タイ料理・シンプルクッキング研究家、サクライチエリです。
スーパーで菜の花を見かけると、ついつい購入し、また、主宰するタイ料理教室でも春になるとお料理に使って、みんなで「お花を食べているって、何だか体の中からキレイになる気がするわぁ~」と気持ちよく食しております。
が、菜の花は、「キレイになる気がする」わけではなく、本当にキレイになる食材です。
今回は、菜の花でキレイになれる根拠と食べ方をご紹介します。
実はあれもコレも「菜の花」だったという事実。
「菜の花」というと、春の桜のピンクとのコントラストの黄色いふんわりしたお花畑を想像する人と、早春にスーパー等で、ふんわりどころかキッチキチに紙に包まれて売られている「なばな」を思い浮かべる方がいらっしゃると思います。
私は迷わず後者なのですが。
食品成分データベースによれば、「和種なばな」と「洋種なばな」が存在しており、本来菜の花というと、「在来ナタネ(アブラナ)」と「西洋ナタネ」の花のこととなります。
また、菜の花はアブラナ科で、言ってみれば同じ花の蕾を食べるという意味ではブロッコリーも同じアブラナ科ですし、キャベツとも大根、小松菜とも仲間なのです。
「のらぼうな」は東京の伝統野菜「江戸東京野菜」のひとつとして数えられており、東京の西部を中心に江戸時代から栽培が始まりまったそうで、栃木県の両毛地区では「かき菜」という名前で古くから栽培されています。
京野菜の「寒咲花菜」は、冬の切り花として「伏見寒咲なたね」が栽培されていましたが、何時しかその花が蕾だけ摘み取られて食用として供されるようになったそうです。
その他スーパーで私が見たことがある種類だけでも「ちんげん菜花」「アスパラ菜」「紅菜苔(コウサイタイ)」と、多種に及ぶ「菜(野菜)の花」が出まっており、その都度心躍り、籠に入れてしまう訳ですが。
これら、「菜の花一族」の風味等を食べ比べてみるのも楽しいかもしれませんね。
菜の花の栄養について
たくさんの種類が流通している「菜の花」ですが、これから種を作るべく、寒い冬を乗り越えて花咲かんとしている蕾なので、栄養素がぎゅぎゅっと溜め込まれています。
例として「和種なばな」の栄養素を調べてみると、ビタミンCの含有量は野菜の中ではトップクラスで、その他、カロテン、ビタミンB1、B2、葉酸、カルシウム、鉄分など、美容によいとされるビタミン類やミネラル類が豊富です。
また、βカロチンやカルシウムは緑黄色野菜の王様のようなブロッコリ-よりも約3倍多く含まれているといいます。
その他、アブラナ科全般に含まれる辛味成分であるイソチオシアネートの抗酸化作用は、免疫力をアップさせる効果があるとされています。
そして、あの独特の苦み成分は、ケンフェロールといい、抗酸化作用に優れ、免疫を活性化してアレルギーや風邪の予防、また脂肪燃焼効果なども注目されています。
作っている自分がキレイになれそうな、菜の花料理3選
早春ならではの、栄養の詰まった菜の花の、お勧め調理法を3つほど紹介させて頂きます。
菜の花のたいたん
「たいたん(炊いたん)」とは”炊いたもの”、”煮たもの”を指すことばで、ひたひたのお出汁や煮汁を素材に染み込ませる調理法です。
ビタミンCも煮汁に溶け込むし、「たいたん」という響きが、「煮物」よりはんなりとした、キレイな語感で気分が上がります。
■ 材料(約2人分)
菜の花 100g
がんもどき 2個
だし汁 200ml
醤油 大さじ1
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
■ 作り方
1.お鍋にだし汁、醤油、酒、みりんを入れて中火で煮立てます。
2.熱湯をかけて油抜きしたがんもどきを入れて20分程、だしを含むように煮ます。
3.洗って食べやすい長さに切った菜の花を、先に茎の方を加えて、クタリとしたら次に花の方を入れ、全体に火が通ったら火からおろして器に盛りつけます。
■ コメント
がんもどきを厚揚げ、油揚げに替えても美味しいです。
だし汁をきちんと昆布と鰹節でとると、その香りや湯気で、菜の花の栄養素だけでなく、「丁寧にお料理しているわぁ」と、心もキレイになれます。
辰巳芳子さんの「蕾ご飯」
料理研究家・辰巳芳子さんが著書で紹介されていた文章が素敵で、何度も何度も作っています。
■ 作り方
1.菜の花を冷水に放してぱりっとさせてから、水気をよく切り、食べやすい大きさに切ります。
2.フライパンに菜の花を置き、上質のオリーブオイルを回しかけ、中火にかけます。
3.香りが立ってきたら、日本酒を適量加え、しんなりしたらお醤油で味を調えたら、熱々のご飯に乗せて、すぐに頂きます。
■ コメント
ご飯なしでももちろん美味しいですし、ふわふわのスクランブルエッグを足した丼もお勧めです。
辰巳さんの著書は文章が美しいので、読んでも作っても美しくなれそうです。
菜の花の昆布〆
他の青菜でやってもよかろうに、私は菜の花でのみ、昆布の使い方の贅沢さを許して堪能しております。
■ 作り方
1.菜の花を食べやすい大きさに切って、さっと塩ゆでします。
2.日本酒をキッチンペーパーに含ませて拭いて柔らかくした昆布に、湯がいた菜の花をはさんで一晩おきます。
■ コメント
何度作って頂いても、昆布のグルタミン酸の威力に目を見張る、上質の大人のおつまみです。
しかも、季節限定となれば、気合を入れて美味しいお酒も準備したいというものです。
まとめ
一面が黄色く染まる菜の花畑の風景や、黄色いかわいらしい花を愛でる前に、春の目覚めの菜の花料理、是非ご堪能下さいませ。
因みに、菜の花の花言葉は「快活」「明るさ」です。
菜の花の目の覚める心地よい苦みを味わって、快活に、明るく過ごして下さい。
<参考>
・趣味の園芸
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-523
・JA
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=49
・農畜産業振興機構
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/iroiro/1302/iroiro.html
・JA京都
https://ja-kyoto.jp/kyoyasai/hana.html
・マイナビウーマン
https://woman.mynavi.jp/tu/161109-weider/
・ハウス食品グループ
https://housefoods-group.com/activity/e-mag/magazine/63.html
・食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06201_7
・レタスクラブ
https://www.lettuceclub.net/news/article/42013/
・フィブロ製薬
http://fibro-medical.jp/column/post_food200217.html
・1997年 かまくら春秋社 辰巳芳子 「味覚日乗」
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。