タイ料理・シンプルクッキング研究家、サクライチエリです。
皆さんはお汁粉、お好きですか?
寒い夜の、自動販売機の明かりを前に、缶を掴んだ指先から温めてくれる缶のお汁粉。鏡開きで、形がいびつになった餅と一緒に、湯気立つ大鍋からざばりと注いでもらう田舎汁粉。
年末年始の喧騒を逃れた、甘味屋さんで前にする、お盆に乗って、お漬物が添えられた上品な御前汁粉。
イメージするだけでほっこりしますよね。
日本全国「お雑煮」というと、餅の形状だ、出汁の取り方だ、具材だ何だと、日本各地で「他は雑煮と認めんぞ!」と言う位のこだわりと違いがあるように思います。
しかし、同じ餅入りでも「お汁粉」となると、「いやはや、まあ、そんな感じ?」的に、出されたものをハフハフすするイメージがあるのは、私だけでしょうか?
今回は、寒い冬を身も心も温めてくれる、 お汁粉についての知識を深めてみましょう。
そもそも「ぜんざい」と「お汁粉」の違いとは?
まず、おはぎとぼたもちと同じレベルで、恐らく「ぜんざいとお汁粉って、何が違うんだっけ?」と、食べながら考えている方も多いかもしれません。
「汁粉」を各種国辞典で調べたところ、大体どの辞典においても「小豆の餡を水でのばし、甘くしたもの」であり、そこに「餅や白玉、栗などを加える」と説明されています。
一方、ぜんざいの方を調べてみると、「餅に小豆餡をかけたもの」と説明されているものが多く、それを鑑みると、小豆の汁の濃さが大きな違いという事になります。
汁粉は小豆の汁に餅や白玉などの実が浮いている状態、ぜんざいは餅の上に濃い小豆をトロリとかけた状態でしょうか。
漢字を見てみても、「汁粉」の語源は「餡汁粉餅」で、その略が汁粉ともいわれているそうです。また、アズキの生餡(なまあん)を水に溶くから汁粉とする説もあるとのことです。
そして、ぜんざいの方は、素晴らしい!という意味であるサンスクリット語「sādhu」が語源だそうです。
・小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
・小学館 デジタル大辞泉
お汁粉に使われる小豆の栄養
では次に、小豆の成分について調べてみましょう。
小豆は、食物繊維やタンパク質、ビタミンB群、鉄やカリウムといったミネラル、サポニンやポリフェノールなど、さまざまな栄養素を含んでいます。
特に注目なのはポリフェノール。ポリフェノールが持つ抗酸化作用には老化現象や生活習慣病の原因の一つとされる活性酸素を消去する力があり、健康や美容にも効果が期待されています。
サポニンは、コレステロール・中性脂肪の増加や血糖値の上昇を抑える効果、利尿作用を促進しむくみを防ぐ効果が期待されています。
小豆の栄養分の58.7%は炭水化物ですが、同時にその炭水化物を速やかにエネルギーに変える栄養素も有しています。
小豆をはじめ豆類に含まれているビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素です。
ビタミンB1というと、現代は豚肉を真っ先に思い浮かべるでしょうが、昔の日本では鎖国等により、肉食が定着する事はなく、エネルギーを効率よく燃やしてくれるビタミンB1を豊富に含む小豆は、重宝したと思われます。
鏡開きで無病息災を願って食べるお汁粉など、理にかなっているという訳です。
また、小豆に含まれる食物繊維は、水分を除いた固形分中の小豆で比較すると、乾燥のものが100g中21.1gに対して茹でたものは33.55gと、約5割増えます。
それは小豆に含まれるデンプンが、茄でる事により「人の消化酵素で消化されにくい食物成分」、すなわち難消化性デンプンに変化したためと考えられるそうです。
小豆にお砂糖を加えて煮るのは、人間の健康に大変有益であるという事ですね。
また、夏場と違って冬はのどの渇きが感じづらい為に水分摂取量が減りがちなので、温かいお汁粉で水分補給というのも、理にかなっていると思います。
まとめ
寒い冬を温かく乗り切る為に昔から食べられてきたお汁粉について、いかが感じられたでしょうか?
一口にお汁粉と言っても、つぶ餡のもの、こし餡のもの、「日本古来のインスタント食品」とも言われる懐中汁粉など、様々な種類のお汁粉があります。
また、トッピングもお餅や白玉他、色々楽しめます。
更に、小豆のお汁粉だけでなく、地方によってカボチャや白餡など、たくさんのバリエーションがあります。
色々楽しんで、寒い冬を温かく、ほっこりとした気分で乗り切って下さい。
冬に食べたいお汁粉は生産者さんこだわりの小豆で
《メール便》ぽっけの小豆1㎏
昔ながらの豆作り。
手仕事で丁寧に選別された小豆です。
冬の時間、お汁粉にして
是非ご賞味下さい。
・農林水産省 特集1 いろんな豆(4)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1012/spe1_04.html
・井村屋公式HP
https://www.imuraya.co.jp/azuki/health/azuki_health/
・オムロン 活性酸素
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/2.html
・アリナミン エネルギー産生のしくみとビタミンB1の関係
https://alinamin.jp/alinamin/fursultiamine/
・JAふかや 食肉の歴史
http://www.ja-fukaya.jp/news/midorinokaze_2018.7th_p12-14-2.pdf
タイ、バンコクにて8年間、料理教室コーディネーターなどをしながら、世界各地で料理を学ぶ。
日本帰国後は、タイ料理教室を主宰しつつ、日本の美味しい農産物とアジア料理とのコラボレーション・イベントを企画運営するなど、日本のクオリティの高い食材と出会う活動を行う。また、一児の母としての経験も基に、子ども向け食育ワークショップなどの活動にも力を注ぐ。