なぜスウェーデン人はオーガニックを好むの?
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スウェーデンでオーガニックが広く普及し、市民権を得ているのは「スウェーデン人と自然とのつながり」が大きく関連しているといえるでしょう。
スウェーデンは自然に恵まれた「自然大国」。スウェーデン人は、夏はキャンプや釣り、ベリー狩りをしたり、冬はスキーやスケートを楽しんだりと、季節を問わず自然を楽しみます。
だからこそ、農薬で大切な自然が汚染されたら、そこで育った食材や人体の健康も危ぶまれると考えるスウェーデン人が少なくないのだそうです。
次の世代に豊かな自然を残すためにも、スウェーデンではオーガニックのものを選ぶ人が多いといわれています。自然と共生し、健康志向も高い人々がオーガニック製品を選ぶのは当然のことかもしれませんね。
スウェーデンではどんなものがオーガニック認証されているの?
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スウェーデンでは主に下記のようなものがオーガニック認証を受けています。
・野菜
・果物
・海産物
・飲み物(アルコール含む)
・お菓子
・ベビーフード
・化粧品 など
ちなみに、スウェーデンのスーパーでは「オーガニック」タグが付いている冷凍鮭のパックを見つけることもできます。これは「オーガニック養殖された鮭」という意味なのだそう。
オーガニック養殖の魚とは、天然鮭の乱獲を防ぐことを目的に養殖された魚のこと。海の生態系を乱さないために、なるべくオーガニックタグがついている魚を買うようにしているスウェーデン人が多いようです。
海洋環境にもスウェーデンのオーガニック思想が反映されており、それが一般市民にも根付いているのはスウェーデンならではかもしれませんね。
スウェーデン独自のオーガニック認証機関も存在
スウェーデンでは、「KRAV(クラーブ)」という高品質オーガニック認定制度が存在します。
これは、
・EUのオーガニック認定基準を満たしている
・スウェーデンのKRAV独自のオーガニック基準にも合致している
商品のみにKRAVマークをつけることができるという制度です。
参照: CONTROL UNION 2018年6月筆者調べ
KRAV認証を受けるためには、下記のような基準をクリアする必要があります。
1. 農作物の生育にあたり、人工農薬や除草剤を使用していないこと
2. 水産養殖では、養殖生産システムを開発する際に水質や周辺環境に配慮していること
3. 餌はKRAV指定のものを100%使っていること
4. 家畜の生育環境が動物本来の要求に配慮した環境であること
(群れ・テリトリー行動、遊ぶ、水浴びができるなど)
5. 全ての家畜が1日の一定時間必ず外で過ごせるようにしていること
6. 屠殺(とさつ)の際は家畜の尊厳を尊重した丁寧で優しい屠殺方法であること
など
上記はKRAV全基準のほんの一部。ほかにも、畜産、水産、農産、作物生産、外食分野などそれぞれに細かい基準が存在します。
参照:http://home.hiroshima-u.ac.jp/fscfarm/introduction/center-issue02/kaisetsu.htm 広島大学大学院生物圏科学研究科附属瀬戸内圏フィールド科学教育研究センター 2005年時点 2018年7月筆者調べ http://lechien.life/organic/krav/ 株式会社Lechien&partners 2018年7月筆者調べ
これほど厳しい検査基準を設けているのにもかかわらず、スウェーデンのオーガニック市場のおよそ80%の製品にKRAVマークがついています。
ちなみに、スウェーデンではKRAV基準をクリアした商品のみにつけられるKRAVマークと一緒に、スウェーデン語で「オーガニック」を意味する「 ekologisk(エコロジスク)」や「eko(エコ)」という表記も記載されることがほとんど。
他認証機関で認証された商品の場合は、ekologisk(eko)表記と他認証機関マークが記載されます。
お財布にも環境にもやさしいスウェーデンのオーガニック商品
実は、スウェーデンで買えるオーガニック食品は、日本ほど高価ではないのが現状。手頃な値段でオーガニックのものが手に入るのは、オーガニック農地面積の広さやオーガニックが当たり前なスウェーデン社会を反映しているのかもしれませんね。
比較的森林面積が広く、豊かな自然もある日本でも、自然の持続可能性をより考慮したオーガニック商品がもっと一般化されることを願うばかりです。
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