国内唯一のワインビネガー専門メーカー
国内有数のぶどう産地であり、国産ワイン発祥の地でもある山梨県には、80以上のワイナリーが存在していますが、ワインを作る工程を経ていながらも、そのワインを販売していない会社があります。それが今回ご紹介する「アサヤ食品」さんです。
「アサヤ食品」さんのワインビネガーには、10種類以上の山梨県産ぶどうが使われています。
主に醸造用として扱われるマスカット・ベリーAやピノノワールだけでなく、生食用としておなじみのピオーネやシャインマスカット、甲斐路、ロザリオビアンコ、バイオレットキングなど、多岐にわたります。
これらのぶどうは、地元の生産者様が丹精込めて育てたもののうち、品質には問題がないものの、何らかの理由で市場に出せない規格外品。
ぶどう収穫量全国第1位(令和元年産農林水産省統計)の山梨県ですが、その分規格外品も多く、廃棄されてしまうケースも少なくありません。
大切な地域資源であるぶどうを無駄にしないこの取り組みは地域産業資源活用事業計画第26号(平成27年7月6日)として国から認定を受けています。
ワインビネガーができるまで
最初の工程は「除梗」。ぶどうを実と茎に分けます。
次に「搾汁」。こちらの圧搾機を使い、できるだけ圧力をかけないようにして、風味を損なわないようにしています。
こちらが搾りたての果汁。溢れ出す甘い香りと深みのある味わいは、単一のぶどうでは感じることのできない重厚感のある仕上がりになっています。
この果汁にワイン酵母を加え、「アルコール発酵」を行うことでワインもろみが完成します。こちらができたばかりのワインもろみです。
この時点ではまるでヌーボーのようにフルーティーなワインもろみですが、これに酢酸菌を加えて「酢酸発酵」を行い、5年以上醸造します。
こうしてできあがるのが、山梨県産ぶどうを100パーセント使った熟成ワインビネガーです。
左がシャインマスカットや甲州などが原料となる「熟成ワインビネガー(白)」(150ml 550円(税抜))。まろやかな酸味とコクのある味わいが特徴です。
そして右が巨峰やマスカット・ベリーAなどが原料となる「熟成ワインビネガー(赤)」(150ml 550円(税抜))。柔らかい酸味と濃厚で深みのある味わいが特徴です。
どちらにも共通するツンとこない穏やかな酸味は、素材、手間、歳月、無添加、国産の5つの「こだわり」によって醸し出されています。
「バルサミコ」と「バルサミコ酢」の違い
私たちが身近でよく見かける一般的な「バルサミコ酢」と、イタリアで作られる伝統的な「バルサミコ」には違いがあるのをご存知でしょうか。
イタリアで作られる伝統的な「バルサミコ」は「Tradizionale(トラディツォナーレ)」の文字の入った瓶に入ったもので、添加物の使用は一切認められていません。
ぶどうの品種も限定されており、産地や樽の種類、瓶の形状などが細かく決められ、製法や熟成期間にも厳しく基準が設けられています。
それらの基準をクリアしたものだけが「バルサミコ」と名乗ることができるのです。
一方、国内外で多く流通している「バルサミコ酢」はぶどう果汁とワインビネガーをブレンドして熟成させたものがほとんど。
ぶどうや樽の種類、添加物の有無、熟成年数などに決まりはありません。そのため、品質や価格に大きな差があるのです。
自社製ワインビネガーを使ったこだわりの「BALSAMIC VINEGAR」
「アサヤ食品」さんでは、圧力をかけずに搾った極上のぶどう果汁を丁寧に煮詰めた「モストコット」と、5年以上熟成させた自社製ワインビネガーをブレンドし、樫・桜・栗・桑・アカシア・トネリコ・ジュニパーの7種類の木樽に入れ、6年間熟成させています。
7つの木樽それぞれで熟成したバルサミコ酢をブレンドし、やっと完成するのが、毎年数量限定で発売される「BALSAMIC VINEGAR」(100ml 5,500円(税抜))。カラメルなどの添加物を一切加えない無添加の「純国産バルサミコ酢」です。
できあがるまでに最低11年の歳月を要し、1瓶に使われるぶどうの量はなんと20キロ!
ふわっと立ちのぼる香しい香りを纏ったワンスプーンは、料理に深みを加え、ランクアップさせてくれます。
まとめ
「酢」の取り入れ方については、【苦手な方は米酢やリンゴ酢から】お酢の健康効果と美味しい取り入れ方
の記事でもご紹介していますので、ぜひチェックしてみて下さい。
それに加え、ぶどうから作られている「ワインビネガー」や「バルサミコ酢」には「ポリフェノール」も豊富に含まれていますので、老化防止やシワ・シミ予防にも効果が期待できます。
ぜひ日常的に取り入れて、若々しさを保ちましょう。
https://www.asayafoods.com/ 地域産業資源活用事業計画第26号 https://www.pref.yamanashi.jp/seichosangyo/shijo-kaitaku/documents/3-27-247.pdf
工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。