野菜のアク抜きは短時間で!美味しく栄養素も逃さない
こんにちは。会社員のかたわら、フードコーディネーターとして活動している千葉恵美です。今回取り上げるテーマは、野菜のアク抜きです。アクとは野菜が外敵から身を守るために持っている成分です。渋み、えぐみ、苦味を感じさせることで、草食動物に食べられるのを防いだり、虫につかれないようにするのです。
野菜の種類によって含まれるアクの成分は異なります。ほうれん草やタケノコの「シュウ酸」、ごぼうやレンコンの「ポリフェノール」は聞いたことがある方も多いと思います。シュウ酸は食べ過ぎると尿路結石の原因となるため、アク抜きをした方が安心です。また、ポリフェノールは空気に触れることで黒く変色するため、料理の見た目を考えるとアク抜きした方がよいでしょう。
野菜のアク抜きには下記のようなさまざまな方法があります。
・水に浸ける
・熱湯(塩熱湯)で茹でる
・電子レンジで加熱する
・酢水にさらす
・板ずりをする
・片栗粉を使う
・小麦粉を使う
・米ぬかを使う
・米のとぎ汁を使う
・重曹を使う
水やお湯を使ったアク抜きをする場合には短時間で済ませるということが重要です。茹で時間や水に浸ける時間が長いほど野菜に含まれるビタミンB群、ビタミンC、カリウムなどの水溶性成分が水に溶け出してしまうのです。せっかくの野菜の栄養素がアク抜きのせいで少なくなってはもったいないですよね。野菜の栄養素を最大限に摂取しながら美味しく食べるために、適切なアク抜き方法を覚えましょう。
参照:日本ケミファ株式会社HP
(http://www.chemiphar.tv/healthcare/urine/index_04.html)
参照:あけぼの薬局グループ
(https://www.ph-k.co.jp/pdf/vitamin.pdf)
【野菜別】具体的にアク抜きの方法を紹介
全ての野菜にアク抜きが必要なわけではありません。スーパーやコンビニで売っているなかでアク抜きが必要な野菜は、ほうれん草、たけのこ、ゴボウ、レンコン、大根、ナス、じゃがいも、カリフラワー、わらび、ウド、ゼンマイ、フキの12種類です。これらの野菜の具体的なアク抜きの方法をご紹介したいと思います。
◼︎ほうれん草
方法1:塩熱湯でゆでる
①たっぷりのお湯(ほうれん草の重量の5倍位)を沸かし、塩をお湯の0.5%加えます。1リットルのお湯に対して塩は小さじ1杯が目安です。
②茎の根元からお湯に浸け入れ、10秒ほど経ったら葉の部分も入れて約1分茹でます。根元の部分に少し固さを感じるくらいが茹で上がりの目安です。
③ボールに水を用意し、茹であがったほうれん草を流水で冷やします。
④素早く水からほうれん草を取り出し、軽く絞ったらアク抜き完了です。
方法2:電子レンジで加熱
①ほうれん草を1茎ずつラップに包み、電子レンジで2分ほど加熱します。
②包んでいたラップを開き、ほうれん草をボールに入った水に入れます。
③素早く水からほうれん草を取り出し、軽く絞ったらアク抜き完了です。
時間効率よくアク抜きをするなら電子レンジで加熱する方法のほうがお湯を沸かす手間がかからないのでおすすめです。しかし、塩熱湯でゆでるアク抜きに比べて加熱時間が長くなるので、栄養の流出も多くなってしまいます。味はどちらの方法も変わりませんが、健康を気遣う方には塩熱湯でゆでるアク抜きをおすすめします。
◼︎たけのこ
方法1:米ぬかを使う
①たけのこの根元の固い部分と穂先5cmほどを切り落とし、縦に2cmほどの深さの切れ目を入れます。
②鍋にたけのこを入れ、たけのこがかぶるくらいまで水を入れます。米ぬかひと握りと赤唐辛子1本を加えて、強火にかけます。
