「初午(はつうま)」は、昔から続く伝統行事のひとつですが、現代の私たちの生活の中では、馴染みがうすくなってきています。
今回は、改めて初午についてご紹介しながら、初午の日の楽しみ方をご紹介します。
初午って、どんな日?
初午は、2月の最初の「午の日」をさし、全国の稲荷神社でお祭りが行われる日です。
雨乞いや止雨と共に五穀豊穣を願われたお稲荷さん。日本人の生活に密着した稲作・農業の神様なので、その信仰は次第に広がり、家内安全や商売繁盛など生活全般にご利益をもたらすとされています。
初午は、お稲荷さんの総本山である京都の伏見稲荷大社に、神様が鎮座した日とされる日です。そこで、五穀豊穣や商売繁盛、家内安全を祈って各地の神社でお祭りが開催されてきました。
平安時代に書かれた「今昔物語」にも、初午の日にめかしこんでお参りする様子が書かれており、古くから人々が大切にしてきた特別な日なのです。
初午の日はいつ?
昔は、日付を十二支に当てはめて数えていました。今でも、初午の他に「土用の丑の日」などが残っていますよね。
初午は、昔ながらの十二支で日にちを数えた、2月の最初の午の日に訪れます。2021年の初午は、2月3日(水)です。ちなみに、2022年は2月10日、2023年は2月5日と毎年変動するのでご注意ください。
初午の日に食べるものは?
初午の由来や日にちがわかったところで、次は当日のお祝いの方法をご紹介します。初午にちなんだメニューを食卓に並べ、季節感を楽しむのも素敵ですね。
いなり寿司
稲荷神社に祀られているのは稲作・農業の神様で、「稲荷」には、稲がなるという意味が込められています。また、稲荷神の遣いとされるきつねの好物といえば油揚げですよね。
そこで、稲荷神がもたらしたお米を、きつねの好物である油揚げに詰め、初午の日にお供えしたのがいなり寿司のはじまりです。
今では「おいなりさん」と呼び、おにぎりのような感覚で食べるいなり寿司ですが、もともとは初午のお祭りでお供えする、神聖な食べ物だったのです。
ちなみに、お稲荷さんの形は、東日本と西日本で違いがあります。東日本では、米俵に見立てた「俵型」のいなり寿司が主に作られます。また、西日本ではきつねの耳にいなり寿司を見立てた「三角型」が主流です。
初午団子
初午の日には、米粉の団子を作って近所に配る風習があったようです。昔は、今よりも養蚕が盛んだったこともあり、団子をまゆに見立て、大勢に振舞うほどにまゆがたくさんできるとされていました。
団子を食べる際には、醤油をつけるとまゆがシミになって不良まゆになるとして、嫌われてたそうです。
しもつかれ
しもつかれは、栃木県を中心に北関東で食べられる郷土料理です。 サケの頭、煎り大豆、鬼おろしでおろしたダイコンとニンジン、油揚げなどの材料を鍋で煮込み、酒粕をいれて作られています。
名前の由来は諸説あり、栃木県の下野(しもつけ)だけで作るからという説と、「酢(す)」と「むつかり(大豆に酢をかけた料理)」からきたという説があります。
「七軒の家のしもつかれを食べると病気にならない」といわれ、近所で分け合って食べる風習があったそうです。
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まとめ
初午で食べるお料理は、分け合って食べる風習があるものが多いところからも、人々の生活に溶け込み、にぎわいある特別な日であったことがうかがえます。
今年の2月3日は、家内安全を祈願し、毎日の生活や家族への感謝の気持ちを新たにする日として、初午をお祭りしてみてはいかがでしょう。いなり寿司やお団子を用意し、家族で食べるだけでも、思い出の1日となりそうです。
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元化粧品会社のブランドディレクターで美容好き。「おいしく食べてきれいになる」を日々追求しています。短大の食物栄養学科卒/野菜ソムリエ/日本化粧品検定1級