「ヌーボー」といえば?
秋が深まり、生食用ぶどうのシーズンも終盤。この時期になると、毎年11月第3木曜日の「ボジョレー・ヌーボー」解禁日を待ち遠しく感じているワインファンも多いのではないでしょうか。
しかし、国内有数のぶどう産地である山梨県には「ボジョレー・ヌーボー」よりも早く解禁される「山梨ヌーボー」があるんです。
日本固有の品種「甲州」「マスカット・ベーリーA」
山梨県は国産ワイン発祥の地で、県内に80以上あるワイナリーでは、様々な品種でワイン醸造が行われています。
それぞれ品種によって収穫期が違い、新酒のできる時期も異なりますが、日本固有の品種である「甲州」(白ワイン用)と「マスカット・ベーリーA」(赤ワイン用)で造られた新酒ワインだけは、「山梨ヌーボー」と命名され、解禁日が設けられています。それが11月3日です。
▲白ワイン用の品種「甲州」
▲赤ワイン用の品種「マスカット・ベーリーA」
この解禁日に合わせて新酒ワインを造るため、9月下旬から10月上旬頃に収穫が行なわれます。
世界に誇る「甲州(Koshu)」と「マスカット・ベーリーA」
近年「日本ワイン」はヨーロッパでも評価され、世界的にも注目されています。
その中でも「甲州」と「マスカット・ベーリーA」に関しては、国際ぶどう・ぶどう酒機構「OIV」にも登録されており、EUへ輸出するワインのラベルにこれらの品種名を記載することができるようになりました。
「OIV」登録後は多くの国際ワインコンクールで賞を受賞し、特に「甲州」には世界各国から熱い視線が送られています。
そんな世界に誇る2品種のワイン原料となるぶどうの最大産地となっているのが、山梨県です。
ワイン業界にも押し寄せるコロナの荒波
新型コロナウィルス感染症の影響で緊急事態宣言が発令され、多くの飲食店が休業となったのはみなさまもご存知かと思います。
その影響で飲食店からのワイン需要が極端に少なくなり、個人消費だけでは到底追いつけず、経営危機に陥っているワイナリーも多数あります。
また、例年ですと、山梨県内はもちろん、都内では日比谷公園などで「山梨ヌーボー」解禁に合わせた新酒ワインの試飲や販売などを行うイベントが開催されますが、残念なことに今年はほとんどが中止になってしまいました。
そんな状況ではありますが、今年も直近に迫った山梨ヌーボー解禁日に向け、最終調整に入っています。
長年培われてきたぶどうの栽培技術と、世界に認められた醸造技術の融合といえる「山梨ヌーボー」。
山梨の大地と造り手の想いが育む渾身のワイン、是非味わってみませんか。
<参考>
・日本ワイナリー協会
https://www.winery.or.jp/
・国内製造ワインの概況(平成30年度調査分)
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seizogaikyo/kajitsu/kajitsuh30.htm

工学部卒の元SE。
結婚後、「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という興味で野菜ソムリエプロの資格を取得。その後もフードツーリズムマイスターやフードロスゼロ料理アドバイザーなどの食に関する資格を取得し、現在は自治体等と連携しながら農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行なっている。