タイ料理、シンプルクッキング研究家、サクライチエリです。
タイの市場で売られていたトマトは、日本のものより酸味が強く、中玉程度のものとミニトマトのみでした。一方で、日本のスーパーでは和名から英語まで様々な種類のトマトがあり、味わいもそれぞれ違います。これ程に種類があったのか、と驚いたものです。
今回は、トマトの種類と、大きさ別の美味しいトマトの食べ方などをご紹介します。
トマトは赤ばかりではなかった話
「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざや「真っ赤なトマトの〇〇」など、トマトを使った食品の商品名が多く存在するように「トマト=赤」とイメージを持たれている方が多いと思います。実は、トマトは「赤系」と「桃色系」に分けられるのです。
桃色系の代表品種は「桃太郎トマト」。それまでの生食用トマトは「完熟状態では、輸送途中で傷んでしまう」というのが常識でした。桃太郎とは、完熟出荷が可能なのに皮も厚すぎず実が崩れない、画期的なトマトです。以来、生食用のトマトは桃太郎シリーズが主力となっています。
また、赤系トマトは皮が厚めで香りが濃く、味わい深いのが特徴です。世界的には、トマトはソースやジュースなどに加工することが多いので、赤色系トマトが主に栽培されています。
トマトの状態によって変わる保存方法
トマトは買ったらまず冷蔵庫に入れる、と思われている方も多いと思います。しかし、トマトは追熟しますので、まだ青いものは常温で置いておきましょう。
熟していく程にリコピンの量も増えます。赤く熟した生食用トマトは、へたの部分を下にして、ポリ袋の中に入れて口を軽く閉め、冷蔵で保存しましょう。きりっと冷えた甘いトマトの丸かじりは夏の醍醐味です。
熟したトマトがたくさんあるけれど、今すぐに食べられないという場合は、トマトソースやカレーにするのがお勧めです。調理する時間がない時は、ヘタを取って角切りにし、密閉容パックに入れて冷凍しておくと良いでしょう。冷凍することで細胞が壊れるので、加熱時に旨味成分が出やすくなります。
また、トマトは加熱調理によってうま味成分のグアニル酸が増加しますので、生食に飽きたら調理方法を変えて楽しんでみてください。
トマトの品種別・お勧めの食べ方
では次に、トマトの大きさ別にお勧めの食べ方をご紹介します。どのトマトも生のままで十分美味しいのですが、今回はあえて、形を楽しみながら加熱して美味しくいただける方法をご紹介します。
大玉トマトの炊き込みご飯
大玉トマトといえば、現在市場に出回っているトマトの中で桃太郎トマトが一番よく知られている品種でしょう。カットしてサラダでいただくのがポピュラーですが、種の周りのゼリー部分が流れ出ないので、加熱調理もしやすいです。
大きなトマトは、見た目も楽しい炊き込みごはんにしてはいかがでしょうか?
《大玉トマトの炊き込みご飯【4人分】》
・お米 2合
・大玉トマト 1個
・バター 20g
・塩 適量
・水 360ml(トマトの大きさによって要調整)
・チーズ、パセリ 適量
1 お米を洗ってからお鍋に移し、分量のお水を入れて30分以上浸水させます。
2 トマトのヘタをくりぬき、くり抜いたところにバターを詰めてお鍋に入れます。
3 お鍋の蓋をして中火にかけ、沸騰したら弱火にして15分加熱します。
4 加熱後に塩を振り、トマトを豪快に崩しながらお米を切り分けます。再び蓋をして10分程蒸らします。
5 味を見て、器に盛りつけ、お好みで粉チーズ、パセリなどを振りかけていただきます。
トマトと混ぜた後もまだご飯が固い場合は、日本酒を大さじ1程度振りかけて、蒸らして下さい。
このトマト炊き込みご飯を使ってオムライスにするのもお勧めです。
中玉トマトと卵の炒めもの
ミディトマトとも言われている種類のトマトです。大玉トマトは「桃太郎」を筆頭に桃色系が主流ですが、スーパーで目にする「フルティカ」「ルネッサンス」「シシリアンルージュ」など、赤系の味の濃い品種は中玉トマトが主流です。
生食でも美味しいのですが、赤系はもともと加熱に適した品種なので、しっかりとした実が楽しめる炒め物をご紹介します。
《トマトと卵の中華炒め【2人分】》
・中玉トマト 2個
・卵 2個
・ごま油 大さじ1
・醤油 小さじ1
1 トマトはヘタを取って4~6等分のくし切りにします。卵は割りほぐします。
2 フライパンを強めの中火にかけ、ごま油を熱したらトマトを入れます。柔らかくなるまで時々ひっくり返しながら焼きつけます。
3 醤油を加えてトマトに味を絡ませたら、溶き卵を加えてざっくり混ぜ、とろりとしたスクランブルエッグになったら器に盛りつけます。
更に黒酢をかけると、酸味を楽しむことができます。ご飯に乗せて黒コショウをたくさん挽き、「トマタマ丼」でかきこむのも美味しい食べ方です。
ミニトマトの串焼き
お弁当の隙間埋めに大活躍のミニトマトは、赤色系と桃色系の品種があります。どちらの品種でも美味しい食べ方は、串焼き、または肉巻きです。
ミニトマト単体で串焼きにすると、旨味たっぷりの熱い果汁がはじけるというサプライズが楽しめます。また、肉巻きにしたトマトを加熱すると、食べた時に口の中で香ばしく焼けたお肉と、加熱されてトマトソースになったミニトマトのハーモニーが楽しめます。
ご自宅でのバーベキューなどに、ぜひお試し下さい。
まとめ
サラダの彩り、お弁当の彩りとして活躍してくれているトマトですが、大きさ、品種別に楽しみ方を変えてみたいものですね。トマトの種類ごとに特性が分かれば、生食だけでなく色々な活用ができます。
「トマトが赤くなると医者が青くなる」ように、トマトには抗酸化作用で知られるリコピンの他にも、様々な栄養素を含んでいます。旬のトマトを美味しく味わって、夏を元気に乗り切りましょう。
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https://www.maff.go.jp/j/kids/crops/tomato/column02.html(出典・農林水産省 農林水産省)
https://agri.mynavi.jp/2018_04_14_23708/#toc-4(出典・マイナビ農業)
https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2015/vegetea15_s24.html(農研機構)
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。