管理栄養士で節約美容料理研究家の金子あきこです。
“フレイル(虚弱)”という言葉をご存じでしょうか。病気ではないけれど手助けや介護が必要な状態をいいます。
加齢により筋力が低下すると、買い物やサークル活動など活動量が減ります。すると自宅にこもりがちになり、エネルギー消費量が低下していきます。
日中の活動量が減ることで食欲も落ち、栄養不足のリスクがあがります。栄養が不足すれば筋肉量を維持することが難しく、さらに筋肉量や筋力が低下していきます。
今回は、病気ではないけど手助けや介護が必要になる“フレイル(虚弱)”状態をできるだけ避けるための方法をいくつかお伝えします。
栄養のバランスを考えた食事
人間は食べたもので体が作られていますから、フレイル対策にはバランスの良い食事がとても大切になってきます。
一人暮らしの方などの食事を見ていると、
・うどんやおにぎりだけと炭水化物のみになりがちになり、栄養のバランスが取れない方
・脂やコレステロールは体に良くないと、肉や卵類を極端に控えたんぱく質不足の方
・朝と昼を一緒に済ませた1日2食生活の方
がいらっしゃいます。
しかし、栄養のバランスが悪く摂取回数が減ることで、栄養素が不足した状態になってしまいがちです。
理想は1日3食。ごはんやパン、麺をはじめとした炭水化物、良質なたんぱく質、野菜類を一緒に摂れるといいですね。
特に筋肉を維持するたんぱく質(肉、魚、卵、乳製品、大豆製品)と体のエネルギー源となる炭水化物は最低限摂るようにしましょう。
楽しく食べるきっかけ作り
運動がてらスーパーやコンビニまでお買い物に行ければよいですが、面倒くさくなってしまったり遠距離だったりと、なかなか難しいことも多いですね。
そういったときは通販を上手に使うのがオススメ。不足しがちなたんぱく質類などをセレクトして注文し、栄養不足解消の一つに活用してみてください。
豚肉をふんだんに使った豚角煮カレー、ウインナーや生ハムのセット、まぐろの手巻セット、玉子かけごはんにピッタリな新鮮な卵セットなど、料理に手間をかけなくてもたんぱく質と炭水化物が食べられるものが豊富にあります。
パンがお好きな方には果実がまるごと入ったジャムのセットやはちみつなども。フレッシュなりんごジュースや果物などもあります。デザートや間食などの糖質補給におすすめです。
通販サイトの「定期便」サービスを使用して、1度だけではなく定期的に送ってもらう設定にしておくと、日常の楽しみの一つにもなりますね。
フレイルの状況は個人差があるため、高齢者向けの配食サービスやデイサービスで昼食のみ注文するなど、賢く利用してみてください。
丈夫な骨の維持をする
加齢により骨粗鬆症のリスクも高くなります。骨粗鬆症とは、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気のことで、腰椎や大腿骨の骨折は寝たきりの原因になることもあります。
ですから骨を丈夫に保つことは元気にアクティブな生活を続けられる大事なポイントと言えます。
まず、カルシウム豊富な牛乳や桜エビ、小魚などを取り入れることが大切です。
そしてもう一つ大切な栄養素としてビタミンDがあります。ビタミンDを摂るには鮭やさんまなどを食べることはもちろんですが、実は日光を浴びることもとても大切です。
ビタミンDは紫外線に当たることで皮下にて合成されます。天気がいい日中は、お散歩や買い物に行きましょう。そうすることで体内のビタミンDが自然に増えます。
ビタミンDで骨を丈夫にすると同時に、歩くことで筋力の維持にもつながります。
いかがでしたでしょうか。
フレイルの状態である身体機能や認知機能の低下がみられる場合は、専門医に相談するとともに、バランスの良い食事を心がけ、日中はできるだけお散歩するなど、家族とともに生活を楽しみながら対策することが大事です。
Aricofood株式会社代表取締役 管理栄養士。レシピ開発、セミナー、コラム執筆、メディア出演等。40代からのダイエットサポート、セッションなど女性の美に特化し行っている。著書に「ショウガ甘酒食べる健康法」(日本文芸社)「おなかぺったんこ腸筋レシピ」(リピックブック)。