兵庫県の伝統野菜3選
兵庫県は、北は日本海、南は瀬戸内海から太平洋に面し、中央には中国山脈がそびえるため、地域によって気候や地形が異なります。平地・中山間地・都市部と環境が異なるので、日本全体のいろいろな地域を小さくしたような豊かな地形とも言われています。
変化に富んだ自然環境のもと、地域特性に合わせた伝統野菜が生産されています。
そんな兵庫県、次の5つの地域に分けることができます。
・淡路(あわじ)
・播磨(はりま)
・丹波(たんば)
・但馬(たじま)
・阪神(はんしん)
今回はこの中から、「淡路の玉ねぎ」「播磨のうり」「丹波の黒大豆」の3つの伝統野菜を紹介します。
淡路|淡路島玉ねぎ
兵庫県が生産量全国3位の玉ねぎ。その中でも、兵庫を代表するブランド野菜が「淡路島玉ねぎ」です。兵庫県で生産している玉ねぎの、約9割が淡路島で生産されています。
特徴
程よい肉質の柔らかさと甘さが有名ですが、コクや透明感があることも特徴のひとつです。
また、加熱すると上品な甘さが増します。このことから、フランス料理など様々な料理に欠かせない食材となっています。
淡路島の環境
淡路島は、瀬戸内気候のため温暖であり日照時間が長く、海からは強い風が吹きます。この環境こそが、玉ねぎ生産に好条件な環境なのです。
また、冬でも気温が低くなりすぎず、日照時間も長いので、秋冬野菜としても好条件な環境です。
旬の時期
淡路島玉ねぎは、通年出荷されていますが、基本的な収穫の時期は5~6月と言われています。
玉ねぎ生産量No.1の北海道では、春に種をまき秋に収穫しますが、淡路島では晩秋に種をまき、5~6月に収穫します。厳しい冬をじっと耐えた玉ねぎは、甘さが増すのです。
玉ねぎにも種類があるので、早いものは3月下旬ごろから「新玉ねぎ」として出荷されています。
甘みが強い理由
淡路島では、通年出荷させる分の玉ねぎは、収穫した後「玉ねぎ小屋」と呼ばれる小屋に玉ねぎを吊るし、自然の風を利用してゆっくりと乾燥させています。この工程を行うことで完熟し、甘みが増し色艶が目立ってくるのです。
さらに、7月から8月にかけて冷蔵庫に入れて貯蔵し、11月から3月にかけて出荷します。
歴史
明治21年、泉州(現:大阪)から「泉州黄玉ねぎの」栽培方法を導入したのが始まりで、100年以上の歴史があります。
大正に入ると品種改良や栽培方法の研究が行われ、徐々に作付面積が増えていきました。
その後も改良を重ね、農協を始めとした企業の強力もあり、昭和39年には日本一の大産地ともなりました。
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淡路島にて家族で農業を営んでいる「ケンちゃんファーム」さん。
農薬、化学肥料を通常より50%以上抑えた玉ねぎを生産しており、兵庫県認定の「特別栽培玉ねぎ」となっております。「ひょうご安心ブランド」にも認証されているので、安心してお召し上がりいただけます。
播磨のうり|ぺっちんうり
東播磨地域だけで栽培される、夏の風物詩“ぺっちんうり”。古くから加古川を中心に、明石市にかけてのみ栽培されており、非常に珍しいうりです。
特徴
果肉は淡黄色で、熟すほど黄色くなり甘さも増します。トロっとした食感で、メロンのような香りと甘みがある事が特徴です。切ったときのコントラストの鮮やかさも、特徴のひとつです。
旬の時期
露地栽培が中心で、6月から9月が旬です。昔は生食用として栽培されていましたが、現在は漬物用として栽培されおり、少し甘みのある浅漬けに適しています。伝統の浅漬けの他にも、スライスした時の色合いが非常に綺麗なので、サラダとしてもおすすめです。
東播地域の環境
瀬戸内海に面した温暖な気候条件で、全耕地の90%が平坦地で豊かな土壌条件に恵まれていることから、野菜栽培に適しています。
名前の由来
完熟した時の表面の色艶が、別珍(ビードロ)に似ていることが名前の由来と言われています。また、果実に爪をたてた時の「ぺっちん」という音で収穫時期を判断していたから、という説もあります。
丹波の黒大豆|丹波黒大豆えだまめ
大豆を若いうちに収穫したものが枝豆です。兵庫県で生産される黒大豆は、粒が非常に大きく甘みも強いので、枝豆としても黒豆としても人気が高いです。通常の白大豆えだまめよりも草丈が高く倒れやすいため、土寄せや支柱立てを行うなど、手間をかけて栽培されています。
特徴
丹波黒大豆は、丹波地方で古くから栽培されている黒豆で、大粒で丸く、表面に白い粉がふいているのが特徴です。煮ても皮が破れにくく、艶が出ることから正月の煮物用として最高級と言われています。もちもちした食感で、独特のコクや強い甘みのあるえだまめです。
旬の時期
枝豆としての収穫の時期は、10月中旬から下旬の2週間と、非常に短いのが特徴です。栽培期間は6月から10月下旬で、それ以降は黒豆として収穫されます。枝豆の中では収穫が遅い品種です。2週間ほどの出荷期間ですが人気が高く、主産地の篠山市では10月上旬に「販売解禁日」が設けられています。
丹波地域の環境
丹波地域は昼夜の気温の差が大きいことや、粘土質の土壌であることが丹波黒大豆生産の好条件となっています。
歴史
黒大豆えだまめは、昭和62年にグルメ漫画「美味しんぼ」で最高の枝豆として紹介されて以降、本格的に販売されるようになりました。それまでは、丹波の黒大豆を枝豆として食べるのは、丹波地域のみでした。1730年頃には黒豆が丹波地域の名物であったことが分かる記載があり、江戸時代には幕府への献納品として納められていました。
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「丹波有機農業研究会」という有機農家団体がJAと市と共に立ち上げた、「丹波市有機の里づくり推進協議会」は、
「有機農業発祥の地」から「有機農産物生産地」と胸を張って言える体制づくりを目指して活動をしています。丹波の黒大豆を始め、お米なども販売しています。
丹波黒枝豆や高級ブドウを栽培している「丹波篠山ひなたファーム」さん。こだわりの自家製堆肥で丁寧に作り上げた土で育てた、美味しくて高品質な商品をお届けしています。
まとめ
日本全体のいろいろな地域を小さくしたような豊かな地形とも言われている兵庫県には、古くから伝わる兵庫ならではの伝統野菜がありました。なかなか見ることはないかもしれませんが、伝統野菜を知ることで、今まで以上に旬を感じ、職の楽しさを知れるのではないでしょうか?
お取り寄せするのも良し、旅行のひとつの楽しみにするのも良し。ぜひ自分なりの伝統野菜の楽しみ方を見つけてみてください。
食文化栄養学科卒業 / 利き酒師
小学生のころから食に興味を持ち始め、大学で食文化について学ぶ。地域に関係する食文化に興味があるので、農業・地域野菜・日本酒などについて発信していきたいです。