③沸騰したら落し蓋をして、吹きこぼれないように注意しつつ弱火で40分〜1時間茹でます。茹で時間はたけのこの大きさによって調整してください。
④根元部分に竹串を刺してみて、スッと通るようになったら火を止めます。そのまま鍋が冷めるまで置いておいたらアク抜き完了です。
方法2:重曹を使う(少量のお米でも代用可能)
①たけのこを適度な大きさに切って、重曹を入れたたっぷりのお湯で、弱火で30〜40分茹でます。重曹は水1リットルに対して小さじ1杯が目安です。
重曹は入れすぎると重曹のにおいが残ってしまいます。また、たけのこの茹で上がりが柔らかくなり歯ごたえが少なくなってしまうので、入れすぎには注意しましょう。大きい鍋がないときや時間がないときには重曹を使うアク抜きがおすすめです。重曹がない場合にはたっぷりのお湯にひと握りのお米を入れて茹でても大丈夫です。
米ぬかを使ったアク抜きはしっかりえぐみが抜けるので、少し時間はかかりますが、美味しさ重視の方にはおすすめです。
◼︎ゴボウ
方法1:水に浸ける(酢水にさらす)
①フキンでこすりながら、流水で泥や汚れを落とします。
②包丁の背を表面にあてて動かし、軽く皮をこそげとる。
③ゴボウを作る料理に適した大きさに切り、水の入ったボウルに30秒ほど入れます。白く仕上げたい場合には酢水にさらします。酢水は水1リットルに対して小さじ2〜3杯が目安です。
方法2:熱湯で茹でる
まずは方法1の①②と同様の作業をします。
③鍋で加熱した熱湯で数秒間茹でます。少量の場合は熱湯を回しかけるだけでも大丈夫です。
熱湯で茹でるアク抜きで雑味を抜くことは可能ですが、料理によって仕上がりの色を気にする場合には酢水にさらす方法が断然おすすめです。
◼︎レンコン
方法1:酢水にさらす(酢の代わりにレモンでも代用可能)
①水500mlと酢を小さじ1入れたボウルにレンコン1節(約200g)を加えて5分ほどさらします。酢がなければ、レモン汁でも代用できます。
酢水にさらすアク抜きは、レンコンの変色を防ぐ効果があるので、彩りを意識して白く仕上げたい料理の場合は必要です。醤油などで味付けする煮物やハンバーグのタネに用いるならアク抜きは不要です。
◼︎大根
方法1:米のとぎ汁を使う
①大根を適当な大きさに切り、包丁で皮を厚めに剥いた後、面取りをします。煮物で使う場合は輪切りで3cm程度の厚みにし、片面深さ5mm程度の十字切り込みを入れます。
②鍋に大根がかぶる程度の米のとぎ汁を入れて、沸騰したら弱火にして5分ほど茹でます。
③茹で上がったらザルにあげたらアク抜き完了です。
米のとぎ汁でアク抜きをすることで大根の苦味が抜けて、甘みが引き立った味になるように感じます。また、煮物で使う場合は下茹ですることで味が染み込みやすくなるので一石二鳥です。
◼︎ナス
方法1:水に浸ける
①食べやすい大きさに切ったナスを水を張ったボウルの中に約10分間入れます。10分以上長く浸けてしまうとナスの色が悪くなってしまったり、風味が落ちたりします。時間を短縮したい場合は、水に塩をひとつまみ入れれば5分でアク抜きが完了します。
◼︎じゃがいも
方法1:水に浸ける
①食べやすい大きさに切ったじゃがいもを水を張ったボウルの中に約10分間入れます。
②約10分経ったらじゃがいもを水から出し、アク抜きの完了です。
じゃがいもを水に浸けていると水がだんだん白く濁りデンプンが出てきます。デンプンが出ると同時にアクとなるタンニンも流れ出ています。アク抜きをすることで変色を防ぎ、炒め物でじゃがいも同士がくっつくのも防ぎます。
◼︎カリフラワー
方法1:小麦粉を使う
