「ノンホモ牛乳」とは
日本で一般的に販売されている牛乳の多くは、“ホモジナイズ”という処理が施されています。“ホモジナイズ”とは、牛乳の中の脂肪球を砕いて小さく均質化する処理です。牛乳は搾ったままの状態ですと脂肪球の大きさが不揃いなので、均一に効率よく殺菌処理を行う目的や安定した品質を保つためなどの目的から、一般的に“ホモジナイズ”処理が行われます。
「ノンホモ牛乳」の特徴
「ノンホモ牛乳」は、名前の通り上記の“ホモジナイズ(均質化)”処理を行っていない牛乳のことを指します。“ホモジナイズ”を行わないことにより、牛乳の状態がより搾りたてに近づくので、より自然の状態に近い風味が楽しめます。静置しておくと脂肪分が浮かび上がり、上面にクリーム(脂肪)層ができるのも特徴です。また、「ノンホモ牛乳」を使って、おうちで手軽に手作りバターやモッツアレラチーズも楽しむことができます。
それでは、スーパーで購入できるものからお取り寄せで楽しむものまで、様々な「ノンホモ牛乳」を紹介します!
スーパーやデパ地下で購入できる「ノンホモ牛乳」
「ノンホモ牛乳」は流通量が少ないため、販売していないお店も多いのですが、比較的入手しやすい「ノンホモ牛乳」を以下にご紹介します。
木次乳業 ノンホモ牛乳(1,000ml:税込396円, 500ml:税込204円)
パッケージに書かれている生産者からのメッセージと「ノンホモ牛乳」の楽しみ方。あたたかみを感じます
一つ目にご紹介する「ノンホモ牛乳」は、島根県奥出雲に牧場を構える木次乳業さんの牛乳です。「ノンホモ牛乳」好きな筆者の感覚値ですが、都内近郊のスーパーや百貨店で一番よく見かける「ノンホモ牛乳」だと思います。木次乳業さんは、有機牛乳作りを目指して非遺伝子組み換えの配合飼料や、野草の混ざった牧草を牛さんの餌として使われているとのこと。ゆくゆくは“全酪農家が非遺伝子組換えで営めるように”、という思いで勉強会も開催されており、消費者の健康と日本の酪農に対するとても熱い思いが溢れています。また、日本で初めて“パスチャライズド(低温殺菌)”牛乳を流通化させた企業でもあります。実際に飲んでみて、とてもまろやかでやさしい甘みが感じられるお味でした。
東毛酪農 低温殺菌牛乳63℃(1,000ml:税込378円, 200ml:税込173円)
次にご紹介する「ノンホモ牛乳」は、群馬県太田市に牧場を構える東毛酪農さんの牛乳です。「ノンホモ牛乳」であることももちろんこだわりポイントですが、東毛酪農さんが特にこだわっているのは、“パスチャライズ(低温殺菌)”という牛乳の殺菌方法。市販の牛乳の約9割近くが“超高温殺菌(120~130℃で2~3秒)”を採用しているのですが、“パスチャライズ”では低温で時間をかけて殺菌を行うため、タンパク質の変性も少なく牛乳本来の風味や成分が損なわれにくいのです。
“パスチャライズ”で殺菌を行うためには、殺菌前の牛乳の品質の高さがとても重要になるため、東毛酪農さんでは高い基準を設けて品質管理を徹底しています。実際に飲んでみて、ノンホモ&“パスチャライズ”特有の濃厚さが楽しめて、けれどさっぱり感もあり飲みやすい。と感じました。東毛酪農さんの公式HPには、商品へのこだわりから牛乳の嬉しい効果まで情報が盛りだくさん。また、販売店舗についてもとても丁寧に(なんと店舗ごとに販売されている牛乳の種類まで!)記載されていますので、ぜひ覗いてみてください。
お取り寄せで楽しむ「ノンホモ牛乳」
JAわっかない 稚内牛乳(200ml×6本:税込2,480円)
最北のプレミアムミルク 稚内牛乳900ml×3本 ノンホモ牛乳 稚内ブランド 認定商品
さて、お次はお取り寄せ編です!一つ目は北海道稚内(わっかない)からお取り寄せできる稚内牛乳です。稚内は、牧草作りにぴったりな気候のため日本でも数少ない放牧に適した土地です。そのため稚内牛乳には、放牧型の牧場で生産された牛乳が使用されています。こちらも、ノンホモに加えて“パスチャライズ”製法になります。
実際に飲んでみて、まず、香りにまるでバニラアイスのようなコクが!味も、生クリームを思わせるようなとても濃厚で風味豊かなお味でした。一杯の満足感がすごいです。こちらの牛乳は、公式HPのFAX注文や稚内空港ネットショップ、AmazonさんのHP等から購入できます。また、この牛乳を使用した濃厚なアイスクリームをふるさと納税の返礼品として紹介しているHPもありますので、濃厚なアイス好きの方はぜひ覗いてみてください。
なかほら牧場 中洞牧場牛乳(720ml:税込1,188円)
なかほら牧場 牛乳 720ml×2本 中洞牧場 無添加 ハラール認証品 ジャージー牛 ノンホモ 岩手県産 贈答品 お取り寄せ
次にご紹介するのは、岩手県にあるなかほら牧場さんの「ノンホモ牛乳」です。こちらでは山地(やまち)酪農という酪農方法で牛さんを育てており、牛さんは24時間365日山で自由に過ごし、自然に育った野山の植物を食べて生きています。牛さんの本来の習性や生き方をとても大切にして育てられていて、牧場の見学や山地酪農の研修も行っておられます。
そんな自然いっぱいの環境で、愛情いっぱいのびのび育った牛さんの牛乳は、とにかく濃厚でうまみがぎゅっっと詰まっています。初めて口にした時は、その濃厚さに驚きました。こちらも、ノンホモに加えて“パスチャライズ”製法になります。
また、アガベシロップと呼ばれる自然派のシロップが使われている、「飲むヨーグルト(加糖)」(130ml:税込324円)もイチオシです。甘さと酸味のバランスが感動的、かつ生乳感たっぷりで、いくらでも飲みたくなる味わいです。関東ですと、銀座の松屋さんに常設店舗があり、牛乳、アイスクリーム、ヨーグルトがすべて購入できますので、お近くの方はぜひ!また、百貨店で行われる北海道物産展でも出店されていることがありますよ。
可愛らしい130mlサイズ(税込270円)もありますよ!
