24節気の大寒にあたる1月20日頃は1年で最も寒い時期とされ、寒気を利用した食べ物(凍り豆腐、寒天、酒、味噌など)を仕込むのに最も適した時期と言われており、毎年私もこの時期に合わせ、毎年友人たちと木樽を使った「甲州味噌」を仕込んでいます。
「味噌」の種類
味噌は、大豆と麹を混ぜて発酵させて作る、日本食には欠かせない調味料の1つで、麹の違いで以下のように分類できます。
・「米麹」を使って仕込む「米味噌」(東北・関東地方を中心に出回る)
・「麦麹」を使って仕込む「麦味噌」(九州・四国・中国地方などを中心に出回る)
・「豆麹」を使って仕込む「豆味噌」(愛知県の「八丁味噌」など)
しかし、そのどれにも属さない不思議な味噌が「甲州味噌」です。
(米麹+麦麹+塩)+大豆=甲州味噌
「甲州味噌」は「米麹」と「麦麹」を合わせて仕込む味噌で、完成した米味噌と麦味噌を合わせて作る「合わせ味噌」と勘違いされている人もいるようですが、そうではありません。
山梨県の大半は山地。水はけがよく昼夜の気温差が大きいため、果樹の栽培には適している一方、稲作には適しておらず、「ほうとう」や「吉田のうどん」などの小麦粉を使った粉食文化が根付いたとされています。
そのため、東北・関東地方で多く出回る「米麹」だけを使った味噌を作ることが難しく、「麦麹」と混ぜたともいわれています。
さっぱりとした米味噌の味わいに、麦の香ばしいコクをプラスしたまろやかな味わいで、2種類の味噌の良いとこ取りをした味噌と言えるでしょう。
甲州味噌の仕込み方
ここからは、甲州味噌の仕込み方をご紹介します。
1.まずはで大鍋に湯を沸かし、大豆を煮ます。
2.豆が手で簡単につぶれるまで煮た後、潰します。
3.潰した大豆を冷ます間に塩と麹を混ぜます。
写真は2種類の麹。左が麦麹で、右が米麹です。色が少し違うのが分かりますか。
4.塩と麹が混ざったら、潰した大豆と合わせ、ゆで汁を加えながら練ります。
5.程よい硬さになったら味噌玉を作ります。
6.そのまま木樽に投げ入れます。投げ入れるのは空気が入らないようにするため。
7.入れ終わったら平らにならし、和紙で表面を覆って蓋をして涼しい蔵で保管します。
味噌をムラなく発酵させるため、容器から一度出して上下を入れ替える「天地返し」という作業を行う場合もありますが、私たちはそのまま。
自然の発酵力に任せ、涼しい蔵で次の冬まで保管をしています。
完成した甲州味噌とご対面
そして1年が経ち、完成した「甲州味噌」がこちらです。
気候によっては表面にカビが生えてしまうこともありますが、この年はほとんどなく、綺麗に仕上がりました。香りが強く、色も濃い!上々の出来です。
これを見ると食べたくなるのが山梨県で最も有名な郷土食「ほうとう」です。
木樽で仕込んだ「甲州味噌」を使ったほうとうは、「最高のおごっそう(甲州弁でごちそうの意)」なんですよ。
手前味噌ですみません。
まとめ
味噌はとても身近な調味料ですが、その分簡単に手に入れることができるため、どんな材料から作られているのかご存知ない人もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は「甲州味噌」をご紹介しましたが、食べ慣れたお味噌がどんな麹から作られているのかを改めて見直し、味噌仕込みにチャレンジしてみてはいかがでしょう。手前味噌の美味しさの虜になるかもしれません。
最近では材料がセットになった手前味噌キットなども販売されていますので、そちらなら手軽に作ることができます。
また、「つくるのはちょっと大変」という人には、食べチョクでもこだわりの味噌が販売されています。是非チェックしてみてくださいね。
生産者こだわりの味噌はこちら
寒仕込み、一年味噌。
大豆は千葉県の「小糸在来」を100%使用しています!
手作り玄米麹と一対一で熟成させたお味噌。
深い味わいが特徴です。
大量生産できない希少な生味噌。
毎日食べても食べ飽きない、優しい甘味が特徴です♪
酵母や糀が生きていますので、生で食べるのがオススメ!
食べチョク野菜と味噌でバーニャカウダはいかがですか?
工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。