ナスってどんな野菜?
ナスはナス科ナス属の潅木性多年草。
日本には奈良時代に入ってきたとされ、「正倉院文書」に「藍国茄子(らんごくなす)」の名前で登場し、平安時代に奈須比(なすび)と呼ばれるようになりました。
また、ナス、ナスビの語源は、夏に味がよいという意味の「夏味」からという説、「成す」、「生す」につながる縁起からなど、諸説あります。
「一富士二鷹三茄子」という言葉で、なぜナス?と思っている方も多いでしょう。
江戸時代からのことわざで、諸説ありますが、一説では富士が「不死」、鷹は「高、貴」と読み、そして茄子は「実がよく生る」ので子孫繁栄を意味すると言われています。
また、ことわざで「秋ナスは嫁に食わすな」というものがありますね。意味は諸説ありますが、秋に実るナスが美味しいことを表しています。
また、秋のナスにはさらに美味しくなる栽培方法があるのです。
「更新剪定」とい言い、初夏にある程度収穫したナスの株を一度切り戻す方法で、涼しくなる初秋頃に株が元気を取り戻してまた多く実をつけ始めます。
そうして実った「秋ナス」は、小振りのしまった形になりますが、夏の厳しい日差しを受ける事がない為に、実も皮も柔らかくうま味を貯えた状態で収穫されます。
ナスをおいしく食べる為のコツ4選
お漬物から揚げナス焼きナス天ぷらと、色々な料理で使えるナスですが、ナスが油を吸い過ぎる、色が抜けてしまうなど、上手に調理できないという声も聞かれます。
しかし、ちょっとしたコツが分かると、ナス料理への苦手意識が軽減されます。そのコツを4つお伝えします。
ナスはすぐに加熱すればアク抜きの必要はない
ナスを加熱調理する時、切ってすぐに調理すればアクが出てくる時間もありません。
ナスのアクの成分はクロロゲン酸などのポリフェノールなので、体に害があるわけではありません。
炒めもの、揚げ物を作る時には切ってすぐに加熱することをおすすめします。
しかし、ナスのえぐみが気になる場合、サラダなど生食する時、ナスを切ってから調理するまで時間が空く場合は、水に晒してアクを取るとよいでしょう。
ナスを炒める時に、油を追加すべからず
ナスはどんどん油を吸うので、炒めながら油を足しているうちに、仕上がりがベチャっとなってしまったという話をよく聞きます。
ナスの果肉はスポンジ状なので油を吸いますが、ある程度加熱されると、ナス自身の水分と吸い込んだ油分がナスから出てきます。
中火で熱したフライパンに適量の油を温め、フライパンの温度を下げないようにしながら切った断面がカリっと色づくように炒めてください。
また、皮面から先に加熱すると、皮の色がキレイに仕上がります。
ナス漬けの糠には「鉄」が有効
ナスの漬物を作る時、鉄を入れると鉄イオンがナスの色素であるナスニンと結合し、色の安定性が向上します。
こうした化学的根拠が証明される前から、先人は糠に鉄で出来た釘などを入れてナスを色鮮やかに漬けてきました。今では、ナスの色止めの為の「鉄玉子」などの製品が販売されています。
鉄の他には、ミョウバンもナスの色止めに昔から使われています。こちらはアルミニウムイオンがナスニンと結合するためです。
ナスの味噌汁を黒くしない為には
ナスの皮の色素であるナスニンは水溶性です。長時間水の中に入れておくと、色素が溶けだします。
味噌汁を作る時には、出汁をきちんと沸騰させてから火が通りやすい大きさに切ったナスを入れると、ナスの皮の色が抜けづらいです。
おいしいナスの選び方と保存方法
新鮮なナスの見分け方は、皮に光沢がありハリのあるもの、ヘタの切り口が新鮮なもの、トゲが鋭くしっかりしているものを選ぶ事です。
また、手に持って見た目に見合う重みのあるものが良いでしょう。
保存する時は、ヘタから水分が抜けていくので、1個ずつラップで包んで保存袋に入れ、水分が抜けないようにした上で、余り温度が低くならない野菜室に入れると良いでしょう。
冷凍する時は、使いやすい大きさに切ってからジッパー付の保存袋に入れ、空気をなるべく抜いてから冷凍庫で保存します。
使う時は凍ったまま加熱調理します。
まとめ
昔から食卓を彩ってきただけでなく、色々なことわざにも使われるほど、私たちの生活に深く関わってきたナス。
今は夏や秋だけの野菜でなく、ハウス栽培のナスが一年中出回っています。上手に保存しておいしく調理して、色々な料理に使ってみて下さいね。
参考
農研機構 https://www.naro.go.jp/publicity_report/season/006527.html
第一三共 https://www.ehealthyrecipe.com/meal/syokuzai/SyokuzaiDetailServ.php?szid=6191
丸果石川中央青果 http://www.maruka-ishikawa.co.jp/vegetables/items003/eggplant.htm
故事ことわざ辞典 http://kotowaza-allguide.com/i/ichifujinitakasannasubi.html
マイナビ農業 https://agri.mynavi.jp/2017_09_25_6139/
日本食品保蔵科学会誌 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010922483.pdf
JA山口県 https://www.ja-ymg.or.jp/agriculture/promotion_items/promo_item_eggplant/
カゴメ https://www.kagome.co.jp/vegeday/store/201708/6836/
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。