タイ料理・シンプルクッキング研究家、サクライチエリです。
海外に自由に旅行に行けなくなってから「実際に行っておけばよかったな」と後悔している場所の1つに、台湾の故宮博物院があります。
翡翠(ひすい)の白菜、「翠玉白菜(すいぎょくはくさい)」を見て、隣のレストランで「食べられる翠玉白菜」を食べておけばよかった。ぼんやり、そんな事を考えながら通りかかったスーパーにて、フォルムが翠玉白菜に似た野菜『蕾菜(つぼみな)』が入ったパックを発見!
即座に買って帰り、この「新・春の食材」を楽しんでみましたので、食卓の彩りの参考にしてみて下さい。
新しい春の食材、「蕾菜(つぼみな)」とは
「蕾菜(つぼみな)」という言葉だけ見ると、どこかで見たような?と思いそうな名称ですが、この品種、平成18年に福岡県柳川市で現地試作が始まり、JA全農ふくれんがブランド化に取り組み、平成20年には福岡県内にある12のJAで生産・出荷されるようなった新しい野菜です。
大型からし菜の一種で、そのわき芽の部分だけを商品化した新野菜で、こりこりとした食感と春を思わせる蕾の形が特徴です。
春らしい色合いや形の可愛らしさだけでなく栄養的にも優れており、血圧降下作用やリラックス効果が報告されている‘r-アミノ酪酸(ギャバ)’を100グラム中40ミリグラム含んでいます。
さらに、うま味成分で‘r-アミノ酪酸’の前駆物質でもあるグルタミン酸も100グラム中600ミリグラムといずれも豊富に含んでいます。
蕾菜で”おもてなし風”小皿料理を作って見た
つぼみなは生食すると、独特のコリコリした食感とからし菜らしい程よい辛味が楽しめます。
その他、さっと茹でると甘味が加わり、和洋中、どの料理にも合います。
山菜のような苦味がないので、苦味が苦手な方、お子様も楽しめると思います。
そして最大の特徴は小さいかわいい蕾のような形なので、その形をなるべく生かした、「小皿にちょこっと」で目から楽しめる使い方を考えてみました。
蕾菜の塩昆布和え
こんなのが小料理屋の突き出しで出てきたら、思わず日本酒を頼むな、と思ってしまった1品です。
作り方は、ごくごく簡単です。洗ったつぼみなを縦半分に切ってから、適量の塩昆布と和えるだけ。
作りたてでなく、暫くおいて味をなじませて、塩気が足りない場合は塩を振って頂いて下さい。
お弁当に詰めてもかわいいですよ。
蕾菜のオイスターソースがけ
高級チャイニーズレストランの、前菜の一種のようなイメージです。
さっと湯がいたつぼみなを、オイスターソースをかけた皿の上に置いて、胡麻油をかけました。
ザーサイやピータンなどを盛りつけたものに、この「翠玉白菜」のような1品が加わると、途端に高級レストラン風に見えます。
蕾菜のマスタードソテー
つぼみなと同じ、アブラナ科のマスタードを合わせて、きりっと冷やした白ワインに合う1品にしました。
つぼみなを縦半分に切ってから、オリーブオイルを敷いたフライパンでさっと焼きつけたら白ワインを軽く振り、粒マスタードを絡めて塩で味を調えたら、お皿に盛りつけます。
仕上げに生クリームを加えてクリームソテーにするのもよし、ベーコンを加えてみても、色合い、ボリュームが増して良いですね。ちょっと大きめのお皿にちょこんと盛りつけると、おもてなし風になります。
蕾菜の米粉フライ
揚げたてあつあつを、ビールと一緒に楽しんでいただきたい1品です。洗ったつぼみなに上新粉をまぶして、中温の油でカラリと揚げました。
上新粉はサラサラしていて、洗ったばかりのつぼみなにつけても水分を吸ってくれて、薄付きサクサクの衣になります。シンプルに塩だけでも、つぼみなの甘味とほっこりした食感が楽しめますが、個人的には粉チーズを振ったものが一番好みでした。
まとめ
春の芽吹きの生命力を美味しく楽しんで食べられる、新しい野菜のつぼみなですが、出荷時期が1月中旬から3月中旬までと、まさに「季節のごちそう」です。
手に入る時に是非、色々な調理法と盛り付けで、食卓を彩ってみて下さい。
出典・独立行政法人農畜産業振興機構)
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。