「サフラン」とは
「サフラン」は、晩秋に花を咲かせるアヤメ科の多年草。
見ているだけで元気になれそうな黄金色のごはんからは想像もつかないような高貴な紫色をしています。
その花の中央にある深紅のめしべだけを摘み取って乾燥させたもの、それがスパイスとして知られている「サフラン」です。
魅惑的な香りと独特な風味が特徴で、日本ではカレーの横に添えられるサフランライスに使うことでよく知られていますが、スペイン料理のパエリアやフランス料理のブイヤベースなど、世界中の料理に使われ、食卓を彩っています。
その栽培の歴史はとても古く、紀元前から世界中で香辛料や染料、香料、薬用として利用され、日本には江戸時代末期に漢方薬として伝わり、女性特有の病気の生薬として使われていたことが分かっています。
メイドインジャパンの「サフラン」栽培
サフランというと海外で生産されているイメージをお持ちの人がほとんどだと思いますが、実はそんなことはありません。大分県竹田市、埼玉県鶴ヶ島市、山梨県甲府市など、様々なところで栽培が行われています。
海外では露地栽培が主流ですが、国内では室内で花を咲かせる栽培方法がとられています。
その栽培方法を確立したのは、1900年ごろからサフラン栽培に取り組み、国内シェア約8割を占めると言われている大分県竹田市です。
今回私がご紹介するのは山梨県甲府市の「Kitsune Farm(キツネファーム)」さんの栽培方法。先ほどご紹介した大分県竹田市を訪ねて指導を受けたのち、改良を重ねながら栽培を行なっていらっしゃいます。
5月頃に冬中土に埋めておいた球根を掘り起こし、茎をカットしてしっかり乾燥させ、その後木箱に並べ、成長を待ちます。
そのまま光も水も与えず約5か月。すると10月下旬頃から花径が伸びてきて、11月頃開花が始まります。
ここから花摘み作業のスタートです。
花だけを摘み取り、集めます。
摘んだ花からめしべを取ります。
1つの花から採れるめしべはわずか3本。
しかもそれを全て手作業で行っているのですから、高価なのも納得できますよね。
そして集めためしべを乾燥させたら、できあがりです。
花を摘んだ球根は、しばらくするとまた花を咲かせます。
11~12月上旬の収穫期間に全3回。3度の花摘みが終わった球根は、翌シーズンに備え、畑に植えます。
最高品質を求めて
「Kitsune Farm(キツネファーム)」さんは、日本で初めてサフランの「有機JAS認証」や「ASIA GAP認証」を取得され、山梨県農産物等認証制度(甲斐路の認証食品・3Eマーク)の基準も満たしておられるとのこと。
また、毎年サフランの品質を定めた国際規格「ISO3632-2」の検査を受け、最上位にあたる「Category Ⅰ」も維持し続けています。
サフランというと、どこか異国のもののように感じるかもしれませんが、高い品質を維持することで他産地との差別化を図り、消費者が安全・安心な食材として生活に取り入れることができるようにしています。
まずは「サフランライス」から
「Kitsune Farm(キツネファーム)」さんでは、「サフラン料理で、明るく・美味しく・健康に♪」をモットーに、パエリアやブイヤベース以外に手軽に食卓に取り入れられるレシピを発信されています。
サフランを上手に取り入れながら、食卓に華やかさをプラスしてみませんか。
工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。