いちごは「野菜」か「果物」か

可憐な姿が魅力的で、果物売り場のトップに君臨する「いちご」ですが、実は野菜に分類されていることをご存知でしょうか。園芸学では木本性のものが果物で、草本性のものが野菜と分類されるため、後者であるいちごは野菜になります。

 

といっても、実際は果物と同じように食べられているため、「果実的野菜」と呼ばれることも。同じ理由でメロンやスイカなども「果実的野菜」と呼ばれます。逆に果物でありながら野菜のように食べられるアボカドや青パパイヤなどは「野菜的果実」とも呼ばれています。

 

私が子どもの頃は、「いちごスプーン」で酸っぱいいちごをつぶし、砂糖と牛乳をかけて食べるのが定番でしたが、品種改良を重ねた近年のいちごは甘味が強いものが多く、その必要がありません。このため、スプーンの出番はほとんどなくなってしまいました。

 

 

静岡生まれ、静岡県民のための品種「章姫」

最初にご紹介するのは「章姫」。こちらは「久能早生」と「女峰」を親に持つ品種で、1992年に品種登録されました。育成者の萩原章弘さんから1文字いただいて名づけられた、いわば章弘さんの子供のような品種です。

 

「地元のために作ったいちごだから静岡の人に食べてほしい。」という強い想いで誕生した「章姫」は、登録後3年間は静岡県内のみで栽培されていた、「県民のための」いちごでしたが、現在は山梨県や神奈川県、愛知県などでも栽培が行われています。

 

 

細長い形が特徴で、口当たりは柔らかです。爽やかな甘味で酸味はほとんどありません。このため、子どもたちにも人気の品種です。しかし、日持ちはしないため、長期輸送には向かず、遠方への出荷が難しい品種。このため、いちご狩りで味わうか、生産者様からの直送に向いている品種といえます。

 

「章姫」が生まれた静岡県静岡市には通称「久能いちご海岸通り」と呼ばれる道があり、多くの観光いちご園が並んでいます。そこで生まれたいちごは「石垣いちご」と呼ばれ、毎年多くのファンを楽しませています。

 

「石垣いちご」は駿河湾に面した山の斜面を利用したハウスの中で石垣の間に苗を植える方法で栽培されています。これだと全てに陽がよく当たる上、石垣に蓄積された熱の効果でいちごがよく育つといわれています。

 

 

断面の美しさはピカイチ!「章姫」の甘さを継承した人気品種「紅ほっぺ」

次にご紹介するのは「紅ほっぺ」。こちらは「さちのか」と、先ほどご紹介した「章姫」を親に持つ品種で、「さちのか」のコクと酸味、「章姫」の糖度と香りを受け継いだバランスの良い品種です。名前は、果皮や果肉の美しい紅色と、ほっぺが落ちるような食味の良さを表現してつけられたと言われています。

 

 

傷みにくく日持ちも良いので、幅広く出回っています。そのため、ご近所のお店で見かけたことがあるという人も多いのではないでしょうか。現時点の静岡いちごの代表格は「紅ほっぺ」といえます。

 

まるで宝石!期待のルーキー「きらぴ香」

最後に紹介するのは2014年に登録された「きらぴ香」

・きらきらとした宝石のような輝き

・みずみずしくなめらかな口当たり

・品の良い甘味と香り

が特長とされ、現在静岡県がとても売り出しに力を入れている品種です。

 

 

「紅ほっぺ」ほどの酸味はなく、「章姫」よりも果肉がしっかりしています。そのため流通にも向いていますので、現時点の流通量は「紅ほっぺ」より少ないですが、今後はどんどん増えていきそうな予感がします。

 

いちごの選び方・食べ方

みなさん、いちごを選ぶとき、どんなところを意識しますか。多分多くの人ができるだけ赤いものを選ぶと思います。もちろんそれも正解です。

 

ただ赤いだけでなく、なるべくヘタの近くまで濃く色づいていて艶があるものを選びましょう。ヘタが反り返っているものは熟している証拠です。

 

さらに甘いいちごがお好きな人には、つぶつぶを覆うように果肉が盛り上がっていたり、ヘタの近くが白く裂けていたりするいちごがオススメです。

 

いちご狩りの際に見つけたら迷わず食べていただきたいいちごですが、保存には向かないので、お店などで見かけた場合にはすぐに食べるようにしてくださいね。

 

 

いちごは先端の方が甘いと言われていますので、食べるときにはヘタの方から食べるのが良いでしょう。また、ヘタを取るのは洗った後。洗う前にヘタを取ってしまうと水っぽくなってしまいます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は静岡いちごをご紹介しましたが、いちごの種類は約300あると言われ、近年では白いいちごも増えてきましたね。そのまま食べるのはもちろん、ケーキやパフェ、大福やアイス、ジャムなど様々な形で味わうことができる優秀フルーツ。最近ではフルーツサンドも人気ですよね。

 

また、少し酸味の強い品種なら、春菊やクレソンなど緑色のお野菜とチーズなどで合わせてサラダにするのもオススメです。

 

 

いちごの旬は5月頃まで。是非いろいろないちごを食べて楽しんでくださいね。

 

 

参考

いちごのあれこれ豆知識(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1912/spe1_02.html

静岡県のいちごの品種(静岡県)
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-360/shoukai/shizuokayasai/strawberry/variety.html

ベリーランドあきひめ
http://www.tm-yume.net/ichiba/hagiwa.html

静岡・久能苺狩り組合
http://www.kunou-ichigo.com/

 

 

 

 

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