シックス・プロデュース 自然放牧牛乳「四季の恵み」(720ml×2本:税込2,160円)
最後にご紹介するのは、島根県邑南町にあるシックス・プロデュースさんの「ノンホモ牛乳」です。こちらも、24時間365日自然放牧で牛さんを育てていらっしゃいます。自然のままに育った牛さんの牛乳だからこそ、その「香り」や「味わい」から四季を感じることができる。そんな素敵な思いが込められた牛乳です。
筆者はこちらの牧場が所在する島根県邑南町に季節を跨いで伺ったことがあるのですが、コクのあるうまみたっぷりな美味しさの中に味の変化を感じることができ、その瞬間にしか味わえない特別感と次への楽しみが生まれる味わいでした。こちらも、ノンホモに加えて“パスチャライズ”製法になります。
また、こちらでぜひともオススメしたいのが、「邑南日和高原ミルクジャム」(税込864円)と「四季のカップソフトクリーム」(120ml×8個 税込3,330円)です!「邑南日和高原ミルクジャム」は、生乳を時間をかけてコトコト煮詰めることで糖度を上げており、生乳本来のコクのある甘さが楽しめます。朝食のトーストに塗って食べると、一日幸せ気分になります。「四季のカップソフトクリーム」は、生乳を練り上げて作った安心の無添加ソフトクリームです。一度食べたら忘れられない美味しさですよ。シックス・プロデュースさんの商品は、公式HPで購入できるほか公式HPに期間限定の出店予定も記載されていますので、ネットやお近くの店舗でぜひ味わってみてください!
絶品ソフトクリーム
「ノンホモ牛乳」を使ってモッツアレラチーズ作りに挑戦!
「ノンホモ牛乳」で、モッツアレラチーズが簡単に作れる!という情報を知り、筆者も実際に試してみました!今回お世話になったのは、上記でご紹介した東毛酪農さんの「ノンホモ牛乳」(ビン詰めタイプ)です。
今回お世話になった「ノンホモ牛乳」
では、早速挑戦します!以下、手順になります。
1. 牛乳を鍋に入れて約65℃に温める。
2. 温まったら火を止めて①に食酢を加える。(今回は牛乳720mlに対して食酢は37ml加えました)
3. 1~2分ヘラなどで分離するまで混ぜる。分離したらザルで濾す。
4. ザルで濾したチーズの塊を熱湯の中でこねる。(火傷しないようにヘラやしゃもじを使ってくださいねっ)
5. あとは、チーズの塊を冷水で冷やせば完成です!
こちらのHPに作り方が詳しく動画で紹介されていますのでぜひ。
完成したモッツアレラチーズ
食べてみると、たしかにモッツアレラチーズ!おうちでこんなに簡単にできるなんて驚きです…。お味は、市販のものよりもミルク感がしっかりしているように感じました!
市販のものですと、堅めのものから柔らかいものまで様々ですが、4.の行程で自分好みの固さに調節できますので、好きな触感のモッツアレラチーズを作ることができます。また、3.で濾してできた液体は“ホエー”といって、こちらもパンケーキやドリンク作りなどに使うことができますよ!
まとめ
品質管理や牛さんの健康に気をつかい、通常よりも手間と時間をかけて作られる「ノンホモ牛乳」。生産者の方の努力と元気に育ってくれる牛さん、そして牛さんへの愛情があってこその賜物です。愛情たっぷりの「ノンホモ牛乳」でありのままの自然のおいしさを味わってみませんか?
システムエンジニア兼ライター。農学部でトマトの栽培を4年間研究したのち、IT×農業で何かできないかとシステムエンジニアに転向しました。食べること、作ること、そして人と関わることが大好きです。読んだ人の栄養になる。を目指して言葉を発信していきたいです。