くわいとは
温帯から熱帯地域に広く自生し、水面下に沈んでいる地下茎で生長するオモダカ科オモダカ属の野菜です。
収穫は11~12月の寒さが堪える時期で、水面下の根株を掘り起こすため、長時間水に浸かっていなければならない重労働として知られています。
収穫の厳しさのために、全国的に産地が広がらないのではないかといわれているのがくわいなのです。
縁起物として重宝されており、おせちに必須の野菜として愛好されてきました。「子孫繁栄」「お祝い」「よい芽が出る象徴」などの縁起担ぎとして知られます。
種類
くわいの種類は、青藍色の「青くわい」、淡青色の「白くわい」、小粒の「吹田くわい」があります。(吹田くわいはさらに「姫くわい」「豆くわい」と分類)
一般的に、日本では、くわいといえば在来種の「青くわい」を指していることが多く、ほかよりも大型の白くわい(シロクワイと表記されることも)は中国から伝来しました。
青くわいは、ほくほくしていて甘いのが特徴です。白くわいは歯ごたえがあり、シャキシャキした食感が楽しめます。
苦みが強いのは「白くわい」、やや苦いのは「青くわい」、苦みがほぼないといわれているのが「吹田くわい」です。
青くわいの生産は、埼玉と広島の福山で市場の7割を占めています。
吹田くわい(フイタグワイと発音することも)と呼ばれる品種のくわいは水田雑草である「オモダカ」に近く、小型で美味しいと特に、大阪で好まれています。
時期
くわいがスーパーに並び始めるのが、12月頃。おせちの時期に向けての需要が高まります。くわいの最盛期である11月下旬~12月中旬にかけてが食べ頃です。
鮮度の見分け方
採れたてのくわいは、鮮やかな藍色をしています。色味があまりくすんでいないものを選ぶとよいでしょう。アクが強いものは褐変しますので、できるだけ褐変が少ないものを選びます。
青くわいは、皮に湿り気があるのが理想です。さらに、丸みのあるかたちで、整った球形であること、皮にハリがあることが鮮度の証で、価値の高いくわいとされています。
縁起物としてのくわいは「芽」の部分が重視されますので、芽の損傷がないものを選ぶとよいでしょう。
くわいを美味しく食べるコツ
青くわいは、甘みとほろ苦さをもっているのが特徴です。味わいと食感は、栗に近いといわれています。
白くわいは肉質が硬く、風味は淡泊。苦みは、青くわいよりも強いことで知られています。
吹田くわいは肉質がぎゅっと詰まっている感覚、苦みはほかの品種に比べてもっとも少なく美味と人気です。
球形のくわいの皮むきですが、六面をつくるように皮をむく方法がもっともポピュラーでしょう。
くわいのあくの成分はポリフェノールです。下処理せずにそのまま食べると、えぐみ、渋みが強いので、皮をむいた後、お湯に重曹を溶かし、くわいを投入しましょう。
米のとぎ汁で下ゆでしてあくを抜くという方法もあります。1時間程度、水に浸けておくことでもあく抜きができます。
くわいの苦みはシュウ酸石灰を含む野菜特有のもので、この成分はゆでこぼすことで緩和させることができます。
くわいのレシピを紹介
くわいは煮物、揚げ物、炒め物として食べることが多い食材です。揚げると食感がよく、「くわいチップス」などとして好まれます。
縁起を担ぐ料理にする場合はとにかく芽の部分が重要なので、傷つけずに調理しましょう。
下ごしらえの準備として、くわいの醍醐味である「芽」を折らないように気をつけましょう。
くわいとしいたけの煮物
◆用意するもの
くわい (お好みの量)
干ししいたけ、もしくは生のしいたけ(お好みの量)
砂糖 大さじ一杯程度
料理酒 大さじ一杯程度
だしの素 小さじ一杯程度
醤油 (お好みで適量)
水 少々
◆作り方
1.まず、六面をつくるように、くわいの皮をむきます。その後、あく抜きをしましょう。重曹を溶かしたお湯でゆでこぼす、米のとぎ汁でゆでこぼすなどの方法がおすすめです。
2.干ししいたけを使用するなら、水で戻してください。生のしいたけを使用する場合は、十字に飾り切りを入れます。
3.くわい、砂糖・料理酒・だしの素・醤油・水を鍋で15分~20分程度煮たら完成です。火力にもよりますので、様子を見ながら進めてください。
まとめ
おせちのなかでしか見かけることがないという人も多いくわいですが、調理法を変えるたけで、食感や味わいに変化をつけることができる優秀な食材でもあります。
あくの強さと独特の苦みは、しっかりと下処理をすることで軽減し、くわいの味のよさを堪能することができます。ぜひ、さまざまな調理方法で楽しんでみてください。
家庭菜園士・ベランダ菜園士。
家庭菜園系のコラム連載、花と植物のスマホアプリ『GreenSnap』の一部菜園記事の監
修なども行う。野草・薬草・野菜の栄養・土・肥料などについても探求中。農業をリスペクトし
ています。