター 100g
・きび糖(他の砂糖でも可) 100g
・ブラッドオレンジ 2個(どちらの品種でも可)
【下準備】
・卵とバターを常温に戻す。
・小麦粉とベーキングパウダーを合わせてふるう。
・オーブンを180度に予熱する。
【作り方】
1.ブラッドオレンジ1個の果汁を搾り、溶いた卵と混ぜる。残りの1個は皮をむいて果肉を取り、形の良いものは飾り用に分けておく。
2.ボールにバターときび糖を入れ、白っぽくなるまですり合わせる。
3.別のボールに常温に戻した卵を溶き、1個分のブラッドオレンジ果汁と混ぜる。
4.[3]を[2]に数回に分けて加え、入れるたびにダマにならないようによく混ぜ合わせる。
5.[4]に粉を入れて切るように混ぜ、[1]の果肉も加え、さっくり混ぜる。
6.マフィンカップに6等分にして入れ、数回テーブルに打ち付けて空気を抜く。
7.飾り用のオレンジを乗せ、予熱したオーブンで25~30分焼く。
写真のカップケーキは、モロとタロッコを1つずつ使って仕上げています。果汁も果肉も残さず加え、ブラッドオレンジを堪能できます。皮も刻んで入れると風味がアップします。
チョコレートとの相性も良いので、チョコチップを加えてもおいしいですよ。
しっかり焼き上げ、型崩れもしないので、プレゼントにもできそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
その名の通り「血」のように鮮やかな「ブラッドオレンジ」は、見た目だけでなく味も個性的で他の柑橘とは一線を画するフルーツです。生搾りジュースはもちろん、ジャムやゼリーなどにしても楽しめます。
食べチョクでも購入することができますので、是非いろいろな食べ方で楽しんでくださいね。
▼ご家庭用*ブラッドオレンジ・タロッコ4.5kg 工学部卒の元SE。
https://www.kudamononavi.com/zukan/orange/blood
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/Orange-blood.htm食べチョクでおすすめの商品はこちら
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。