「国産キウイ」の旬は晩秋から冬にかけて
キウイは、地味な見た目と酸味のせいか、以前はあまり人気のないフルーツの1つでした。
しかし、かわいいキャラクターを前面に押し出したテレビCMや、ビタミンCや食物繊維等、美容と健康を保つ効果が期待できる栄養素が豊富に含まれていることなどから、ここ10年ほどで売り上げが急激に伸びています。
そんなキウイは、春から夏にかけてはニュージーランドなどの外国産、そして秋から冬にかけては国内産が多く出回り、1年中食べることができます。
大きく分けてキウイの色は3種類
一般的に出回るキウイの色にはグリーン・ゴールド・レッドの3種類があります。
酸味と甘味のバランスが特徴のグリーン系
グリーン系のキウイには、国産キウイの約85パーセントを占め、ゼスプリグリーンキウイとしても多く出回っている「ヘイワード」や、細長い形が特徴の「香緑」、ベビーキウイやキウイベリーなどと呼ばれる「サルナシ」などがあります。
国産キウイの約85パーセントを占める「ヘイワード」
グリーン系の品種は、一部を除き、ほとんどの品種に沢山の産毛があり、3色の中では1番酸味が強い傾向があります。
甘味もちゃんとありますが、未熟なまま食べてしまうと若干の渋味や酸味が際立ち、キウイが苦手になってしまうことも。バランスの取れた甘味と酸味を味わうためにも、食べ頃を見極めることが重要になります。
また、食物繊維が豊富で、腸内環境を整える効果が期待できます。また、「アクチニジン」というたんぱく質分解酵素が多く含まれており、お肉や魚などの消化を助ける働きもあります。
トロピカルな甘味のゴールド系
ゴールド系のキウイには、東京生まれで先が尖った「東京ゴールド」や、ゼスプリ社で開発された「サンゴールド」などがあります。
東京生まれで先が尖った「東京ゴールド」
ゼスプリ社で開発された「サンゴールド」
産毛は少なく、グリーン種と比べて酸味が少ないものがほとんど。南国フルーツのようなトロピカルな甘さを感じることができ、甘いキウイが好きな人にはこちらがオススメです。
ビタミンCが多く、1つ食べると1日に必要な量を摂取できると言われています。ビタミンCは免疫力をアップさせ、風邪予防にも効果が期待できますので、これから寒くなる時期には欠かせない栄養素です。
ベリーのような甘さを感じる希少品種のレッド系
レッド系のキウイには、やや小ぶりでお尻の部分がくぼんだ形の「レインボーレッド」や、まだ国内では生産されていない「ゼスプリレッド」などがあります。
果頂部がくぼんだ形の「レインボーレッド」
国内では生産されていない希少品種「ゼスプリレッド」
同じレッド種ではありますが、「レインボーレッド」の赤身は種の周りのみで、「ゼスプリレッド」は皮を除いて全体的に赤みがかっています。黒系ぶどうやベリーのような甘さを感じることができます。
他の色と比べて熟すスピードが速いものが多く、長期保存が難しい品種ばかり。その上流通量が少ないため、入手するのが困難。見かけたら是非手に取ってみてくださいね。
キウイの交配には「授粉」が有効
キウイは、雄株と雌株が別々となる「雌雄異株(しゆういしゅ)」の植物で、雌株のみでは実をつけることができず、雄株として別の品種が必要になります。
このため、ハチや風に頼る交配だけではうまく育たないものも多く、人の手による複数回の「授粉」が有効になります。
グリーン系の雄株には「トムリ」など、ゴールド系の雄株には「孫悟空」などとの相性が良いとされ、選ばれることが多いです。
雄株「トムリ」の花
雌株「ヘイワード」の花
授粉がうまくいくと、1週間ほどでこのような実を付けます。
収穫直後のキウイはまるでジャガイモ
一般的にキウイは樹上では追熟しない果物と言われており、収穫したばかりのキウイは、まるでジャガイモのような硬さ。
この状態のキウイは酸味と渋味ばかりで、甘味はほとんど感じません。糖度は6度~7度くらい。残念ながら瑞々しさを感じることもできません。
ここからゆっくり時間をかけて追熟することで、ジューシーさと濃厚な甘味が乗ってくるのです。
追熟のコツ
収穫したばかりのキウイは常温に置くことで追熟していきます。最も適した温度は15度~20度前後。1~2週間ほどで食べ頃になります。
通常スーパーなどで売られているキウイは追熟が終わった状態のものが多いですが、もし購入したキウイが硬い場合、すぐに冷蔵庫に入れず常温で保存し、追熟させましょう。
追熟後は冷蔵庫に入れるのが良いですが、冷蔵庫でも追熟は進みますので、早めに食べるようにしてくださいね。
また、そんなに待てないという人に力を貸してくれる救世主が「リンゴ」や「バナナ」。それらから放出されるエチレンガスが、キウイの追熟をサポートしてくれます。一緒にビニール袋に入れておくと追熟スピードが上がります。
室温で2~3日が目安ですが、手で軽く押さえて柔らかくなれば食べ頃です。毎日硬さをチェックし、熟しすぎないように注意してくださいね。
オススメはくし形切り
キウイは、樹についていた上部の「果梗部」と、下部の「果頂部」で、糖度が1度くらい違います。
そのため、上下に切るスタイルだと、甘さを均等に分け合うことができません。そこでオススメしたいのがくし形切り。これなら家族とシェアしても甘さの違いでケンカにはなりません。
まとめ
いかがだったでしょうか。その地味な見た目からは想像できないくらいのキウイの秘密に迫ってみました。
これからの時期、柑橘類やイチゴなど、見た目が鮮やかなフルーツの旬も始まりますが、キウイだってそれに負けない魅力たっぷりのフルーツです。
是非たくさん食べて楽しんでくださいね。
https://www.zespri.com/ja-JP/
工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。