タイ料理・シンプルクッキング研究家、サクライチエリです。
クリスマス時期にスーパーの果物コーナーの最前線を赤で埋め尽くすところから始まり、レストラン、ホテルやデパ地下で展開される「イチゴフェア」など、毎年春まで、イチゴの赤で街が華やかに彩られます。
しかし、スーパーでイチゴを買う時の基準はというと、その時にお買い得品だからとか、大きさが揃っているか否かくらいで、たまたま手に取ったのがこの品種だった、という事が多いというのが本音です、私の場合。
しかし、折角色々な種類のイチゴが出回っているのですから、好みの品種を選んでみたいですよね。
という事で、子どもと一緒にイチゴの食べ比べをしてみる事にしました。
実はイチゴ界では「戦国時代」が続いている
早速スーパーのイチゴコーナーに出向いてみると、ある事に気付きました。
「今までに聞いた事のない名前のイチゴが何種類もある!」
さらに、八百屋さんの店先をチェックすると、更に始めて見る名前のイチゴが並んでいます。
やや狼狽えて、八百屋の紳士に、私が知っている品種の1つを挙げて、「この品種は無いのでしょうか?」と聞いたところ、衝撃の事実が告げられました。
「イチゴの1つの品種の寿命は、約20年」
例えば、収穫量日本一のイチゴ王国 栃木県においては、かつては「東の横綱」と言われた“女峰”が幅を利かせていました。
しかし、天下を“とちおとめ”に譲り、さらに大きく甘い“スカイベリー”を後釜に据え、栃木県知事がトップセールスを展開し、王国の地位を固めています。
それに対して「西の横綱」だった“とよのか”を生産していた福岡県は、2005年に商標登録された“あまおう”が大ブレイク。
しかし、人気に甘んじて、後続品種が育たないうちに、「打倒、あまおう!」で開発され、同じ戦略で売り出された“スカイベリー”に地位が脅かされつつあります。
それだけでなく、佐賀県の“いちごさん”、長崎県の“ゆめのか”、熊本県の“ひのしずく”、“ゆうべに”が虎視眈々と九州制圧を狙っていて、まさに「イチゴ戦国時代」の様相です。
スーパーのイチゴを食べ比べてみたー姿かたち編
イチゴ界の静かで熱い戦いを知ってしまった以上、食べ比べに際しての選抜方法には、細心の注意を払わざるを得なくなりました。
私が決めたルールは、以下の事です。
1.横浜市某所の、駅前のスーパー、および駅ビルの八百屋さんの店頭にあるもの。
2.大きさは、なるべく同じ大きさのものを選ぶこと。
3.1県、1品種。なるべく広範囲の産地を選ぶこと。
4.馴染みのある品種と初めて知った品種を取り交ぜること。
そうして選抜された品種は、以下の通りです。
熊本県代表―ひのしずく☆
静岡県代表―紅ほっぺ
長崎県代表―恋みのり☆
栃木県代表―とちおとめ
福岡県代表―あまおう
☆マークは、私が初めて知った品種です。東日本の人なので、九州の品種に疎いようです。
試食の前に、断面チェックをしてみました。
まるっこい形のものはかわいらしいけれど、ふくよかに大きく育てる為には、中に空洞ができやすいようです。
断面を重視するなら、安定の“とちおとめ”か、名前の通りの“紅ほっぺ”でしょうか。
そして、中が白く大粒なのに空洞がない“恋みのり”が、ニューフェイスの意外性を見せてくれました。
スーパーのイチゴを食べ比べてみたー味、香り編
それでは、いざ、実食です。
小学生女子と、料理教室の生徒さんの中学生女子が、真剣にチェックシートに色々書いてくれました。
以下が、大人1名、子ども2名の試食結果です。
個人的に一番好きなものを挙げてもらったところ、以下の結果になりました。
それぞれの基準を持ってのジャッジが面白かったです。
そして、面白かったのは、小学生、中学生ともに「いちごのショートケーキに使いたいか、生食したいか」を、チェックシートの項目の1つにしていた事です。
ケーキむけについては、全員一致で“とちおとめ”でした。
まとめ
今回は、主にスーパーで買える種類のイチゴで食べ比べをしてみましたが、日本には、品種登録をしているイチゴは約300種類あるそうです。
私自身は、自宅のプランターでイチゴ栽培しているので、販売されているクオリティのイチゴを育てる技術は、もの凄いものだと実感しています。
イチゴの旬はハウスものから露地ものまで、12月から5月くらいまでと、長い間楽しめます。
その長い食べ頃に手軽に手に入る種類から、日本各地の「ご当地ニューフェイス」まで、様々な種類のイチゴを楽しんで、好みの品種を見つけてみて下さいね。
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・モンテール
https://gakuen.monteur.co.jp/library/knowledge/entry/003150.html
・農林水産省HP
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1912/spe1_01.html
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。