タイ料理・シンプルクッキング研究家のサクライチエリです。
タイから日本に帰国してびっくりしたのが、日本の柑橘の種類の多さと、その甘さです。日本の品種改良の細やかさと、農家さんの栽培技術と丁寧さに、改めて頭が下がる思いでした。
そんな美味しい柑橘を、全て紹介したいところですが、今回は食べるときのお悩み別に、お勧め柑橘を厳選してご紹介させて頂きます。
冬の柑橘の特徴
「炬燵でおミカン」のイメージが強い日本の冬ですが。みかんは、漢字で「蜜柑」と書くように、密のように甘い柑橘という意味で古くから親しまれていました。
江戸時代、海が荒れて江戸にミカンが届かなくなったと言う事で、「よっしゃ、今江戸にミカンを持っていけば高く売れるぞ!」と、命知らずに船を出し、江戸に着いたら本当に高値で跳ぶように売れたというのですから、ミカンがいかに人々を魅了してきたかが分かりますね。
※参照・紀伊国屋文左衛門 (親子で楽しむ歴史と古典) 単行本 – 1997/2/1小田 淳 (著)
元々、植物は寒くなってくると自らの糖度を挙げて凍らないようにする性質がありますが、それに加えて人間の方も、冬場は甘くて味の濃いものを欲する為、甘くてジューシーな品種が多く出回るようになりました。
それから、忘れてはいけないのが、農家さんの努力です。収穫したての柑橘はまだ酸味が強いので、暫く貯蔵して「酸を抜く」作業後に出荷されます。
ただでさえ柑橘は棘があり、キレイな実の収穫には手間暇がかかっています。美味しい柑橘を頂く時には、その柑橘の美味しさだけでなく、生産者さんにも感謝して頂きたいものです。
冬の柑橘の代表選手、温州ミカンの栄養について
風邪を引いたらおミカンとか、江戸時代、「病気のお父っつぁんにおミカンを食べさせてあげたい」という、けなげな娘が居たか居ないか、冬の健康に柑橘が重要な役割を果たしているイメージです。
代表的な品種は「温州ミカン」という事で、その栄養を見てみましょう。
ミカンといえばビタミンCが連想されますが、温州ミカン中1個100gにつきビタミンC含有量は32mg。1日3個食べれば、ミカンだけで1日に必要な100mgを摂れるという訳です。
更に特筆すべきは、「β-クリプトキサンチン」の機能性効果についてです。温州ミカン100g中、1700μg含まれていて、抗体の産生を促進する「免疫促進効果」がある事が明らかにされています。
人間の我儘に応えた、特上柑橘 6選
冬の柑橘といえば、甘い種類のものが多く出回るという事で、それでは、甘いだけでない、更なる人間の我儘に応えた柑橘をご紹介します。
皮が剥きやすくないと嫌だ→はれひめ、たまみ
まず、皮がうまく剥けないとイラっとする、更に中の白い皮が固いと口から出してしまい、それを片付けるのが面倒。 と、柑橘敬遠コースを進もうとしている方にお勧めなのが、12月からが旬の「はれひめ」から、2月辺りから出回る「たまみ」です。どちらも皮が薄く、ジューシーで、甘くて食べやすい品種です。
口どけ至上主義 →まどんな、せとか
※写真提供・株式会社 ぽんぽこらんど
12月から市場に出回るまどんなは別名「天然ゼリー」。2月から旬を迎える、せとかの別名は「柑橘の大トロ」。
その口どけ、甘味、香り共に、「こんなの食べたら、人間ダメになる」と言う人が続出の極上柑橘です。
ぷちぷち、さくさく、音もごちそう!→甘平、はるみ
甘味と口どけを追求した品種をよそに、「そんな柑橘、食べた気がしないよ」と思っておられる方は12月からは「甘平」、2月からは「はるみ」をお試しください。ずっしり、みっちりした果肉は、口に入れるとぷちぷちした歯ごたえ。つぶつぶオレンジジュース好きな方は、必ずはまります。
まとめ
現在日本中の柑橘の種類は、現在農林水産省に登録されているカンキツ属だけでも164種類です。
その中から時期によっての好みの品種を探すのも楽しいですし、温州みかんでも、産地、生産者によっても味が違ってくるのを食べ比べるのも楽しいです。
美味しい柑橘を毎日食べて、冬を元気に乗り切りましょう。
▼参照
・株式会社ミーティンクラフト 池田広美社長様
・株式会社ぽんぽこらんど 古崎社長様
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。