苦瓜を切って苦みを確かめているうちに、ついつい食べ過ぎて料理する前に苦瓜の何割かがお腹に収まってしまう、苦瓜好きのタイ料理・シンプルクッキング研究家 サクライチエリです。

「苦瓜が好き」という方は、恐らくその苦みも含めて好きだと思います。私も含めて。

しかし、苦みというのは本来「毒性化合物の摂取を避けるための反応」であり、特に子供は苦みに弱いというのは、ごくごく当たり前の事です。

だからといって、苦瓜好きの大人が「子どもが食べられないから」と苦瓜を食卓に上げないというのはもったいないです。

それならいっそ、苦みの抜き加減を子どもと一緒に試してみて、うまく行けば子どもと一緒に苦瓜料理が食べられるようになるかもしれません。

また、子どもも実験として、上手にできれば夏休みの自由研究としてまとめられるかもしれません。

という事で、我が家の食いしん坊小学6年生女子と一緒に、苦瓜の苦み抜きの実験をしてみました。

苦瓜の栄養素について

夏バテ防止野菜の代表選手的な苦瓜ですが、主に注目される栄養素は、ビタミンCとカリウムの含有量です。

ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせない他、メラニン生成を抑える働きにつき、美肌に効く栄養素として有名です。

そして、ビタミンEと協力して活性酵素を消去して細胞を保護する抗酸化作用があります。

カリウムは、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあり、ナトリウムを体外に排出する作用がある為、むくみ防止や塩分摂りすぎを抑える効果があります。

そして、あの苦み成分は、モモデシンという成分で、食欲増進効果の他、血圧を下げる効果や整腸作用がある事も分かっています。

基本的な苦瓜の切り方

苦瓜は、苦みと一緒にその食感を楽しむものだと思います。

なので、いくら苦味を取ろうと思っても、薄く切るのはおすすめしません。

苦瓜は長いものなら半分に切ってから縦に切り、わたと種をスプーンで取り除きます。

この、スプーンを使ってわたを取るのは、刃物を扱うのが怖いお子さんにもお任せできます。

今回は、いつも私が炒め物やあえ物に切る、半割りを5㎜厚程に切ったもので実験しました。

苦瓜の下処理、4パターンでの生食実験

実験は、中サイズ程度の苦瓜の半月切りを4等分に分けて、4種類の下処理方法で試しました。

その前に、洗ってワタを取って切っただけの一切れを試食したところ。

娘：「これは苦すぎて食べられないな。」

確かに大人でも、下処理なしの生苦瓜は、なかなかガツンと来る苦味でした。

そして、こちらが実験した4パターの下処理方法です。

基準を、一般的な方法の「苦瓜1本につき、小さじ1の塩で揉む」として、1本を4等分にした計量で計測しました。

画面左から
①苦瓜1/4本分を、小さじ１/4の塩を軽く和えて10分置く。
②苦瓜1/4本分を、小さじ1/4の塩と小さじ1/4の砂糖で軽く和えて10分置く。
③苦瓜1/4本分を、小さじ1/4の塩を水50ｍｌに溶かしたものに10分浸ける。
④苦瓜1/4本分を、1分間茹でた後、冷水に放して10分置く。

③は私がタイで習った苦瓜の苦みの抜き方で、④は加熱すると苦味が和らぐと聞いたので、実験対象に加えました。

実験結果と、炒めた場合と、衝撃の告白

実験結果は、味見の順番で、以下の通りになりました。

苦味のやわらぎ具合は　苦味が残った順で④→③→①→②という結果で、塩と砂糖で揉んだものが最も食べやすいとの事でした。

そして、苦瓜は油との相性が良いというので、次は①と②をそれぞれごま油で炒めたものを味見してみました。②の砂糖と塩で揉んだものが最も食べやすいという結果でした。

それでも娘は「母さんが作る苦瓜料理は、進んで食べる気がしない」との事。

それはそうだな、無理して食べなくても、大人になったらこの美味しさが分かってくるのだよ、と娘の努力をねぎらったところ、娘から衝撃の告白がありました。

「学校の給食でもゴーヤチャンプルー出てくるけどさ。学校の苦瓜は、苦くないんだよ。時々苦いのもあるけど。今日分かったけど、実験の②の砂糖を多めに入れて苦味を抜いているのだろうね」

改めて、学校給食のメニューのバリエーションの広さと、子どもが食べられる味付けへの気遣いに、頭が下がる思いで、今回の実験が終了しました。

まとめ

いかがだったでしょうか？

結論として、お家で頂く苦瓜は、子どもと一緒に無理に食べずとも、そのうち一緒に食べられる日が来るかもしれません。

なので、苦瓜はお子さんが食べるか食べないかを考えずに、食べたい時に食べたい苦味加減で、美味しく頂いて、ビタミン、カリウム、モモデシンをたっぷり摂取しましょう。

食べチョクでも苦瓜を販売されている方がいらっしゃいますので、苦瓜の美味しい時期に美味しい農家さんから購入して、ぜひ色々なお料理に生かしてみてくださいね。

【鹿児島産】甘塩ゴーヤ箱込み2キロ^_^

土壌消毒不使用減農薬（5〜9割減）、有機肥料使用

堆肥栽培で育った新鮮なゴーヤです。

畑から直送される夏の味はいかがでしょう？

詳しく見てみる

サクライチエリ

タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。