①鍋にカリフラワーがしっかり浸るくらいのお湯を沸騰させ、水に溶いた小麦粉を入れます。小麦粉は水1リットルに対して大さじ1杯が目安です。
②カリフラワーを適当な大きさに切り、鍋に入れて3分ほど茹でます。
③ザルにあげたら、水にさらさずにそのまま冷ましてアク抜き完了です。
沸騰したお湯に水で溶いた小麦粉を入れることで高温で茹でることが可能になり、時短になります。さらに酢を大さじ1杯入れるとカリフラワーの白さをきれいに出すことができるのでおすすめです。酢の味ももちろん残りません。
◼︎わらび
方法1:重曹を使う
①わらびをしっかり水洗いし、根元の固い部分を切り落とします。
②大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かして、沸騰したら重曹を入れます。重曹は水1リットルに対して小さじ1杯が目安です。
③すぐに火を止めて、粗熱が取れたら鍋にわらびを入れます。
④そのまま一晩置き、取り出したわらびを流水で洗ってアク抜き完了です。
方法2:小麦粉を使う
①大きめの鍋にたっぷり水を入れ、塩と小麦粉を混ぜてから沸騰させます。小麦粉は水1リットルに対して大さじ4杯、塩は小さじ1杯が目安です。
②鍋にわらびを加えて、弱火で3分間茹でます。
③茹でたわらびを冷水に10分ほど浸したらアク抜き完了です。
重曹を使ったアク抜きでは必ず火を止めて粗熱をとってからわらびを入れましょう。ヌルッとしたとろみとサクッとした歯ごたえのあるわらびに仕上げるためには、火を通し過ぎないことが重要です。その日のうちに調理したい場合は小麦粉を使ったアク抜きがおすすめです。
◼︎ゼンマイ
ゼンマイはわらびのアク抜きと同じ方法なので、わらびのアク抜きの方法を参考にしてください。
◼︎ウド
方法1:片栗粉を使う(酢水にさらす)
①流水でウドの汚れや産毛をたわしでこすりながら洗います。
②ウドの皮を厚めに剥いてから、適当な大きさに切ります。
③たっぷりと水を張ったボウルに片栗粉と酢を入れて、15分ほど浸します。片栗粉は水1リットルに対して小さじ2杯、酢も小さじ2杯が目安です。
◼︎フキ
方法1:板ずりをする+熱湯で茹でる
①大きめの鍋を用意し、鍋に入るギリギリの長さにフキを切ります。
②フキをまな板の上に置き、板ずりをします。板ずりのやり方は、まな板に並べた
フキの上に塩をかけ、両手のひらでごろごろとフキ同士をこすり合わせるようにすることです。塩は1束に対して大さじ山盛り1杯です。
③鍋にたっぷりのお湯を沸かして、塩がついたままのフキを入れて茹でます。茹で時間は細い先の部分で約3分、太い根元は約5分です。
④ボウルに氷水を用意しておき、茹で上がった細いフキから順に氷水にとってアク抜き完了です。
板ずりをすることでふきが色よくゆで上がります。また、後から皮もむきやすくなるので、重要なひと手間と言えるでしょう。
まとめ
アク抜きをすることで野菜の味が確実に変わって感じます。栄養素をちゃんと残しながらアクを抜くということが美味しい料理に仕上げるコツだと思います。アクを抜きすぎて旨味のない栄養素もなくなってしまった野菜になっては悲しいので、茹で時間や浸ける時間を意識してアク抜きをしましょう。レンコンのアク抜きをすると気持ちの良いほどキレイな白いレンコンに仕上がるので、是非試してみてください。
専門学校卒業後、ITベンチャー企業に入社。飲食関連のWEBメディアの運営に携わり、フードコーディネーターとしても活動。現在、芸能事務所のMD事業部で化粧品とファッションの企画に携わる。料理、化粧品、美容、健康の知識を活かして執筆活動中。