蒸しただけの野菜がおいしい!
「蒸す」という調理法は、もしかしたら今もっとも失われている工程かもしれません。蒸す代わりに電子レンジで加熱すれば、早いのはもちろん、じっと見ている必要もなく調理が終わります。
でも、仕上がりがまったく同じであるかといえば、そうではありません。
忙しいとき、台所にずっと立っていられないとき、急いで料理しなくてはならないとき。そんなときは電子レンジに頼りたいけれど、少しゆっくりと食材に向き合える日や、おいしい野菜をお取り寄せした日は、蒸し器で調理してみてはいかがでしょうか。
▲ただ蒸しただけのじゃがいも。水分が程よく飛んでほっくりと仕上がる。
なかでも、野菜を蒸すのが一番のおすすめ。おいもやレンコン、にんじん、玉ねぎなどの根菜はもちろん、キャベツや白菜などの葉物もぎゅっと入れて火にかけてみてください。
野菜の甘みが引き出され、お醤油や塩をちょっとかけるだけでもおいしい一品になります。
もちろん、手をかけられるときには、豆板醤入りのお醤油を用意したり、山椒を振ってみたり、スパイスや好みの調味料をたくさん用意してもいいですよ。
まずはちいさなサイズのものを手に入れよう
では、どんな蒸し器を買うとよいでしょうか。
実は家族が多くても、お茶碗がひとつ入るくらいのサイズのものを持っておくことをおすすめします。
茶碗蒸しやおこわを炊くとき、豚肉をたっぷり蒸すときには、家族の人数に見合った大きなものが必要なのですが、「そもそも蒸し器を使うかどうかわからない」という不安があるならば、ちいさなサイズを買ってみましょう。
▲ちいさな中華せいろ。お湯も早くわくのですぐに使える。
ちいさな蒸し器は、家族がどんなに多くても、ちょこちょこと使い道があるものなんです。もしどうしても足りないなと思ったら、せいろを追加して高く積んで使うこともできるので、小さすぎて使わなかった!という失敗がありません。
また、ステンレス製のものより、中華せいろや和せいろなど、天然素材でできたものの方がおすすめ。蒸したとき蓋が水分を吸収してくれるので、食材に水滴がつきにくく、ふきんを挟んだりする必要もありません。
▲こちらは大きな和せいろ。5人分くらいの茶碗蒸しを蒸すことができる。
ちいさな蒸し器の使い道
蒸し器を購入したら、何に使うか考えてみましょう。
一番よく使うのは、冷たいごはんを温めるとき。帰りが遅い家族のおかずを温めるのもいいですよね。つまり、電子レンジの代わりとしての使い道があります。
次に、ちょっとした蒸し物料理を覚えておくと、一品の足しになります。すぐできる蒸し物をご紹介しましょう。
これは、器に刺身用として売られていた白身魚と、割ったたまごを蒸したもの。本当はここにあんをかけて食べるのですが、わざわざあんかけにせず、ポン酢をかけてもおいしいです。
たいして手をかけていない一品ですが、あったら嬉しいおかず。
また、これは以前紹介したグリーンピースとじゃがいもの蒸し物。
野菜が少ないときの副菜にもなります。このために食材を買わなくても、余ってしまっている野菜を寄せ集めて蒸してもよいでしょう。
また、これは炊いたおこわをふきの葉に包んで蒸したもの。
竹の葉や蕗の葉、よもぎ、柿の葉など、さまざまな葉と一緒に蒸すと、いい香りがごはんにうつり、少しだけ特別な献立になります。これは電子レンジではなかなか叶わないので、蒸し器があったらぜひ試してほしい調理法です。
まとめ
野菜だけでなく、肉や魚を蒸したり、子どものおやつに蒸しパンを作ったり。ちいさくても本当にたくさんの使い道があるので、チャレンジしてみてくださいね。
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食のライター・料理家。
書籍や雑誌、webなどで執筆と料理の仕事をしている。アウトドア好きが高じて『メスティンBOOK』(山と渓谷社)、『キャンプでしたい100のこと』(西東社)でアウトドア料理のレシピ監修も行う。『こねこのコットン チアーカフェストーリー』(学研プラス・7/6発売)では、児童向け小説の執筆と、おはなしの中に登場するレシピの開発をしている。5歳と13歳の母。