日本遺産 「葡萄畑が織りなす風景-山梨県峡東地域-」

JR中央本線で山梨県を訪れると、視界が一気に開けるポイントがあるのをご存知でしょうか。それが甲府盆地の東の玄関口といわれる「勝沼ぶどう郷駅」です。

 

車窓から見下ろす斜面にはぶどう畑が広がり、天気が良いとはるか彼方に南アルプスを望むこともできるその風景は、葡萄畑が織りなす風景として平成30年に日本遺産に認定されたほどの美しさ。

 

その「勝沼ぶどう郷駅」から車で10分程のところにあるのが、今回ご紹介する「天野ぶどう園」さんです。

 

 

「天野ぶどう園」ご紹介

天野ぶどう園」さんは、この道70年で今でもバリバリ現役のお父様を筆頭に、お母様、そして今回お話を聞かせてくださった敏彦さん、そして敏彦さんの奥様の2世代で主な作業を行っています。

 

若い頃は都内でサラリーマンとして働いていた敏彦さん。山梨に戻った後も個人事業主として別の仕事の傍らぶどうの栽培を行っていましたが、還暦を迎えたことを機に、今年からぶどうをメインに考える生活になったのだそうです。

 

 

栽培品種

こちらで栽培を行っているのは、

・デラウェア
・巨峰
・ピオーネ
・翠峰
・ピッテロビアンコ
・シャインマスカット
・甲斐路

 

など。今シーズンは食べチョクでも販売を行い、特に「シャインマスカット」は1日で300ほどの注文を受けた日もあったのだとか。

 

 

種なしぶどうを作る「ジベレリン処理」

ぶどう栽培の作業で最も有名なのは「ジベレリン処理」ではないでしょうか。

 

ジベレリン処理は種なしのぶどうを作る上で欠かせない作業生育中の最も適した時期を見極めて行わなくてはならないため、生産者様は非常に神経を使います。

 

これは、植物ホルモンである「ジベレリン溶液」にぶどうを浸す作業で、2回行う必要があります。1回目は種をなくすため、そして2回目は粒を肥大化させるためです。

 

ジベレリン溶液自体に色はありませんが、処理を行った房が分からなくならないよう、溶液を食紅で着色して行なうのが一般的です。

 

食紅で着色したジベレリン溶液

 

作業のピークは5月下旬から7月上旬

ぶどう栽培で特に忙しくなるのは5月下旬~7月上旬。この時期は2度のジベレリン処理の他に、房づくりや摘心、摘粒、笠掛け、袋掛けなど、様々な作業が行われます。

 

作業の順番は生産者様によって異なりますが、天野ぶどう園さんでは

1.「芽吹き」からの「新梢の誘引」

2.1回目の「ジベレリン処理」

3.花穂を整形する「房づくり」

4.粒を減らす「摘粒」

5.2回目の「ジベレリン処理」

6.「笠掛け」

7.「袋掛け」(品種によって)

の順に行うそう。

 

なかでも「摘粒」はこの後も随時行ない、形よく仕上げるために尽力されています

 

▲ピッテロビアンコの摘粒

 

食べチョク出品のきっかけは「コロナ」

都心まで片道2時間弱という立地を活かし、毎年「青山ファーマーズマーケット」をはじめとした都内近郊のマルシェなどで新鮮なぶどうを販売していた天野ぶどう園さん。最近ではファンが行列を作る人気出品者となっていました。

 

 

今シーズンも例年同様に販売を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、マルシェ等が軒並み中止に。

 

マルシェ以外にも、10年以上前から独自でECサイトを構築して販売を行なってはいたものの、それだけでは捌ききれない…。そんな中で出会ったのが食べチョクでした。

 

苦難の2020年

食べチョクへの出品を決め、ようやく明るい光が見え始めたかに見えた2020年でしたが、今年の気候はさらに天野ぶどう園さんを苦しめました。

 

長雨による晩腐病や日照不足等による着色不良。特に巨峰やピオーネ等の黒系ぶどうは、「心が折れそうになった」とおっしゃっていました。

 

手前の房の「干しブドウ」のような粒、これが「晩腐病

 

1番好きなぶどうは「甲斐路」

敏彦さんに1番好きな品種を聞いてみたところ、返ってきた答えは「甲斐路」。品の良い甘さと食感が気に入っているそうですが、「光が当たった時の透き通る感じが好き」ともおっしゃっていました。これは生産者様ならではの回答ですよね。

 

甲斐路は山梨県の植原葡萄研究所で育成され、1977年に登録された品種です。品の良い甘味と程よい酸味が特徴で、皮が薄いのも人気の秘訣。

 

種はありますが、実は私もお気に入りの品種なんです。天野ぶどう園さんでも栽培されていますので、タイミングが合えば食べチョクでも購入できるかもしれません。

 

 

やりがいは収穫時の「ワクワク」感とファンの声

年間作業の集大成といえば「収穫」。それが始まるときのワクワク感は、他には代えがたいものだそうです。

 

また、そうして収穫したぶどうをお客様に届けた時の「声」はとても力になるとのこと。時には厳しいお声をいただくこともあるそうですが、それはファンだからこそ。

 

マルシェで直販を始めた時に味わったその感動は、今でも忘れられないそうです。

 

 

今後の野望

ぶどうの販売をしていると必ずと言ってよいほど聞かれる質問の1つ、

 

種はありますか?

 

種なしぶどうの需要が高まっている近年。特に人気の「シャインマスカット」等は元々種がない品種だと思っている人もいるとか。でも決してそんなことはなく、ほとんどの品種は生産者様の努力によって種がなくなっているのです。

 

「種云々、ジベ処理云々言われるくらいなら、元々種のない品種を作ってみたい!」とおっしゃる敏彦さん。カリフォルニアレーズンの原料にもなる「トンプソン・シードレス」というアメリカ生まれの品種は、もともと種のない品種なのだとか。

 

現在国内で流通する「トンプソン・シードレス」は外国産のものが主流ですが、いつか天野ぶどう園さんから国産の「トンプソン・シードレス」が販売されるかもしれません。

 

天野ぶどう園さんのぶどうを食べるなら食べチョクがおすすめ!

 

食べチョクでは、天野ぶどう園さんのぶどうが販売されています。

 

売り切れ続出の人気商品ばかりなので、ぜひフォローをして追加の情報をチェックしてみてくださいね♪

 

 

詳しく見てみる

 

 

<参考>

日本遺産ポータルサイト 葡萄畑が織りなす風景-山梨県峡東地区-

https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story060/index.html

天野ぶどう園

https://budouyasan.com/

 

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