「すもも」も「もも」もバラのうち

「すもも」はバラ科サクラ属の果実。漢字で書くと「李」ですが、「酸っぱいもも」という意味で「酢桃」と表記されることも。

 

それでも、学術上は「すもも」と桃は別のものとされ、表面も産毛のようなものがある桃とは違い、「すもも」の表面はツルツルしています

 

 

といっても、桃も同じバラ科なので、花はとても似ています

 

 

上の写真がすももの花。白いものが多いですが、淡いピンクの品種もあります。

 

そして、下の写真が桃の花。

 

 

色こそ違いますが、どちらも花にも5枚の花弁があり、雌しべの周りに雄しべがついています。

 

ちなみに、他にもさくらんぼや梅、杏なども同じバラ科。つまり、「すもも」と「もも」だけではなく、「さくらんぼ」も「うめ」も「あんず」も、みんな「バラのうち」と言えます。

 

「すもも」の種類

「すもも」は「日本すもも」と「西洋すもも」に分けられ、前者を「プラム」、後者を「プルーン」と呼ぶのが一般的です。

 

日本すももの大産地山梨では、6月中旬ごろから露地すももの出荷が始まり、9月上旬まで続きます。この時期直売所に行くと常に複数の品種が並んでいますので、いくつかご紹介したいと思います。

 

まずは「大石早生」。

 

 

すもも品種リレーの第1走者で、一番多く生産されている品種です。

 

まだ皮が緑がかっているものもありますが、数日常温に置いておくと真っ赤になります。こうすると甘味が増すだけはなく、酸味や渋味が落ち着き、食べやすくなります。

 

 

そして「ソルダム」。

 

 

多分、すももに苦手意識がある人の大部分は、この品種の影響ではないかと思います。

 

皮が緑で硬く、見るからに酸っぱそう!しかし数日常温に置くと「追熟」し、柔らかくなって赤みが増してきます。こうなるとだいぶ食べやすくなります

 

 

次にご紹介するのは「いくみ」。

 

 

「大石早生」と「ソルダム」の偶発実生から育成された品種で、生産量が少なく、市場にはほとんど出回りません。こういう品種に出会えるのも、産地ならではの贅沢です。

 

続いて「サマーエンジェル」。

 

 

これまでご紹介した3つと比べると比較的糖度が高く、酸味は控えめです。

 

山梨県オリジナルとして2005年に品種登録されたすももで、当初栽培は山梨県内に限られていましたが、現在は山形県や長野県などでも栽培されています。

 

続いてこちらが「巨摩錦」。

 

 

黄色くてとがっており、「ひょうたんプラム」と言われることもありますが、来歴の詳細は不明。これも「いくみ」同様、産地でしか見かけない幻の品種であることは確かです。

 

続いてご紹介するのが「貴陽」。

 

 

こちらは、1996年に登録されたすももで、山梨県南アルプス市で生まれました。ジューシーで香りと甘味がとても強く、他のすももとの違いに衝撃を受ける人も多い、大人気の品種です。

 

▲左が桃、右がすももの貴陽

 

また、貴陽は重さも規格外。2012年に323.77グラムの貴陽が「世界で最も重いすもも」としてギネス世界記録に認定されました。

 

平均的な桃の重量が250~300グラムということを考えると、その貴陽がいかに大きかったのか、分かっていただけると思います。

 

 

そんな貴陽は栽培にとても手間がかかるため、他と比べると高価にはなりますが、贈答品としてとても人気がある品種です。

 

そして最後にご紹介するのが「ケルシー」。

 

 

とがったフォルムと種の下の空洞はケルシーの特徴。そしてこんな色なので一見酸っぱいように感じるかもしれませんが、酸味はほとんどありません

 

貴陽のような強烈な甘さもありませんが、さっぱりした甘みが大人向け。しっかりした果肉なので、食感はサクサクです。

 

 

ケルシーの出回り時期は8月下旬から9月上旬と短いですが、ここ数年で人気が出始めている品種で、市場に出回ることも。是非旬の一瞬を逃さないよう、チェックしてくださいね。

 

酸味はすももの個性の1つ

収穫したばかりのすももは瑞々しいですが、酸味が強く、渋味があるものもあります。

 

産地ではあえてそのすももにかぶりつき、すももらしさを堪能する人もいますが、これは食べ慣れた人限定の食べ方。

 

一般的にはそのまま追熟させるのが良いでしょう。この時冷蔵庫に入れてはいけません。一旦低温になったすももは、追熟しにくくなると言われています。そのまま常温で保管してくださいね。

 

また、貴陽などの大きなすももは、食べ頃になるとこうして年輪のようなシワが見えてきます。シワが増えて果肉が柔らかくなり、良い香りがしてきたら食べ頃のサインです。

 

 

また、すももは皮に酸味があるので、どうしても気になる人はむいていただくのも良いでしょう。

 

 

すももは「酸っぱいだけ」と敬遠する人が多いですが、品種によって酸味や甘味のバランスが全く異なるので、もしかしたら、まだお気に入りの品種を見つけられていないだけかもしれません。

 

今年の夏はいろいろなすももを食べて、お気に入りの品種を見つけてみませんか。

 

お気に入りのすももは生産者さんから直接お取り寄せ!

様々な種類があり、それぞれ異なる魅力を持ったすもも。せっかく味わうなら生産者さんから直接購入して、採れたての瑞々しさを楽しみましょう。

 

食べチョクには、こだわりをもってすももを作っている生産者さんがたくさんいらっしゃいます。ぜひお取り寄せしてみて下さいね。

 

こちらではすもも生産者さんの一部をご紹介します。

 

 

山梨県 南アルプス市
南アルプスのオリーブ畑 ながら

 

山梨県南アルプス市でオリーブのオーガニック(有機)栽培をしていらっしゃいます。南アルプスの太陽や風、水のもと、様々なお野菜・果物といっしょに赤くて美味しいすももも栽培されています。

 

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山形県 東村山郡
白山(はくさん)

 

太陽と大地と養分がスモモに行き渡るように、そして栄養を吸収する土を作るために、機械には頼らず栽培されています。

 

除草剤は使わず、草がぼうぼうになったとしても自然の状態を保ち、すもも本来の力や甘みを引き出していらっしゃいます。

 

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参考

平成29年産特産果樹生産動態等調査(農林水産省)

 

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