数年前は、近所のパクチーが置いてあるスーパー・八百屋さんの地図を頭の中にインプットしていたタイ料理・シンプルクッキング研究家 サクライチエリです。
今は便利ですね。身近なスーパーはもちろん、インターネット通販などでもこだわりパクチーを購入できるのですから。
日本のパクチーブームでは、タイ人もびっくりの量のパクチーの葉をタイ料理に盛りつけていたり、パクチーがメインのサラダも人気メニューになったりしていましたね。
ちなみに、タイではパクチーがメインになっているお料理はないと言っても過言ではありません。
代わりに、世界ではパクチーを使った美味しいお料理がたくさんありますので、その中からいくつかご紹介させていただきます。
香菜あっての本場の味。「中華冷ややっこ」
私の記憶では、日本でタイ語の「パクチー」という名前が一般化する前、このハーブは「香り菜(シャンツァイ)」という名前の方が一般的でした。台湾や中華料理でも薬味的に、汁麺や火鍋のたれなどに香菜を加えます。
その中華料理の中で、パクチー好き日本人に人気の前菜、「香菜干絲」というお料理があります。
豆腐干絲(トウフカンス)と呼ばれる、中国の麺状の干豆腐と香菜(パクチー)の前菜サラダなのですが、干し豆腐は中華食材店の冷凍コーナーで売られていて、残念ながら、私は一般のスーパーでこれを見たことがありません。
しかし、普通のお豆腐に香菜をトッピングして味付けを中華風にすれば、ご家庭でも手軽に楽しめる中華冷ややっこができます。我が家では中華料理の日によく作っています。
作り方
1.お皿に切り分けたお豆腐を置く。
2.塩と、顆粒中華鶏ガラスープの素を少量、ぱらぱらっとかける。
3.ざく切りにしたパクチーをお好みの量だけ乗っけたら、ごま油をかける。
難易度:★☆☆
パクチーの葉も茎も余さず使う メキシコ料理「ワカモレ」
パクチーは中南米でもよく食べられています。むしろタイ、ベトナムよりも消費量が多いのではないでしょうか?
メキシコでは主に使われているスペイン語で「シラントロ」という名前で親しまれ、タコスのトッピングなど様々な料理に使われています。
今回は、健康にも良いとファンの多いアボカドを使ったディップ「ワカモレ」でパクチーの香りをたっぷり堪能する作り方をご紹介します。
作り方
1.アボカド1個は果肉を取り出し、ボウルに入れたらライム汁をふりかけて、粗く潰す。
2.塩とガーリックパウダー(塩のみでもOK)で味を調えたら、みじん切りの玉ねぎ1/6個分とミニトマト3個分、それから細かく刻んだパクチーの茎を和える。
3.器に盛りつけ、飾り分のパクチーの葉を飾る。
4.トルティーヤチップスやクラッカー、パンなどにつけていただきます。
難易度:★★☆
煮込みのダシにパクチーを。モロッコ料理「ベルベルオムレツ」
地中海沿岸が原産のパクチーは、アフリカ大陸でも親しまれています。
なかでも、日本でも流行った事もある“タジン鍋”の故郷(または塩漬けレモンの故郷でもある)モロッコでは、パクチーは生で上に散らすのではなく、タジン料理などでくたくたに煮こまれてダシになります。
今回は、手軽に市販のトマトソースを使って、スパイスとパクチーの香りで一気に気分が異国にワープする、ベルベルオムレツをご紹介します。
作り方
1.市販レトルト・トマトソースをフライパンにあけて、ぐつぐつ煮立てる。
2.卵を割り落とし、塩コショウ、クミンパウダー、チリパウダー各適量と、パクチーを好きなだけ加えて、蓋をして卵が半熟になる程度まで加熱する。
3.パンやピタパンなどにつけて、いただきます。
難易度:★☆☆
ワンポイント
この料理の場合は、パクチーは冷凍したもので大丈夫です。
買ったものの、生で食べる機会を逃しつつあるパクチーは、水気を十分に取った上で冷凍することをお勧めします。
それでは、もう1種類、冷凍パクチーが活躍できるレシピをご紹介します。
パクチーグリーンと香りを堪能「鶏肉のパクチーピラフ」
南米、ペルーもパクチーをよく使います。その中でも、パクチーをご飯と一緒に炊きこむピラフがあります。
作り方(2人分)
1.米1合を洗ってざるにあけて水気を切る。
2.鍋にオリーブオイル大さじ1を中火で熱し、鶏手羽元肉の皮目に焼き色を付ける様に焼く。
3.ニンニクをみじん切りにして香りが立つまで炒めたら、粗いみじん切りの玉ねぎ、にんじん、パプリカを炒める。
4.米を加えて全体に油を回したら、パクチー1束を根から葉まで全てをざく切りにして200mlの水と一緒にミキサーにかけたものを加える。
5.塩コショウ、お好みでパプリカパウダーを適量振って、鍋に蓋をし、沸騰したら弱火にして15分、ご飯が炊けるまで加熱する。
6.米がキチンと炊けたか確認し、お鍋ごとテーブルに出して取り分けて、温かいうちにいただきます。
難易度:★★★
ワンポイント
この「パクチーウォーター」は、冷凍も出来ます。他に、ペルー料理には、牛肉の煮込み等にもこのパクチーウォーターが使われます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
パクチーは、生食だけにあらず。
パクチーは、葉だけを食べるのみにあらず。
パクチーは、冷凍も出来る。
そして、パクチーは各国料理の香りや彩りに貢献している。
海外旅行にも容易に出かけられなくなった今ですから、おうちで世界旅行に行った気分で、美味しく楽しく過ごしてみましょう。
食べチョクの農家さんにもパクチーを販売されている方がいらっしゃいますので、ぜひ色々な料理に活用してみてください。
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。