野菜大好き管理栄養士のいまむらゆいです。娘の離乳食作りの毎日を過ごしている私ですが、野菜好きとしては、やっぱり娘にも「野菜を美味しく楽しく食べてほしい!」という思いでいっぱいです。
離乳期は食べ方を覚える時期、そして味を学ぶ時期です。味付けをしない離乳食は、なにより素材のおいしさを生かすことが重要となってきます。今回は、筆者も離乳食作りで実践している「蒸す」調理法のメリットやおすすめ食材をご紹介します!
離乳食は「蒸して」作る!
離乳食の作り方も多種多様です。火を通して柔らかくし、食べやすいように調整する。単純な工程のようにも思いますが、シンプルだからこそ適切な調理法を選ぶことが大切です。
わたしが野菜の離乳食作りでおすすめしたい調理法は、「蒸す」方法です。「茹でる」とは違い、蒸気によって加熱するため、水に栄養成分が溶け出にくい、水溶性の栄養素を残して加熱することができる、100℃以下の温度でじっくりと加熱ができるなどメリットが盛りだくさんです。
ジューシーな仕上がりになるのはもちろん、野菜自体の甘みを引き出してくれる調理法でもあります。栄養、柔らかさ、味といった多くの面で、離乳食に適した調理法です。
もちろん大人が食べてもおいしい蒸し野菜。セイロで蒸せば、そのまま食卓に並べて、離乳食用に取り分けつつ、大人も一緒に食べることができます。楽しい食卓作りは何よりの食育になりますよ。
離乳食におすすめの野菜
蒸す調理法は、基本的にどの野菜でも使うことができます。その中でも特に相性の良い野菜4つをご紹介します!
さつまいも
さつまいもはゆっくりと加熱することで、でんぷんの糖化が起こりやすく、甘味が増す野菜です。皮をよく洗って輪切りにして蒸し器に入れ、離乳食にする際は皮をむいて使いましょう。
さつまいもの品種によって、水分量が変わってくるので、ねっとり感が強すぎる場合は、水分を加えて調整すると食べやすい離乳食になります。
にんじん
にんじんは、緑黄色野菜の代表的な野菜。母乳だけでは不足しがちな栄養素の一つであるビタミンAが豊富に含まれています。ビタミンAは過剰摂取に気を付けなければならない栄養素ですが、野菜からのビタミンAの摂取は過剰症の心配はないとされています。
調理面で見ると、にんじんは火を通すと柔らかくなり、すりつぶしやすくなるため、離乳食にも使いやすいというメリットもあります。栄養豊富で使いやすいにんじんは、初期の離乳食から積極的に取り入れたい野菜です。
かぶ
かぶは離乳食初期から取り入れやすい野菜の一つです。切って茹でると、味が水に溶け出やすいという特徴があります。その点、蒸す調理法を活用すれば、味が抜ける心配がありません。
収穫から時間が経って、水分が少し抜けてしまったかぶでも、蒸すことによって、しっとりとした仕上がりになります。水分豊富でペースト状にしやすく、クセのない味のかぶは離乳食におすすめです。
キャベツ
葉物野菜であるキャベツも蒸す調理法が適しています。大きめに切ってそのまま蒸し、葉の柔らかい部分を離乳食に使いましょう。芯や葉脈の部分は繊維質が多いため、取り除いてあげると食べやすくなります。
ビタミンCやカリウムといった水溶性の栄養素を豊富に含むキャベツは、茹でると栄養素が水に逃げやすくなってしまいます。蒸す調理法を活用することで、栄養素も残した状態で離乳食にすることができるというかメリットがあります。
手軽に蒸す方法は?
「蒸す」というと、蒸し器を使わないとできないというイメージもあるかもしれません。ですが、「お米と一緒に炊く」方法であれば、手軽に野菜を蒸すことができます。
通常の炊飯で米と水をセットし、その上に大きめに切った野菜を乗せて炊くだけ。いつものご飯の用意に少し手を加えるだけでいいので、手間もかからずおすすめです。
まとめ
素材の味をしっかりと学ばせてあげることは、これからの食生活の基盤作りになります。ぜひ「蒸す」調理法を活用して、おいしい離乳食作りを楽しんでみてくださいね。
柳沢幸江・柴田圭子(2016)『調理学-健康・栄養・調理』,アイ・ケイコーポレーション
堀江秀樹・平本理恵 (2009) 『ニンジンの蒸し加熱による甘味強化』(https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/42/3/42_194/_pdf)
相川晴(2020)『赤ちゃんのための補完食入門』, 彩図社
猪俣慶子(2012)『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』, 成美堂出版
管理栄養士、お野菜レシピ考案家。レシピ提供、フードスタイリング、コラム執筆、料理教室など野菜に関する分野を中心に活動。Instagram【 #ぽんレシピ 】で100レシピ以上公開中。