中国生まれの「山東菜」
中国の山東省原産の山東菜(さんとうな・さんとうさい)は、小松菜や青梗菜(チンゲンサイ)などと同じアブラナ科のお野菜。白菜の仲間と評されることもありますが、白菜が頭部まで締まっている結球型であるのに対し、山東菜は葉の部分が結球していない半結球型です。
山東菜の出回る時期は年に2回。冬に種を蒔き、春のうちに若採りして出荷されるのが写真のような山東菜で、2月~5月頃が旬。
関東では「べか菜」、関西や九州では「なっぱ」や「はくさい菜」など、地域によって異なる名前で呼ばれており、葉が柔らかいのが特徴です。この淡い緑色が出回り時期の春にピッタリだと思いませんか。
これに対し、12月~1月頃収穫される山東菜は「山東白菜」とも呼ばれ、白菜よりも大型で、大きいものだと6キロくらいの重さになります。主に漬物用として埼玉県などで栽培されており、特に越谷市では山東菜で漬けた「山東菜漬」が「幻の漬物」と呼ばれ「こしがやブランド」に認定されています。
山東菜の選び方と保存
主に漬物用となる山東菜は生産量が少ないため、手に入れるのが難しいですが、若採りの山東菜は店頭でも見かけることがあると思います。選ぶ際は葉が先まで瑞々しく、しおれていないものを選ぶようにしましょう。保存する際は乾燥を防ぐため、ポリ袋などに入れ、野菜室に立てて保存するようにしてください。
山東菜の楽しみ方
山東菜自体はシンプルなお味で、特に若採りの山東菜はアクもあまりありません。生はもちろん煮物や鍋など、どんな調理法でも美味しくいただけるだけではなく、どんなお料理にも合うオールマイティーなお野菜といえます。
そこで今回は調理法とジャンルの異なる3種類の食べ方をご紹介します。
まずは生で!「山東菜の甘酢漬け」
材料(作りやすい量)
・山東菜 100g
・塩 小さじ1/2
・みりん 50cc
・酢 50㏄
・ごま油 小さじ1
・赤唐辛子(種を取っておく) お好みで
作り方
1.山東菜を3センチくらいの大きさに切って塩を振り、軽く揉む。30分ほどおいて水分が出てきたらしぼり、バットなどの器に入れる。
2.小鍋にみりんを入れて火をつけ、煮切ってアルコールを飛ばし、酢を加えて甘酢を作る。
3.[1]に[2]を回しかけ、ごま油と赤唐辛子加えて冷ます。
甘酢といっても砂糖は使わず、あっさり仕上げています。酸味が苦手な場合は砂糖を少々加えましょう。水分が多いお野菜ですので、水気をしっかり切らないと味がぼけてしまいます。時間が経つと味がなじんできますので、冷蔵庫で一晩おいても良いでしょう。
次は炒めて!「山東菜とトマトの卵炒め」
材料(2人分)
・山東菜 100g
・トマト 1個
・卵 2個
・中華だし 小さじ1
・オイスターソース 大さじ1/2
・塩 少々
・胡椒 少々
・ごま油 大さじ1
作り方
1.山東菜は3センチくらいの長さに、トマトは8~10等分くらいのくし形切りにする。
2.ボールに卵を割り、中華だしとオイスターソースを入れて混ぜる。トマトも加え、軽く合わせる。
3.フライパンにごま油を入れて火をつけ、山東菜を入れて塩胡椒をし、炒める。
4.[3]に[2]を加えて軽く炒め、器に盛る。
中国生まれのお野菜なので、中華風の味付けに合わないはずがありません。トマトは炒めすぎると水っぽくなるので温める程度にしましょう。卵も余熱で火を通すようなイメージです。水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ、丼などにしても良いですよ。
最後は出汁なしシンプル「ホロホロ山東菜のミルクスープ」
材料(2人分)
・山東菜 150g
・玉ねぎ 1/2個
・バター 15g
・水 200㏄
・牛乳 100㏄
・塩 小さじ1/2
・胡椒 少々
・ローリエ(あれば) 1枚
作り方
1.山東菜は1センチくらいの長さに切り、玉ねぎは粗いみじん切りにする。
2.フライパンにバターを熱し、バターが溶けたら玉ねぎと山東菜の白い部分を加え、炒める。3分ほどしてしんなりしてきたら、緑の部分も加えてなじむまで炒める。
3.水とローリエを加えて煮込み、アクがあれば取る。蓋をして具が柔らかくなるまでさらに煮込む。
4.牛乳を加えて沸騰させないように温めて器に盛り、黒胡椒を振る。
多めのバターと炒めた玉ねぎの甘さがポイント。ホロホロになるまで煮た山東菜の濃厚な旨みを味わえるスープです。ショートパスタなどを加えてスープパスタにしても美味しいです。
まとめ
いかがだったでしょうか。これまであまりなじみのないお野菜だったかもしれませんが、白菜の仲間と分かると一気に身近なものになった気がしませんか。是非食卓に取り入れて味わってくださいね。
・白菜の仲間【山東菜】は2種類ある!特徴と美味しい食べ方 ・旬の食材百科 山東菜 ・野菜情報サイト 野菜ナビ 山東菜 ・越谷の山東菜(さんとうさい) 工学部卒の元SE。
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2019/08/2-20.html
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/santousai.htm
https://www.yasainavi.com/zukan/chinesecabbage/santouna
https://www.city.koshigaya.saitama.jp/smph/citypromotion/shoku/tokusan/santousai.html
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。